幕間:闇と禁断とファントムロード
この二人に関するお話はしばらく先の話になるので多少はね?
「待って……待ってください! ファントムロード……!」
シオンとアルトレイア達が去った後、そこに残っていた人影があった。否、残した人影だ。
「あなたは、私の……」
「……んー……少しね。時間が必要だと思うんだ。君の抱えているものを解消するには。済まないね。人一倍、さみしがり屋の君に苦労を強いてしまう」
ファントムロードは、残された人影……ミスティの頬にゆっくりと手を添える。
「……?」
不思議と、落ち着く。けれど、これは……
「少し早すぎた禁断の果実の味は……うん。これは、彼の罪として。彼に背負ってもらうしかないだろうね」
「彼? それに、禁断の果実って」
「……分かっているくせに。寂しがり屋のおませさん?」
ミスティは、その頬を赤く染めた。しかし、意を決し、覚悟を以て、尋ねた。
「あなたは、私の……!」
「違うよ。それは、君がよく分かっているはずだ。私はね。彼よりも、君に対する距離が少し遠いんだ。残念なことにね。分かるだろう?」
ミスティは、口ごもる。そうだ。さっき、このファントムロードが触れた手は。確かに温かかった。けれど……足りない(・・・・)のだ。
「にしても君、大胆だよね」
ミスティの顔はさらにかぁっと赤く染まる。
まあもしも、彼が君の追い求めていた存在であったのならば――と、口に出かけたが、止めた。それは、答えだ。今からシオン・イディム……否、イリューシオン・ハイディアルケンドと、ミスティ・サイファーにこれから立ちふさがる試練。そして、その物語は彼らだけのものではなく……
とはいえ、リスク(・・・)を犯してこうして姿を現した以上、もう少し成果めいたものが欲しい、と言うのも事実だった。
「まああれだよ。もう少し、本能というものに従ったって罰は当たらないんだ」
「本能、ですか」
「ああ、分かっているはずだよ。君は、誰にも言えない悩みを抱えている。だから、君は寂しがり屋で、しかし、それを解消することだって出来ない……はずだった(・・・・・)」
「……」
「けれどね。彼には甘えたっていいんだ」
「甘える……」
「うん。甘いお菓子を頬張るように。脳を蕩けさせ、そうして……溺れてしまえばいい。なんたって彼は、この世界の悪役なのだから」
「何を言って」
「おっと、口を滑らせてしまったかな」
わざとか、それを聞き返すことには意味はない。全ては幻影。いつでもなかったことに出来るような、そんな空虚な偶然に過ぎないのだ。
「そうやって……これは私のワガママも入るのだが、彼を許してやってほしい」
「許す……? 何を言って」
「そして、君のもう一人の大切な人との橋渡しをして欲しいんだ。それが、彼を救う鍵になる」
「だから何を……!」
手を伸ばす。そこには、もはや誰もおらず、まるで月に手を伸ばすように呆然と立つ自分の姿が残っているだけだった。
「皆、無事か?」
暗い夜中。アルトレイアの声が木霊する。そうして、ミスティ・サイファーも、パーティに復帰するのだった。
次の章はアイリシア&アスタのお話なので彼女のお話はまだまだです
もう一人のファントムロードの正体も。捻るつもりはないので予想つかれてるかもしれないけれどバラしたらさすがにあれかなぁ……と思うので
ミスティは別にシオンに恋しているわけでは無くネタバレになりますがちょっとした勘違いをしています




