初陣
一応、若干(?)キャラがおかしいのと地の文とセリフが乖離しているのには理由がありますがそのあたりの説明は次回
ファントムロードの力を手に入れた俺はリリエットを助け起こし、目の前のピエロを睨みつける。
ファントムロードに変身したらマスクとマントとタキシードっぽい衣装まで出て来た。
まあそんなことはどうでもいい。ファントムロードのこの万能感と言ったらない。ステータスを見なくても分かる。真実、世界を支配し得るほどの力が、今この場に顕現している。
「キャハハハハ! 楽しソうなのがデてきたネェ!」
ピエロ野郎はしかし笑っていた。先程から俺としても殺す気でいるから殺気が伝わっているはずで、怯え、逃げ惑っていてもいいもんだが、ケラケラと不愉快な笑い声を撒き散らすだけだった。
空気が読めないのか、あるいは……狂っているのか。まあどうだっていい。俺のするべきことは変わらない。
そう。愛すべき乙女を怯えさせ、その命を刈ろうとしたからには相応の報いを知らしめなければならない。
パチン、と指を一つ鳴らした。
「……?」
何も起きていない、ように見える。だが、全てはもう終わっている。
「どうシたんダい? 色男!? あるンだろう? 面白いもんがさぁ! もっと! もっと見せテよ!」
あぁやっぱりこのピエロはただの狂人か。物見遊山のつもりだったんだろうが、残念だったな。
だって、こんな輩の骸であったとしても、乙女に『死』というものを見せつけるのは忍びないだろう?
ピエロは、また何かを取出したようだったが、
「安心しろ、お前はもう死んでいる」
そのネタバレをするよりも早く、俺はその間近から声を掛ける。
え? とピエロからは流石に驚いて漏れた様な声が漏れた。だって、視覚と聴覚がまったく一致していない。今、ピエロの目に映ってるだろう姿は、自分が繰り出した何かで俺を貫いてでもいるんだろうか?
とっくの昔にピエロの首に指を突き刺し、引き裂き、生命を終わらせているというのに、だ。
飛び散る血飛沫も、濃厚な血の匂いも今、ここにいる俺以外の存在には見えず、聞こえず、感じない。
それにしても素手でここまで殺れるとはな。まあ素手というか衣装の一部の白い手袋に覆われているわけだが中々に凄惨な絵だ。もう少しどうにかならないものか、後で色々試してみよう。
「キャハはハハハハは! 凄い! 凄いすごいスゴいスゴイィイイイイイいい!」
ピエロの断末魔はどこまでも楽しそうだった。戦闘狂の気はあると踏んでいたが自分の死に際までそれを徹底しているとは恐れ入る。……ま、だから極力楽しませずに殺ったんだがな。
「さあレディ。家までお送りましょう」
実際の身長差はそれほどないんだが、俺はリリエットをお姫様抱っこして抱える。軽い、まるで羽の様だ。思わず手折れてしまいそうな華奢な体を、繊細に扱うように
「は、はなしなさい! 私にはまだやんなきゃいけないことがあんの!」
しかしジタバタと自己主張が激しかった。
「……それが何なのかは存じませんが、私はそれに付き合う義理はないのでね」
俺は確かにここにいる、とそれを伝えるわけにはいかない。一応、幻影魔法で家の方は誤魔化しているし、もしもの時の対応にマリアを残してある。まあそっちは心配ないだろう。
乙女のワガママくらいさらりと叶えてやるのがファントムロードの嗜みというやつだがまあ、新米だから許してほしい。
もうちょっとだけ続くんじゃ




