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実はそんな理不尽でもない

「気を付けェ!!」


 ビリビリと大気を震わす声が響いた。


 思わずビシッと直立不動の姿勢を取ってしまった。周りを見渡せばさっきまで絡んでいた男たちはどこ吹く風か、綺麗に整列している。


「待たせたな」


 見れば奥にマクシミリアン将軍とペンドラゴンの姿が。


 さっきの声はマクシミリアン将軍か……にしても距離がある割にはやけに明瞭に聞こえた様な。


『ただの指揮官のスキルの一つだ。実際には届いていない音声をイメージと一緒に飛ばして脳内で結ぶ……という仕掛けだが届ける対象を絞るのが面倒なのが特徴だな』


 と、アルトレイアが補足してくれた。


 周りを見てみると……先程まで騒いでいた喧騒はなりを潜め、マクシミリアン将軍の声に耳を傾けている。


 原理からして耳を澄ます必要も無いように思うが、それとは関係ないのだろう。心からマクシミリアン将軍を慕い、一つに統率されている。


「さて、諸君。我が娘、アルトレイアを始め王立ディハルマ学園よりイキのいい卒業生が我らのもとを訪れている」


 今までマクシミリアン将軍の将軍としての姿を見たことはないようなもので、彼が自らの鍛えた軍勢の下で振るまう姿はある意味新鮮だ。


「そこで皆で一つ、歓迎と行きたいところだが血気盛んな若人に対し、座学も退屈だろう」


「そんなことないけどなぁ」


 リオンがぼそりと呟くも、誰も聞く者はいない。


「というわけで色々趣向を考えたのだが、うむ。ここは一つ、我ら対彼らで戦うというのはどうだろうか」


 うん? 何だ? 今、何か頭おかしい提案が聞こえた様な気がするが気のせいだろうか。


「いや何、心配はいらない。彼らには信用の置ける人物を味方に付けることにした。戦力の不備はない。思いきり、我らの軍勢の力を見せつけるつもりでぶつかることを肝に銘じるように」


 マジか。


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