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攻略開始

 アイリシアとアスタだって頑張っている最中、俺だって何も手をこまねいているわけでは無い。


 人目を避けるようにして、フィオレティシア、そしてマリアと共に幻影の迷宮を訪れていた。


 まずは、フィオレティシアの手を取る。そしてゆっくりと目を閉じ、フィオレティシアの中にある階層支配者としての波動にゆっくりと意識を集中させる。


 口で説明されただけでは上手く行くかどうか不安だったが、なんてことはない。フィオレティシアに流れる血は幻影の君の忠実なるしもべ。それにフィオレティシアには一度、気絶するレベルで魔力を吸われたりした仲だ。感覚を掴むための相手としては申し分なし。


 というわけで成功しました迷宮内転移。


「ここもすっかり懐かしいな」


 目を開けた先に在ったのは一度はスレイのために訪れ、二度目はフィオレティシアを救った迷宮の舞台。


 激闘の跡もそこそこに、あの後も誰かが入り込んだのかもはや舞台だけでなくあちこちひび割れて何だか物寂しい。


「~~」


 フィオレティシアの歌声が響く。物寂しい舞台に歌声を……というのではなく、長らくその場を離れていた階層支配者の特権を回復するために魔力を通す作業である。


「さて、そろそろ行くか」


 卒業試験の準備と並行して、バスティア・バートランスとの支配争いも行っていく。この迷宮の中で行われる卒業試験のジャマにもならないしな。それズルじゃねえの? と思われるかもしれないが、それはほれ、俺、幻影の君だから。まあこっちもこっちでそれなりの重労働だし。


 やることは単純。バスティア・バートランスの配置した階層支配者を倒し、こっち側の人材、今回で言えばマリアを新しく据えるのが今回の目的である。


 権限があれば階層支配者が受け持つ迷宮内の場所に自由に移動できるらしいが、不完全な権限しか持っていない今の俺達としては、階層支配者がその認証を行う起点……俗に言うボス部屋だな。そこにしか転移できない。また、転移を行う場合は階層支配者ならびに幻影の君である俺が協力し合う必要がある。


 つまり、現時点で進むことのできる地点における階層支配者と、新たに据える階層支配者、そしてこの迷宮における支配者の権限を持つ俺が最低限必要となる。まあ全員で歩を進めればそれが一番いいんだが、今はそれぞれ忙しい合間を縫っていくしかない。


「んん~……やっぱり居心地が悪くなってますねココ」


 道中、マリアは具合が悪そうに呟く。天使というのは良くも悪くも気分に左右されやすい性質を持っているらしくバスティア・バートランスの悪意に満ちた空間はその身を蝕んでいくらしい。まあそれでもクロードに比べれば大分マシではあるようだが。


「私も覚悟を決めました。イリューシオン様を守れない位置で帰りを待って、そうしたら、きっとどうしたって後悔すると思うんです」


 そう言われてはこっちも見守るしかない、が


「ぷしゅ~」


 とうとう目を回して倒れるマリアを抱きかかえる。即オチは止めなさい反応に困るから。


「別に俺の身体の中に入っててもいいんだけどな」


「いえ! そういうわけには! この迷宮内、イリューシオン様にどんな危機があるか」


 カチッ。


 俺の腕の中から飛び出したマリアが何か踏んだ。え? 何? こんなのあったの?


 ゴロゴロ。


 後ろを振り返れば巨大な石が転がってきた。


「ベタだなこんちくしょう!」


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