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戦場の空気

 さて、演習に入る前に一旦、作戦会議となり、ペンドラゴンも俺達の元に訪れた。


「やあやあファントムロード。今日はよろしく頼むぞ」


「楽しそうだな」


「くっくっ……そうだな。いや、ギルバート・G・マクシミリアン、といったか。あの男の指揮下の元、鍛えられた兵たちとの戦いというのは胸が躍らなければ嘘であろうさ。というのは、半分だな」


「あとの半分は?」


「……旧き支配者、迷宮の主ダンジョンマスターともなれば自分の領土ダンジョンから出ることもそうそうあるものでもない。ましてや、こうして迷宮を離れ、肩を並べて戦う事態など、な」


 そっか。なら、せいぜい失望させないように心がけるとしようか。


「一応、言っておくがこの題目はギルバート・G・マクシミリアンとの話し合いでつい今しがた決まったことだ。であるから、予め有利となるような小細工を弄しているということは無い。まあ、究極どうでもいいことだが」


 そして細かいルールをマクシミリアン将軍から受信したアルトレイアから受け取った。


 とはいえ、そこまで形式ばったモノでもないが。殺傷はNGなのは当然のものとして、ダメージを受ける自己申告で戦線を離脱していくという形。まだ負けていないと判断するのであれば多少のダメージ下でも続行を認める(限度はあるが)。


 また、戦意喪失による降参も認めるが、一旦離脱した後の戦線復帰は認めない。


「雑だな」


 ついでに言うとサバゲーみたいだな。


「これは競技などではなく訓練だからな。相手も素人ではないのだ。その辺りの引き際というのは心得ているとも」


 なるほど?


「あーその、実は言いそびれてたんだけど今朝からどうにも調子が悪くてね」


「ああ言い忘れていたが」


 と、取り決めを聞いていたリオンが口を開くものの、アルトレイアがすぐさま言葉を重ねた。


「各々の判断で撤退していいとは言ったが、それもお互いの了承がなくてはならない。つまり、サボタージュと勝ち逃げは許されない」


「えぇー……」


 薄々予想がついていたのだろうか、驚きは少ないようだったが心底嫌そうな顔をしていた。


 ノリが体育会系というか中々厳しいものがある。


「そういえばここには一体何人集まってるんだ?」


「そうだな。警邏などの仕事も普通にあるから父の部下全員ではないのだが……大体、1000人くらいか」


「少ないな」


 ペンドラゴンが呟いた。


「ここで出る感想がそれのあたり何というかさすがだよね」


 そしてリオンが呟いた。


「何を言うか。この円卓の竜騎士王ペンドラゴン、それに幻影のファントムロードを相手取るのだぞ? むしろ腰が引けぬか心配なくらいだ」


 考えてみれば、迷宮の主ダンジョンマスターを討ち取るのに動く軍隊の数と考えると確かに割に合わない……のか?


 まあ正体知られると面倒だし本気で戦えるわけでもないが。


 さて、円卓の竜騎士王ペンドラゴンとマクシミリアン将軍のお手並み拝見と行こうか。


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