表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
201/239

明日はアスタの風が吹く

 セレスさんとも別れ、旅路を続ける。


 しばらく何もないのどかな田園風景が続き、柔らかな風が吹いて、んーっと伸びをする。


「ここのはずなんだが」


 そうして辿り着いた村。ここがアスタとアイリシアの故郷の筈なんだが……人影が少ないな。


 かといって寂れてるというのとは違う。昼寝でもしているようなのどかさだ。


「あれ? シオン?」


 当てもなく歩いていると聞き覚えのある声がかかった。しかし、それに答える間もなく


「ゴーレム!」


 新たな掛け声とともに飛び込んでくる人影を抱き締める。


 その身体はひんやりと冷たく、歩き通しで熱を持った身体には心地よかった。


「……シオンさん、随分と遅かったですね」


 そしてその後ろから麦わら帽子を被ったワンピース姿の健康的な美少女が。


「すまないがどちら様でしょうか」


「……いい度胸です。しばらく会わない内に師に対する口のきき方を忘れてしまったようですね」


「ハハハ、いや、冗談だよアイリシア。いつもと違う装いで雰囲気まで柔らかいから、見違えたってだけさ」


「…………そうですか」


 アイリシアは麦わら帽子を深くかぶって瞳を隠した。


※※※


「ふーん、村総出で畑仕事ねぇ」


 だから人気ひとけが無かったのか。


「まあね。せっかくの男手として頑張らないとって」


 アスタは腕をまくってぐっと力こぶ……は……うん。アスタはそのままでいてくれ。


「私は……お母さんに言われて、お昼ごはんを作っていました」


 何と。


「……何ですかその顔は誰のせいだと思ってるんですか」


「俺のせいなのか?」


「当然です。その……お母さんが、お嫁さん修行だって」


 アイリシアが顔を赤らめて呟いた。


 そうか。それは俺のせいだな。と甘んじるくらいには爆発力がスゴイ。


「それにしてもシオン、結構遅かったね。もうちょっと早く来るかと思った」


「ハハハ……いや、何だ。ちょっと天空に行って来たりしてな」


「ハハハ。何それ」


 冗談ではないんだが。


「まあシオンさんが帰って来たならちょうどいいです。両親との挨拶の前に少々、お手伝い願いたいことがあるのですが」


「手伝い?」


「……詳しくはアレムさんから……正確に言うならブリジットに直接聞いてください」


 何だ……?



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ