344話 地図は揺れる蝋燭ランプで
あれ・・・なんか想定外なことになってきてる・・・??(汗
和やかな食事が終わり、お皿もキレイに空っぽになった頃、イマルさんが立ち上がった。
「そろそろ食事も終わるし、俺洗い物してくるよ。その方が早く話ができるだろうし」
よいしょ、と食べ終わったお皿を手に持ったイマルさんを止めたのはリアンだった。
その手には見覚えのある用紙。
「申し訳ありませんが、冒険者の皆さんはこちらへ。ベル、悪いが紅茶を。ミント、洗い物を頼んでいいか? 話し合いが終わったら僕も手伝いに……」
「リアン殿。俺がミントさんと洗い物を。こうみえて、家事は一通り」
パッと立ち上がったのはゼランだ。
勢いにリアンを含め全員が驚いたものの、反対の声は上がらなかった。
「……では、宜しくお願いします。冒険者の皆さんには商品を紹介しようと思いまして」
「商品? って、ライム達がやってる工房の? 船で買わせてもらったけど」
ミントたちが離れたのを見て盗聴防止結界を展開したリアンに視線が集まる。
「結界は念のためです。今からお見せする商品は、カルミス帝国の学園生徒であるゼランには見せる気がないのです──未来の商売敵ですからね」
ふっと目を細め薄い笑みを浮かべたリアンにハッシーさんがニヤリと笑う。
この二人は少し似ていて、まるで兄弟みたいに見えることもあった。
「いーんじゃない。俺、そういう風に割り切れる奴、信用できるわ。んで、何を売ってくれるわけ?」
「皆さんの事は信用していますし、販売する相手としての条件も満たしているのでお売りできるアイテムです。ライム、悪いが【乾燥袋】と【識別薬】【結晶石の首飾り】【消臭液】【カギドマ軟膏】【発泡水】【上級・氷石糖】を出してくれ」
わかった、とポーチから言われた順に並べる。と言っても乾燥袋は二つ、他のものも数が限られている。これは元々『出していい』と言われていた数だ。自分たちの使用分確保は最優先だからね。
テーブルに並んだアイテムを見たハッシーさんが口元をひきつらせた。
アウルさんやゼン、イマルさんは目を輝かせている。
「これは凄いなぁ……まさかこんなに出てくるとは思わなかったよ」
「すっげぇ! え、俺これ初めてみた」
「ねぇねぇ、これってさ、何色の首飾りになるの? 見たことない色合いなんだけど!」
好奇心を前面に押し出している三人とは裏腹に、ハッシーさんは額に掌を当てて「将来有望どころか既にヤバイんじゃ」とか呟いていたけれどイマイチ意味が分からなかったので首をかしげておく。
「……これ、俺たちに売ってくれるってことでいいワケ?」
「勿論です。護衛の件もありますし、釣り合いが取れるかどうかは分かりませんが」
「十分すぎる。というか、貰いすぎ。そりゃ一応、俺らは有名ではあるけど局所的。ダンジョンには詳しいしある程度の事は分かってるけど、ダンジョンは『生き物』だ。ちょっと離れてる間にパターンやらなんやらが変化してる可能性が高い。一応、帰ってきて情報は集めたけどな? それでも俺たちは万能じゃない。ここまではいいな?」
重要事項だ、とハッシーさんは真剣な顔でリアンを見据える。
強い視線を受けてもリアンの表情も声色も全く変わらなかった。
「それを踏まえて、お売りします。僕とベルはまだ自衛ができますが、ライムは戦闘自体ができない。禁約でそうなってるので何があっても彼女を優先して下さい。必要であれば素材は放り出してでも逃げて下さい」
リアンの声は想像よりも重くて、深刻だった。
ぎょっと目を剥いたのは私だけで、他の全員はきりっとした表情で何やら考え込んでいる。口元に手を当てたゼンが口を開く。
「わかった。俺らも『完璧』じゃないし、ライム優先でいく。ちなみにこれはライムが作ったもんで間違いないな?」
「ええ。間違いありません。目を離すと色々なものを作っているので……こちらの【乾燥袋】は三人で作成しましたが、アイテム名の通り濡れたものを乾燥させるだけですから魔力色の影響は受けません」
しっかり用途と使い方を説明したリアンに四人は感心しながら
「めっちゃ便利」
「洗濯忘れても余裕で乾くって事じゃん」
「デカいし鎧の類も入るな」
「これ、干物とか作れそうだよね」
などと、楽しそうに話し始めた。
【乾燥袋】の次に注目を集めたのは【結晶石の首飾り】だ。
これはラクサに指導を頼んで作ったものなのでかなり品質が高い。使用した結晶石はラクサが加工し、私が錬金加工を施している。
普通に作らず、極力安い費用で効率的に作ろうと量産する一方で高級品を作ろうと品質の高いもので作ったものもずらり。
「使用した素材は様々ですが、ここに出しているのは最高品質のジェムクラスの結晶石ばかりです。ライムが作ったからか、元の属性に加えて無色の魔術に適応しています。まぁ、ジェムクラスといっても結晶石なので刻める魔術は一つですが」
いかがです、とリアンが口にする前にイマルさんが素早く一つを手に取ってリアンの眼前に突き出す。
「買った。オレ、こっちの黄色いやつ! めちゃんこカッコいい」
「俺も買った! やっぱ俺は赤だろ。二色でしかも魔術込められるとか、性能ぶっこわれじゃん。しかも革紐も染めてある」
「じゃ、俺は青のやつかな。魔術が込められる上に男でも違和感なくつけられるってかなり助かるんだよね。コッチじゃ女性用が多いし、装飾品よりも武器や防具に力が入るから、気に入るものを見つけるのが難しいんだよ」
値段は聞かなくていいのか、と口をはさむ前にハッシーさんが深いため息と共に一つを手に取った。
「……もう何が出て来ても驚かねぇぞ。俺は緑にしとく。魔力色が同じってのがわかりやすくていいし。コッチのは詠唱短縮と魔力回復する【氷石糖】だよな」
リアンが頷いてアイテムの性能や効果を説明していく。少しずつ四人の顔から感情がごっそり抜け落ちていくのが少し怖い。
最終的に値段を聞かれて答えたリアンに全員が「安すぎる」と猛抗議。
「これが適正価格です。少し色も付けていますよ」
肩をすくめるリアンにアウルさんが一言。
「もしかして俺ら、すんごい子と知り合った?」
「もしかしなくても、すんごい子と知り合ってるわ。船酔いでダウンしてて良かった」
「死ぬかと思ったけどね。でも、全員魔力色を気にせずに使えるって、本当に助かる。普通のアイテム使える人みたいじゃん」
「ほんとそれな」
お金を置いてキッチリ清算した所でリアンが結界を解除した。
四人は道具入れに購入したアイテムを収納した後だったので、台所から戻ってきたベルやミント、そしてゼランがアイテムを目にすることはなかった。
「あら、話が終わったのね。よかったわ。紅茶も淹れたから改めて話をしましょ。今回ここに足を運んだ目的は顔合わせと打ち合わせの為だもの」
お茶を配るベルの言葉にハッシーさんが腕を組んで頷く。
他の三人は紅茶にそっと口をつけて「高い味がする」「うっま」「紅茶って美味いものだったのか」などと小声で話していて温度差が凄い。
「俺達としても情報共有してくれるのは有難い。こっちも色々考えて情報集めてたから、その話もしたかった」
「だなー。何より飯が食えたのが最高だった。船で食ったのが忘れられなくってさー。やっぱ美味かったわ」
「ゼンの発言は無視していいから。まず、俺からも確認したい──上級体力回復薬と魔力回復薬の素材はこれであってるか? 潜るダンジョンを決めるのに調べてみたんだが」
ほら、と出された一枚の羊皮紙にはやや丸みを帯びた字で素材名が書かれていた。
錬金術師でも必要素材を書き出すまで時間がかかるのでかなり驚く。
「よくこんなに詳しくわかりましたね」
思わず私がそう口にするとハッシーさんは口をへの字にしたまま
「仕事柄情報を集めるのは得意だし。って、あ、いや、悪い。つい」
「あはは。ハッシー口悪いから。悪気はないんだ。ちょっと気が抜けたり身内認定すると扱いが雑になるだけ」
「そーそ。ライムちゃんたち、なんか妹や弟みたいでほっとけないんだよね。イマル兄ちゃんって呼んでくれてもいいよ。ほら、髪の毛も黄色系で似てるし」
ヘラッと笑ってフォローを入れるアウルさんとニコニコしながら場を和ませるように笑うイマルさん。
気にしてない事や気楽に接して欲しい事を伝えるとハッシーさんはほっとしたように肩の力を抜いた。
リアンは当人の様子よりも羊皮紙の内容に感嘆していた。
商人という視点から見てもかなり情報収集能力が高い、らしい。
「驚きました。素材自体はこれで問題ないですが【クームペイ・ドリスの花粉】については数に入れなくて大丈夫です。同行した助教授二名が非番を利用して採取してきてくれると言っていたので。どうしても手に入れられない場合や数が足りなかった場合は、購入を考えています。他の素材に比べて比較的『ついで』で刈る冒険者も多いそうですし」
「お。さっすが大商会の息子だな。【クームペイ・ドリスの花粉】が効率よく採取できるダンジョンは此処から一番遠いんだ。外せるだけでかなり助かる。あ、少しだけなら採取できる場所はあるからそこでオマケ程度に採取は出来るから着いたら教える」
「助かります。上級回復薬は調合したことはないので。失敗のリスクが高い」
はぁ、と憂い顔で息を吐くリアンにアウルさんが頷いた。
曰く、彼らは今まで錬金術師からの依頼を受けたことを踏まえて、今回の採取について色々考えてくれたらしい。
「基本的に『予備分』があると安心できるって聞くし、俺達も武器は複数持つのが常識だからね。何より、ライムちゃんの作ったものは間違いなく俺達の生命線になる。だから、色々作って欲しいんだ。当然手助けはするし必要なら援助も惜しまないつもり」
安心して任せていいよ、と力強く頷くアウルさんはどこからどう見ても頼りになる大人だった。誠実さが伝わる話し方や姿勢が冒険者として以前に、色々な人から頼られる要因になるのだろう。
後でリアンやベルに印象を聞いてみたのだけれど、二人ともアウルさんはある意味で特別だといっていた。警戒しなくてはいけない場面でも信用してしまう、そんな魅力があるから厄介らしい。ただ、冒険者は信頼関係を築くことができれば強い味方になるので敵に回したくない相手だとか。
「後でリアン君と話を詰めるけど、君たちが在学中だけ回復薬系統の素材をこっちで送らせて貰えないかな。対価はライムちゃんが作った回復薬でお願いしたい。リアン君やベルちゃんが作ると、俺とゼンしか使えないからね。勿論、作成してもらったアイテムの代金は支払うけど、指名料の代わりに素材を受け取るって形にしてくれると助かるかな。素材は君たち二人の分も送るよ」
「僕らは有難いですが……それでいいのですか?」
「本当に死活問題だからね」
必要なら魔力契約も結ぼう、とアウルさんが懐から用紙を取り出したので、リアンは首を横に振った。
「では、その話は後程。申し訳ないのですが、カルミス帝国には複数のダンジョンがあるとか。どの順に巡ればいいのか気になっていまして」
恐らく、冒険者の方でも考えるだろうといっていた通り彼らは既に色々と考えてくれていたらしい。
本題に入る、と言わんばかりにハッシーさんが軽く咳払いをした。
「んじゃ、はじめますかねっと。留学中ってことは日程もシビアだろうし、明日出発したい。で、問題になるのは組み分けだ」
「組み分け……? 全員で行くものだと考えていましたけれど、違いますの?」
ハッシーさんが言うように、日程が詰まっているので異論はない。
戸惑っている私達を代表するようにベルが疑問を口にすると、アウルさんが腕を組んだ。
「効率が悪いんだよ。そもそも入場制限があるから全員入れない。複数に分かれてダンジョン内で合流でもいいけど、カルミス帝国に滞在できる時間が限られている以上は効率的に採取をした方がいいんじゃないかな」
困ったような表情を浮かべたアウルさんはゼン達に指示を出して魔石ランプや大きなカルミス帝国ダンジョンマップ、というのをテーブルに広げる。
何故かテーブル周りの照明は蝋燭を使ったランプだった。
揺れる蝋燭の灯りは魔石を使用した場合よりも狭いが、室内照明で明るい為、良いアクセントになっている。
「蝋燭のランプと地図があるとワクワクするね」
そっとミントに話しかけると、瞳を輝かせて頷いた。
口許は弧を描き、私と同じようにやや前のめりで地図を見ている。
「冒険が始まる感じでいいっしょ。まずはダンジョン周りについて話すわ。ハッシーが」
「俺かよ! まぁ、いいわ……えー、まずは各ダンジョン周辺には特急個人馬車ってのがある。冒険者たちはコレを使って、目的のものが取れたら移動するんだ。で、この二か所は地図で見ても近いよな? 特急馬車を使えば、この区間は片道移動時間三時間。特急馬車に関しては、荷台や馬は俺らが一人一台、馬も二頭ずついるからそっちも使うぞ。『御者』は贔屓にしているところがあるから、ゴリ押しだな。こういうのは知名度があったり冒険者として腕がいいやつが優先的に選べるんでね」
へぇ、と感心している私の横にイマルさんがニコニコしながら地図を広げる。ポケットに入れるサイズの小さなものだ。
ダンジョンというのは本当に一つの町のようになっているらしい。
感心しているとひょっこり顔を出したのはイマルさんだ。
嬉しそうにココ見て、と指さしたのは町の地図だった。
「ここ、ライムちゃんを連れてきたい場所なんだよね。自然型ダンジョンだから腕のいい採取師なら一回潜るだけでかなりの量収穫できるんだ。勿論、周期があるから、ダンジョンの入口でお金払って情報を貰う必要があるけど、基本的に上層は安全だよ。地下に潜るにしたがって過酷な環境になるけどね」
「自然型ってことは広いっていう……?」
「そうだよー。あと、お勧めの店があって、ここに採ってきた素材をまとめて買い取る店が密集してるの。自然系ってことで食材も多いんだ。価格もモノによっては他で買うより安くて、それを使った料理も充実してて役に立つと思うよ」
細かい情報が書かれた地図を見ていいのか迷っていると嬉しそうに一店舗ずつ解説してくれたので、うっかり聞き入ってしまった。
「って、せ、説明を聞かないと!」
慌ててアウルさん達の話に意識を向けようとしたんだけれど、ハッシーさんがそれに気づいて「そこの二人は仲良く話しててくれ」と一言。
頷いたものの、戸惑っているのが分かったらしいイマルさんが深く頷いた。
「実はさ、これ俺達から頼もうって話してたんだ。採取能力が高いのは分かっていたから、能力別に分けたらライムちゃんはココ一択なの。で、同行するのはアウルさんとゼン。リアンくんは薬系の素材が多い場所でベルちゃんは戦闘能力が必要な所に割り振る予定。他にも何人か来るんだよね?奴隷君もいるって話だけど……基本的に戦力を平等に振り分けたいんだ。ダンジョンによっても向き不向きがあるからさ」
これでも俺達、いっぱい考えてるんだよーとのこと。
イマルさんの雰囲気言葉はリアンやベルにも聞こえていたらしい。意識がこちらへそれたのを認めたアウルさんたちがそれぞれ二人の前に用意していたらしい町の地図を置いた。
「話に出たから、コレお勧めの採取地の地図。リアン君を連れていきたいのはココ。知恵試しが多くて、それを解きながら進む必要がある。基本内部は塔と自然型の混合タイプ。自然の中に次のフロアに繋がる扉や仕掛けがあるって考えてほしい」
静かに聞く姿勢になっているリアンにアウルさんは満足そうに目を細めて続きを話す。とん、と地図の上を指さしていく。
「本屋と薬屋が多いでしょ。他にも専門職が多い。ここ、薬素材もだけど本も出るんだ。珍しいものから一般的なものまで色々。階層が上がるにしたがって希少な本が手に入る確率が上がる。全くでないこともあるけど、そうだとしても好みの分野でなければ売り払う人間が多い。錬金術関係の本も多く出回っているからどうかと思ってね」
「そういう事であれば、是非」
納得したのか頷いて朗らかに手を差し出したリアン。しっかりアウルさんが頷いて、一緒に行くのはイマルだと続ける。意外だったのか視線がこちらへ。
「宜しくね! 俺、この周辺の店の人とは仲良いから色々融通が利くんだ」
「ああ、なるほど。よろしくお願いします。あまり強くはないですが足を引っ張らないようにします」
イマルは直感が鋭いのと応用が効くからこういった場所では大活躍するとアウルさん。
こそっとベルにハッシーさんが「ああいってるけど、実力は?」と聞いていて、ベルは少し考えて「ありますわ。体力面が心配ではありますけれど」と一言。
「俺はベル嬢とここだな。珍しい迷路型ダンジョンで、一定の条件を満たすと特定のアイテムの排出率が上がる。入場者全員が近距離武器で今回狙っている素材は、この条件じゃなきゃ無理だ。他の所は入手率が低い。一応、適切な時間と場所も特定できている」
「何というか、随分と用意周到なのね」
「コレで生きてきたからな。あとは、ライム所有の奴隷についてだが……できれば、分けたい。ただ、これは主人の理解と許可が必要になるってことで、どうだ?」
そのあたり、と言われて試しに誰をどこに欲しいのか聞いてみた。
私としては特に問題はなかったので、了承。
「共存獣は私の所でいいんですよね?」
「ああ。忠誠心が高すぎて俺らじゃ制御しきれない。あとは、ライムの所の奴隷も忠誠心が高い。割り振る際に『頼んだ』と一言、信頼を示すような言葉をいってくれ。それだけで働きが違う」
真面目な顔で告げるハッシーさんに戸惑う。
そんなに改まっていうことだろうか、と考えているのが表情に出ていたらしい。
「ええと、じゃあ……あ。ご飯も多めに持たせますね。時間停止の袋ってどこで買えますか? 買えなくても借りれる所とか」
どうだろうとハッシーさんを見ると、彼は親指をアウルさんへ向ける。
道具の管理は彼がやっているらしい。
「時間停止の袋なら結構あるし、1パーティーに付き三枚は渡しておくよ。君たちには食事代の代わりに貸しておくってことで。もし、今回拾えなければ売って……だとちょっと心情的に嫌だから、なにかと交換しようか。珍しいものがあればいいんだけど」
この発言にリアンが口を開いた。
私もベルも頭に浮かんだのは一つのアイテム。
「では【ノートル印の貼り薬】を出しましょう。と言っても、一つしか出せないのですが」
初めて聞くアイテム名だったのかアウルさんたちが顔を見合わせる。
それをみて、リアンがアイテムの説明をしていくとアウルさんの目が輝いていく。
「買った!!! それ、俺すっごく欲しい! 個人で持ってるやつがあるから、在庫二十枚は出せる」
どんとこい、とやけに鬼気迫った目で迫るアウルさんに戸惑っていると時間停止効果が付加された最大十種類のアイテムが入る道具袋五枚と貼り薬一瓶と交換することになった。
リアンが珍しく押されていて、価格的にあちらが損をしているのに本人は満足そうな顔をしていた。
「いっやー! これは嬉しい! 有難い! 俺さ、最近腰に来てて……はあぁ、嬉しい。早速試してみるよ。これって完治する? それとも回復だけ?」
「完治ですね。蓄積したダメージや後遺症にも効果があることが分かっています。ただ、重度の後遺症であれば、連続して二枚の使用が望ましいので留学が終わってからで良ければ、作成可能ですよ。幸い、僕の魔力は青色なのでアウルさんは問題なく利用できるかと」
「あ、そうか。じゃあリアン君、是非頼むよ! いっやぁ、良かった良かった」
欲しいものがあれば考えておいて、と続けたところである程度話がまとまって、細かく羊皮紙に書き出している所でドアがノックされた。
ゼンが立ち上がって、来客の対応をしていたのだけれど、ここで困り切った顔で振り返る。
「あー……その、騎士団の隊長サマがきたんだけど」
どうしたらいい? と口元を引きつらせていた。
一瞬にして静まり返る空間。
ちらっと見えたのは、なんだか見覚えのある人で……うっかり立ち上がって指をさしていた。
書き溜めていたものがあったので、早めに放出!
次は少し時間がかかるかも知れません。




