ココロノヨワサ
気がつくとあたしは真っ白な空間にいた。
その空間にあたしともう一人、あたしの格好をした黒棒がいた。
「君の名前は?」
あたしの口は勝手に動き、発した。
「俺の名は・・・サタン」
「サタン・・・?お父さんと同じ名前・・・」
そう、かつてピース・フォレストを治めた王で・・・
あたしの亡き父親、”アルケミア・シング・サタン”であった。
あたしの両親は
コロサレタ、ニンゲンニ。
アタシハニクンダ、ニンゲンヲ。
コロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロス・・・・・・
トワニイッテ、トワニニクンダ
ニンゲンヲ。
でも今はちがう。
信じあえる親友がいる。
仲間がいる。
だから・・・
一人じゃない。
「君は、一人なの?」
「・・・あぁ。昔はたくさん仲間がいた」
「昔・・・?」
あたしの頭はグチャグチャになった。
なぜ、昔にはたくさんの仲間がいたのに今は一人ぼっちなのか。
そもそもなぜあたしの格好をしているのか。
「なんであたしの格好をしているの?」
「それは、おまえの人格だからさ」
もう一つの人格?
なんでもう一つの人格ができたのか、
分からなかった
「俺はおまえの怒りや憎しみ、悲しみと魂が混ざり合ってできた人格だ」
イカリ?
ニクシミ?
カナシミ?
あぁそうか、
怒りに溢れたあの日、
憎しみに溺れたあの日、
悲しみに埋もれたあの日、
その日に人格が来たんだね。
今分かったよ。
あたしは今でも弱いんだね。
大魔導師の称号を取っても、
大事件を解決しても。
心は弱いんだね。
・・・アレ?
なんだろう?この気持ち・・・?
胸の鼓動が早くなり、そして何かが目に流れている。
あぁこれが・・・
涙なんだね。