218話 シスターと細工師の『資格』事情
ながーい日常回。
ミントがいっぱい喋ります(笑
教会に行ったついでに私は雑木林でちょっと採取をしていけることになった。
メンバーはベルとミント。そしてルヴとロボスだ。
初めての戦闘なんだけど、かなり安全に採取が出来たと思う。
成果はアオ草と魔力草がわんさか、苦草やアルミス草も手に入った。
エキセア草はなかったけど、小さな芽はあったから今後に期待って所かな。
ミントはこれから冒険者ギルドに用事があるとの事だったので、途中まで一緒に帰ることになった。
坂をのんびり歩きながら、採取旅で出会った人や見たもの、食べたものについて話す。
勿論『雨霞の集落』については話せないから、主にスールスでの出来事を話した。
「そういえば、ミントって裁縫とか得意?」
「得意とまではいきませんけど、ある程度はできます。ライムはあまり得意じゃないんですか?」
「縫うのは出来るけど、好きではないかなぁ。時間かかるし……都会に出てきて驚いたんだけど、皆刺繍できるんだね。凄くびっくりしたよ」
私の周りにいる人は何故か皆、刺繍ができる。
驚いたことにディルやラクサ、リアンも簡単なものならできて、自分で刺繍したハンカチとかを見せてくれたんだよね。
何事かと思った、正直。
ラクサは細工師だけあって凄く複雑で難しそうなのを作ってたし、ディルは召喚獣を使役する関係で道具を手作りする必要があって覚えた、って言っていた。
リアンは、母に無理やり教えられて、とのこと。
サフルと二人で顔を見合わせて「刺繍できる?」「できません」「私も無理」みたいな会話をしたのはホント最近のことだったりする。
「貴族子女であれば、まぁ否が応でも習いますし、庶民は刺繍で服にひと手間加えて『可愛らしく』もしくは『美しく』するようですわね」
「シスターは祈りの刺繍や聖印などをハンカチに刺繍して販売することで利益を得ることができるので自然と」
「そっかぁ。私は必要だと思ったこともないし、服に刺繍しようと思ったこともなかったからなぁ……糸の無駄だと思ってたもん。糸、高いし」
糸を紡ぐにしても、糸を作るのが手間だった。
今みたいに調合が出来れば刺繍用の糸を調合して暇つぶしにしていたかもしれないけど、そんな余裕はなかったし力もなかったからどう考えても無理だ。
「こっちでは恋人にプレゼントするハンカチや手袋なんかにその人の家紋や好きな花、モノなんかを刺繍して渡すの。刺繍を覚えたいなら私やミントで教えるわよ」
「裁縫ができるなら刺繍もあっという間に覚えられますよ」
ね、と楽しそうなミントやベルには申し訳ないけど、私はいやいやーと二人に向かって両手を振った。
「恋人とかよく分からないモノの為に時間使うのヤダよ。そもそも、結婚? とか言うのもいまいちピンとこないし、よく分かんない人と一緒にいるならベルやミントと話してる方が楽しい」
「よく分からないモノってライム、アンタねぇ……私と違って自由恋愛で結婚できるんだからもう少し興味持ちなさいよ」
「えー……だって結婚したら調合とか採取とか好きな時に出来ないんだよね? まぁ、人手が増えると役割分担できるから効率はいいかもしれないけど、食料+一人分って考えると……ちょっとなぁ。首都みたいに簡単に手に入るならいいけど、そうじゃない訳だし」
しかも、結婚できるのは異性だって話だから私の場合、相手は男の子じゃなきゃダメだってことになる。ルヴやロボスがいて、サフルもついて来てくれる確率が高いし……新しく男手が必要だとは到底思えない。
歩きながらそんなことを話してると二人とも何とも言えない顔で悩んでいた。
「それを言われてしまうと……私も、男手がなくても教会は何とかなりますし、むしろいた方が邪魔なような気が」
「私なんて到底邪魔でしかない相手を家柄も加味して選ばなくちゃいけないのよ? 恋愛には憧れがない訳じゃないけど、害にならなければぶっちゃけ誰でもいいのよね」
「ベルは大変だよね。貴族って結婚しなきゃいけないんでしょ?」
貴族について詳しくは知らないけど、昔おばーちゃんの所に来ていた貴族はよく愚痴を言っていたっけ。
政略結婚がどうの、とか好きでもなんでもないけど義務を果たすために、とか。
三人で歩きながらお互い顔を見合わせて苦笑する。
「まぁ、今は結婚とかどうでもいいよ。私、今のまま錬金術を三人でして、ミントやディル、エルやイオとかラクサとかと楽しく採取に行ったりご飯食べたりできればいいし」
「私もです! 腕がなまらないように定期的に冒険者ギルドの依頼を受けているので、安心して一緒に旅をしましょうね。あと、一つ上の資格を取ろうと思ってるんです。上級シスターって言うんですけど、それになれば今回みたいに年間行事に参加しなくてもよくなるんですよ。それに上級シスターが教会を留守にする場合は補充要員も派遣してもらえるので長期採取にもついて行けます」
ミントによると、上級シスターになると服の色も変わるみたい。
戦闘・治療・統制のテストを受けてその内二項目合格点に達したら上級シスターとして認められるんだとか。
合格すれば、服の色は自分で選べるみたいなんだけど、おおよその傾向として戦闘に長けていれば灰赤、治療が得意なら灰青、統制――…教会の運営とか細かいことのまとめとかが好きなら灰緑を身につけることが多いらしい。
「私、いっぱい応援する! 勉強とかは見れないけど、甘いものの差し入れとか」
「ふふ。有難うございます。シスター・カネットに勉強を見て貰うのは簡単にできると思います。以前から『上級シスター』の資格を取りなさい、『全部合格したら特がつくから祝い金がでるし、それで色々揃えなさい』って言われていたので」
「資格を取ると教会にも色々いいことがあるの?」
「はい。支給金額が跳ねあがるんです。私も、将来のことを考えるといずれはって思っていたんですけど……この際なので挑戦してみます。ライム達が楽しみながら勉強しているのを見て、羨ましいって思っていたのもあるし、もっと自分がどこまで出来るのか確かめても見たくなって……問題は『治癒』の分野なんですけど」
ミントによると、治癒能力がない場合は『錬金アイテム』や『薬の組み合わせ』を覚えて実際に手当てをする必要があるらしい。
薬について学ぶのは比較的簡単らしいんだけど、錬金アイテムが難点だと聞いたので私とベルは思わず顔を見合わせた。
「錬金アイテムについてなら私やベルも役に立てるね!」
「そうね。何かあったら頼って頂戴。部屋もあるし、数泊していくくらいは大丈夫だと思うわ。それほど教会から離れていないし」
「……はい! 私、がんばりますっ」
ぎゅっと拳を握ったミントに笑いかけながら、黒いシスター服じゃなくなったミントを想像してみた。
服は申請して教会から受け取るか、自分で用意するかの二択らしい。
自分で用意する場合は『シスターに相応しい服』じゃなきゃダメみたいだけど。
「私、ミントには灰青か灰緑が似合うと思うな。あ。けど、個人的には灰緑がいいかも。ほら、私も緑っぽい服だし、髪も緑以外は似たような色だしさ。ミントは綺麗な金髪で私は黄色と緑だけどお揃いにみえるでしょ?」
山を下りて見かけた子たちがお揃いのものを身につけているのを見て、羨ましいと思っていたことをうっかり話してしまって慌てて口をつぐんだ。
何だか恥ずかしくなったんだよね。
実際、友達なんていなかったけど……凄い田舎者みたいだし。まぁ、これも事実だけど。
「ライムとおそろい…――― 私、絶対灰緑の服着ます。絶対。何が何でも」
来年の春に試験があるので受かります、と息巻いていたので思わず瞬きをしてミントを見る。
だって、来年の春って言ったら約半年しかない。
半年でどうにかなるものなんだろうか、と思っているとミントはニッコリ微笑んだ。
「大丈夫です。戦闘は実践なのでどうにでもなります。勉強もそれほど苦ではありませんし、学ぶのは好きなので」
早速戻ったらシスター・カネットや他のシスターにも話をしますね。
私は、この辺りでと笑顔で冒険者ギルドのある方へ走って行ったので手を振って見送る。
「……媒染液用意しておいた方がいいよね。灰緑の」
「そうね。今年は無理だとしても来年には受かりそうだから用意しておきましょう。布もそうだけど、デザインなんかはファラーシャに聞いてみるのがいいかもしれないわ」
服関係のことをしているのはファラーシャだけだったので頷く。
一度布系の調合をしたから見通しも立てやすい。
時間がかかるのも知ってるしね。
工房に戻るとラクサとリアンが何やら話をしていた。
多分グミを入れる容器の事だろうなぁと思っているとラクサがパッとこっちを向いて嬉しそうな顔をする。
目の下にはクマがあったけど、本人はよく寝た!みたいな清々しい笑顔で近づいてくる。
「おはようッス! いっやぁ、この工房にいると次々にやるコトが舞い込んでいいッスね。オレっち、寝る暇ないくらい創作意欲爆発してるんスよ~」
「寝ようよ」
「あはは。いやぁ、色々『勉強』した後だからか、忘れないうちに、記憶が鮮明で体がある程度覚えてるうちにモノにしたくって……ってことで、もうちょっといてもいいッスかね? 自分一人だと飯作るのもあれだし、時間の感覚もマヒしてくるんスよ」
「私は構わないわ。その辺の交渉はリアンにして頂戴」
ひらひらと手を振りながら工房内に入って、近くにいたサフルに湯浴みをするから部屋にお湯を運んでくれないかしらと話しかけているベルは、サフルにお湯が準備できるおおよその時間を聞いてから二階に上がる階段付近で足を止める。
クルッと振り返ってその場で話を聞く姿勢を取った。
私と言えば、ラクサの期待に満ちた視線が向けられていることに気付く。
まさか意見を求められてるとは思ってなかったので慌てて素直な気持ちを伝えた。
「ラクサがいいなら私は全然気にならないよ。ゴハンは元々保存も考えて多く作ってるし、貰うものは貰ってるみたいだから」
実はラクサ、ちゃんとリアンに宿泊費ならぬ食費と居候する費用を払っている。
一人分とはいっても食費がちゃんと入ってくるのは有難いので私としては特に文句も不便もないんだよね。
(ラクサって基本的にフォローが上手いんだよね。意見が衝突する前に考える時間や切欠をくれるし、割とぶつかりがちなリアンとベルの意見もうまくまとめてくれるから助かるっていうか……商品の配置に関してもベルと話が合う位だからセンスあるんだろうな)
ちなみに私は割と壊滅的。
回復薬は回復薬、ってまとめておくくらいしかできない。
見栄えとか、よく分かんないし。
リアンは二人に言わせると「面白みのない」配置をしがちなんだって。
機能的過ぎてつまらん!って駄目だしされてた。
「ところで、何を相談してたのかしら」
「ああ、グミっていうモノを入れる容器についての相談ッスね。暑くなりすぎると溶けるらしいんで、容器の中の温度を一定に保てないかって」
「ふぅん。で、できそうなの?」
「出来るッスよ。ただ、ちょっと容器の問題があるんス。金属と魔石硝子を組み合わせるのが一番良さそうなんすよね。宝石だと高くなりすぎるンで」
どういうことだろう、と思っていると金属に文字を刻むだけでは駄目で、魔力を貯めて一定量放出し続けることができるようにしなくちゃいけないそうだ。
強度も考えて妥当な所が術式を彫った金属ケースに魔石硝子のコーティング、若しくは魔石硝子を埋め込んで安定して容器の中を一定温度に保てるようにする方法がいいだろうとの事。
「で、ケース込みの販売になるとどうしても高くなるッス。そろそろ昇級試験を受けようと思ってるんで合格すると技術料も値上げになるンすよ」
「昇級試験って、え? 細工師って試験があるの?」
驚いて聞き返すと彼はごそごそと服の中から一枚の首飾りを取り出した。
そこには金属の板。
ラクサ・ピッパリーという名前と『6』という数字が彫られている。
名前の下には、ラクサが出来ると思われる細工種類が記載されていた。
「コレが細工師の登録証ッス。この数字が少なくなるほど腕がいいってことになるんス。6級は独立できる『一人前』のレベルなんスよね。んで、6から5に上がるのが大変で……今回、色々教わって今復習かねて商品作る速度と精度を上げてるんで、じゃんじゃん商品案を持ってきてほしいッス」
「それはいいんだけど、大丈夫? 寝てないなら寝た方がいいよ、錬金術もちゃんと寝て、食べてある程度健康でいないと集中力とか切れて上手く調合出来なかったりするし」
「試作したら夜まで寝るんで大丈夫ッス。オレっちも限定販売で対応することにしたんで、一人で生活して工房切り盛りするよりずっと楽ッス。惜しむらくは、ここが『学院』所有の建物って所ッスよね」
街に買い物に行かなくても温かい食事が腹いっぱい食べられるだけで、有難いと言いながらラクサは大きく欠伸。
試作品が出来たら持ってくる、といってそれからサフルにお金を渡し店番と食事を持ってきたらノックして欲しいと頼んでいた。部屋で食べるらしい。
「じゃあ、オレっち早速試作するンで」
疲れているのは確かなのに足取りの軽いラクサは鼻歌を歌いながら部屋に戻っていった。
作業するなら片手で食べられるオニギリにしようと心に決めて私は朝食を作るべく台所へ。
ベルはリアンに収穫した素材を見せて、湯浴み後すぐトリーシャ液を作ると話している。
リアンは高品質の初級ポーションを作ることにしたらしい。
グミの実験用に用意しておいてって頼んだからだと思う。
朝食を作る時間がちょっといつもよりかかりそうだから、って目安を伝えたから多少ゆっくりできるとベルは喜んでた。
(私も調合したいけど、まずはご飯っと。おにぎりとスープは取っ手付きのカップに入れて……あ。そうだ。お昼の分も作っておくかな)
疲れを取るにはオークとかボアの肉がいいっておばーちゃんが言ってたな、と思いながら地下へ。
オリーブオイルとボア肉の塊、沢山のナッツ。あとは卵。
野菜や作り置きしておいたパン、他にも色々必要なものを籠にいっぱい詰めて台所へ。
ルヴ達のご飯も少しだけど作った。
初めての戦闘だったんだけど……二匹とも凄く賢かったんだよね。
(まさか、最初は様子見してベルやミントの動きを見て、お互い吠えながら獲物を追い込んだり、知らせたりできるとは)
どうなってるんだろう、と思いつつルヴ達の食事を作る時は魔力を流すことにした。
主に麦茶だ。これ、二頭とも飲んでくれてるし氷を入れて冷やせば喜ぶんじゃないかなぁって思うんだよね。運動した後だし。
「ルヴ、ロボス、おいで~。これ飲んで待っててね」
普通の声で呼んだのに、二頭は何処からか凄い勢いで私の前に駆け付けた。
ピタッと止まってお行儀よくお座りしている二匹の頭を撫でて、大きめの氷を入れて冷やした魔力入りの麦茶を出すと二頭は凄い勢いで飲み始め、二杯目を要求。
最初より少なめに入れて、後はご飯の時に出すと言えば尻尾を振りながら短く吠えた。
どうやら納得したらしい。
私の足にスリスリ体を擦りつけて満足したのか再び何処かへ消えていった。
「ライム様。何かお手伝いすることはありますか?」
「じゃあ、炒ったナッツをこれで粗目に砕いてくれるかな。お肉の衣にするから」
「……揚げるんですね?! がんばりますっ」
パッと表情を明るくしたサフルに笑えば恥ずかしそうに目を逸らし、誤魔化す様にナッツが入ったすり鉢の中身を硬い棒で叩き潰し始める。
「ライム様の作った食事が美味しすぎて……その、卑しいのは分かっているのですが、どうしても楽しみで」
「卑しいって、ご飯が美味しくて楽しみだって言って貰えるのは嬉しいから気にしないで。むしろ好きなものとか沢山教えて欲しいかなぁ。サフルはさ、奴隷って仕事はしてるけど、もう家族みたいなものでしょ? 私達の為に色々頑張ってくれてるの知ってるし、庭だって任せてるし……負担大きいならちゃんと言ってね。具合悪くなっても我慢しない! 約束だからね」
「――…はい。ありがとうございます。ライム様、私は本当に幸せです。幸せで、今の生活を失いたくないと思うから頑張れるんです。学ばせて貰える奴隷なんてそういませんし、温かい食事を主人と同じテーブルに座って食べられる奴隷は『赤の大国』ではいませんでしたから。こちらでは、テーブルを別にして主人とは違う空間で椅子に腰かけ食べることができるというのは知っていますし、ウォード商会で体験もしました。でも、私ほど恵まれた奴隷はどの国を探してもいないと胸を張って言えます。死ななくて、よかった」
ゴリゴリ と香ばしいナッツの匂いが広がって、ぐつぐつとスープが煮える。
私は肉の筋を切り、表面に細かい切れ込みを入れた後に叩いて柔らかく食べやすくなる様に処理を進めた。
遠くでベルとリアンがお店の商品についてあれこれ話しているのが聞こえて、隣には料理を手伝ってくれるサフルがいて。
なんだかいいなぁ、と私も思った。
「リアンの所のご飯、美味しかった?」
「はい。美味しかったです。でも、私はライム様が作って下さった食事が一番美味しいと思います。体の中からじんわり温まる感覚がすごく好きで。あの、好物……ですが最初に作って下さったマトマのパン粥とオムレツ、それとアリルのコンポートが一番好きです。どれも美味しいですし、揚げ物は好きですけど、あの食事は生まれて初めて食べた『温かい人の食事』でしたから」
「なら、具合が悪い時に作るね。あ、わざと風邪とか引いたら駄目だよ」
「……は、い……っ分かり、ました。気をつけます」
小さく聞こえた『ありがとう』とほんの少し湿った声を聞こえないふりでやり過ごして私はルヴ達の分のお肉を焼いた。こっちは揚げる訳にはいかないしね。
食事が完成した所で、丁度リアン達の調合も一区切りついたらしい。
地下に『ボア肉のナッツ揚げ』を挟んだパンを沢山運んでいるとベルとリアンが朝に食べたいと言ったのでサフルの分も合わせて出しておく。
ラクサにはオニギリと一口大にした揚げ物を挟んだパンを渡すようにサフルにお願いしてるので問題なし。
朝ご飯はお米だったんだけど、二人ともペロッと食べた後、デザートみたいにパンを食べ始めたから驚いた。
揚げ物ってやっぱりすごい。
ナッツ揚げは好評で、ラクサが部屋から飛び出してきて「これまた食べたいんで是非作って欲しいッス!! あとオニギリめっちゃうまい!」と叫んでまた部屋に引っ込んだのには全員で笑った。
ルヴ達もボア肉を喜んでくれたし、お店を開く体力気力は充分!
お昼はいらないかも~なんて思うくらいの満腹さだったんだけど、お昼はお昼でお腹がすくようにできてるんだから、不思議だよね。
「そういえば、サフル知らない間に背が伸びたよね」
「栄養状態が改善されたからだろうな。よくあることだぞ」
「………へぇ!」
ってことは、もしかしたら私も身長伸びるんじゃないだろうか、とちょっと期待しながら商品を袋に詰めていく。
初心者向け冒険者セットは、割とよく出るから予め詰めておくんだよね。
開店までは後30分という所だけど、話をする余裕はある。
「言っておくけど、ライム。栄養状態が極度に悪かったり魔力の循環の関係もあるから、貴女はあてはまらないと思うわ」
「……べ、別に背が伸びなくてもいいし。あんまり大きくなると狭い所に入って採取できなくなるし、おばーちゃんも小っちゃかったし! おかーさんも……おばーちゃんよりちょっと大きい位だったような気が……」
あれ、これ本当にもう身長伸びないんじゃ、と真剣に考え始めた私にベルが無言で次に詰めるアイテムを私の前に置いた。
ちゃんと仕事はしますよーだ。
(そうか、もう伸びない可能性が……いや、でもリアン達はまだ伸びてるような気がするし。ミルク、飲もう。アレ飲むと背が伸びるってカルンさん言ってた)
よし、と小さく決意してガサガサとアイテムを再び袋に詰めていく。
この日もお店は大繁盛。ひっきりなしに冒険者や騎士、色々な職業の人や主婦が買いに来てくれた。
ここまで読んで下さって有難うございます!
次は!ちゃんと!予定通り!!!書きますんで!!!たぶん!
誤字脱字変換ミスの報告、いつも大変お世話になっております。多大に助かってます。
今後も見つけたらそっと教えてください。サッと直します。ササッと。
また感想や評価、ブックも大変ありがたいです。
定期的に読んで下さる方も含めて気に入ってくれた方は皆、性癖やら好みが似ている仲間だと勝手に認識しています(苦笑
今後とも楽しみながら、大いに脱線し、だらだらと書いていくと思いますがお付き合いいただけると嬉しいです。




