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【書籍化中!】アルケミスト・アカデミー(旧:双色の錬金術師)  作者: ちゅるぎ
イメージする段階。

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45話 依頼の顛末

お、お久しぶりです…!(戦々恐々


短いですがこれで一先ず納品が終わりました。

こんな感じでまったり進みます。



 いつもよりも1時間ほど早く起きた私はいつも通りに水遣りや朝食の準備を済ませる。

リアンも同じくらいに起きてきていつも通りに雑務や手伝いをしてくれた。



「全部で81か。結構作れたな…薬酒は午前中に追加で作っておくか。薬の調合にも使えるからな」


「私も解毒剤と薬酒以外の物作りたいから、食材もらってもいい?」



久しぶりにレシピ帳を開いてみると調合できる物が増えてたんだよね。


 その中でも持ち歩きできる物を…と思ってたら丁度いいのを見つけちゃったものだから、もー調合するしかないかなって。

調合時間も短いしエルたちみたいに遠征だとかで街を離れる人に売れそうだなーっていう思惑もあったりするんだけどね。



「食材…?構わないが、何を作るつもりなんだ」


「オーツバーっていう、オーツ麦を使った携帯食料。持ち歩きできるし、栄養価も高いから騎士科の人とか冒険者とかに売れるかなって。あと、採取の時に便利そうじゃない?」



名案でしょ!?とリアンを見ると、リアンは眉を寄せて何とも言えない顔をしている。

 想像とは違う反応にあれ?と首を傾げつつ、どうしたのか聞いてみる。



「あまり美味い物ではないからな…携帯食料は。材料だけ聞いてもいいか」


「まずオーツ麦でしょ、クルミとかナッツ系を適当に、ドライフルーツにできる果物、はちみつ、小麦粉かな。私は好みでレシナピールを入れるけど…店で売れるかどうかはわからないから鑑定と味見よろしくね」


「わかった。はちみつを使うなら少し値段は上がりそうだが…それ以外の原価はあまり高くなさそうだな。はちみつはどのくらい使うんだ?」



大匙一杯くらいかな、と返せばリアンは真剣な顔で原価計算を始めた。

 ブツブツ言いながら私が使いたいといった材料を取って来てくれるらしい。

多分、正確に原価計算したいんだと思う。



「あとは…これ、かな。簡易スープの素」



オーツバーも簡易スープの素もおばあちゃんのオリジナルだ。

 レシピは市場に出回ってないから殆ど知られてないけど、飲んだことのある人はおばーちゃんの古い友達とか贔屓にしてた冒険者の人くらいじゃないかなぁ。



「スライムの核はまだあるし、乾燥メイズもあった、ミルの実もあるもんね」



食材の在庫については私も割と把握してるので地下へ向かった。

 石でできた階段を下りて重たい扉を開けるとひんやりとした空気が肌を撫でる。

明かりは最小限だから薄暗いけど光に弱いものを保存したりもするからもっと明るくしたい!とか思わないけど。



「ん?なんだ、君も来たのか」


「ミルの実と乾燥メイズ、あとマタネギを取りに来ただけだから気にしないで」


「………何を作るんだ?」


「おばーちゃんのオリジナルレシピ。便利だから作ってみようかなって。これも味見と鑑定お願いねー」



目的の物を素早く確保してリアンの反応を見ないままキッチンに戻る。

 作業台に必要な物を並べて分量の計算をしていると6時の鐘が鳴った。



「おはようございます。エルたちはもう来ましたの?」


「おはよー、ベル。まだ来てないよ」


「そう。それは良かったですわ…私、今日は早めに休ませていただきますわね。連日寝不足ですもの」



ため息をつきながら、応接用のテーブルに並んでいる解毒剤を眺めるベルの表情は明るい。

 ズラーっと並んだ解毒剤たちは箱に入れてるけど、ちらっと見ただけでも結構な数があるから達成感を味わうにはもってこいだ。



「ベルは今日何をするの?私もリアンも調合するつもりだけど」


「また調合するんですの?!貴方たち本当に飽きませんわね…私は茶会に呼ばれたのでそちらへ行ってきますわ。ですから私の昼食は作らなくても宜しくてよ」


「わかった。夜は?」


「勿論食べますわ!この前手配した魚が届くはずですから、魚料理が食べたいのですけれど」



魚料理は久々だけど恋しくなってきたところだったので喜んで請け負った。

 ミルの実を使うからフライにでもしようかな…?油絞れたはずだし。


 そんなことを考えていると地下からリアンが戻ってきた。

手には調合に使うといった素材があった。

慣れた様子で私の作業台にひとつずつ並べていくのを眺めながら解毒剤を渡しやすいように玄関の近くへ運ぼうとしたんだけどベルが



「私が運ぶから、ライムは朝食の準備をして頂戴」



ひょいっと涼しい顔をして重たい木箱を2つ持ち上げたベルに感心しつつ私はキッチンに向かう。

 食事の支度を始めて大体10分くらいが経った頃、玄関のドアがノックされた。

近くにいたリアンが扉を開けるとエルの声が聞こえてきたので私もベルも玄関へ向かう。


 エルは遠征にいく準備を整えていた。

見慣れない遠征用らしい騎士科の制服と少なくない荷物を背負っていた。

その後ろにはかなりの人数が見える。



「うわ、なんかいっぱいいる…!」


「はは、朝から驚かせて悪ぃ。流石に数が数だし受け取ったら集合場所に行かなきゃいけないから欲しい奴連れてきたんだよ。全部で何個できたか聞いてもいいか?」


「合計で81個できているから、1つ辺り銅貨2枚として支払総額は銀貨16枚と銅貨2枚になる。今回は素材提供を受けていること宣伝を兼ねて銅貨2枚にしているが次回からは通常価格で販売するから覚えておいてくれ…――――それと、これが素材の買取リストだ。これも今回限りだな。量が多かったり状態が悪ければ買い取れないこともあるがそれは構わないな?」


「おう。冒険者ギルドでも似たようなもんだからなー。じゃあ、戻ったら直接こっちに寄るわ」



一ヶ月を目安にしててくれ、と笑ってエルは嵐のように去っていった。

 結構あっさりしてるなーなんて思いながらも手を振って見送った私にベルは小さく息を吐いて工房に入るよう声をかけた。


 そこからは少し早いけれど朝食にしようということで食事をしたんだけど、食事の終わりごろにベルが真剣な顔をして呟いた。



「エル達ですけれど…恐らく素材を取って来る余裕はあまりないと思いますわよ」


「素材を取って来る余裕がないって…なんで?」


「イズン湿地に向かうにはあまりふさわしくない服装の者が3分の1ほどおりました。それも中流貴族もしくはそれに属しているあまり評判のよくない者が紛れていましたし、なにか企んでいるのでしょう」



一瞬ベルが何を言っているのかわからなかった私は目を瞬かせてマジマジと赤い瞳を見つめる。



「企むって…先生もついてるんだよね?」



「教師を信頼するのは結構だと思いますけれど、個人の資質というものもございます。教員もいましたけれど…貴族の出身者が二名、恐らく冒険者上がりの教員が1名でしたから…実力もわかりません。まぁ、貴族ではない方の教師はなかなかの腕を持っているようでしたけれど…庶民出の生徒が3分の2という時点であまりいい予感はしませんわね」


「そんな…じゃあエル達は?」



想像よりも危なそうな自体に絶句する私にベルは小さく首を振って



「無事を祈るしかありませんわ」



と告げた。

 思わずパンを口に運ぶ手が止まってしまった私とスープを飲む手を止めたベルにリアンが普段と変わらない口調で、一言。



「被害が出るのは十中八九貴族の方だろうな。恐らく、エル達は無事に帰ってくるぞ」



しれっとした顔でなんでもないことのように告げる。



「…なんですの、それ」


「エルには早めにイズン湿地に行くために必要な最低限の装備情報を渡してある。解毒剤に関してはどうにもならなかったが、口布などの装備品は確保していたからな。お陰でいい儲けになったぞ。口布は去年あまり売れなくて在庫を持て余していたから助かったと実家からも礼の手紙が届いたくらいだ」



ぽかん、と口を開けたままリアンを見ていると一瞬視線があって、思い切り鼻で笑われた。

むっとして睨みつけてみるものの素知らぬ顔で“大丈夫”だと言い切ったもうひとつの理由を口にした。



「なにより、エル自身が貴族側を警戒しているからな。訓練に当たるグループも教師と手を組んで問題のある貴族とそうでない庶民のグループでうまく分けたそうだ。冒険者上がりの教員も今回の騒動を快く思っていないようで随分乗り気だったと聞いている―――…貴族側の教員にも進言はしたそうだが軽くあしらわれた、とも聞いているから被害が出るのは間違いなく貴族側だろう」



事前の情報収集ほど大事なことはないだろうに、愚かとしか言いようがないと蔑むように吐き捨てたリアンは残りのスープを飲み干して口をナプキンで拭ったあとお茶を入れるとキッチンへ向かった。



「…えーと……まだ理解できてないんだけど、とりあえずエル達は大丈夫っぽい、ね?」


「そのようですわね。まぁ、杞憂ならばそれでいいのですけれど……ちょっと、本格的に探りを入れてみますわ。丁度茶会もあることですし。錬金科にも似たようなことが起こらなければいいのですけど」



やれやれと疲れたように息を吐いてベルもスープを飲み干した。

 私もパンをどうにか食べ終えたんだけど、丁度リアンが人数分のカップとお茶の入ったポットを持って戻ってきた。



「ベルは茶会に行くと言っていたか?学院に行くならこれをワート教授に届けてくれないか」


「―――……いいですわよ。大した手間でもありませんし」



断るかな、とも思ったけれどベルは思ったよりもあっさり結構な厚みがある封筒を受け取った。

 何が書いてあるのか気にならないわけではないけど、そこまで聞くのもどうかなーと思ったので大人しくリアンの入れてくれたお茶を飲む。



「私はこれを飲んだら支度をしてここを出ますわ。貴方たちは一日工房にいるんですの?」


「うん、そのつもりだよ。調合したいの結構あるし」


「僕もストックしておきたい調合素材があるから出る予定はないが」


「…本当に物好きですのね。まぁいいですわ、戻ってきたら報告も兼ねて提案があるので聞いてくださいまし」



それだけ言うとぐいっと紅茶を飲み干してベルは自室に戻っていった。

 食器を洗うのはリアンの当番らしくカップはそのままだ。



「ベルの提案ってきっとアレだよね」



完全にベルが見えなくなってから思わず口を出た言葉にリアンは苦い顔をして頷いた。



「だろうな。一応、準備はしておくがあまり時間がかかるようなら却下する」


「うん、あとモンスターが強すぎるところも却下してね。私まだ死にたくない」


「当たり前だ、僕もまだ死ぬ気はない」



思わず2人で遠い目をして今夜ベルが言い出すであろう提案に思いを馳せる。

 あー、どうか厄介な場所じゃありませんように!!


ここまで読んでくださってありがとうございます。

誤字脱字変換ミスなどがあれば、教えてくださると助かりますー。

気づいたら、即時直します、ええ、恥ずかしいので。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 騎士科についてのエルの台詞が気になっています。 39話にてエルが『騎士科は入って30日目に5人くらいに分かれて、騎士団の人たちの仕事に同行することになってるんだ。成績や身分に関係なく…
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