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217話 帰宅して、やることと言えば一つだけ

お。かきあがったー!

調合回です!!!





 遅くなったな、と思いつつ出迎えてくれたサフルに新しい仲間であるロボスを紹介する。



 二匹には水と作り置きしておいたヴォルフ用のオヤツをあげて、私は地下へ。

寝る前に【ふるるの素】を作りたかったからだ。

リアンは、今日も泊って行ったラクサに『ロボス』のことを話しておきたいと部屋へ向かった。


 地下にルヴ達は降りられないので待機させてるんだけど、ルヴはロボスにあれこれ教えるのが忙しいらしい。

サフルについていてもらうようにお願いしたから、ひとまずこっちは大丈夫だろう。

調合中は近づかないように言い聞かせてるしね。



「えーっと……材料はこのあたりだったかな。一応、センカさんに相談はしたけど上手く行くかどうかは私次第って言われたし頑張ろう」



 私が教わったレシピで作られた【ふるるの素】には結構強い臭いがあった。

センカさん曰く、調合するものによっては臭いが消せるから問題ないって言ってたんだけど、私としては気になるんだよね。


(回復薬にも使えそうだし、上手く臭いが消せればいいんだけど)


 センカさんに聞いたのは『臭いを取るようなアイテムを入れたら失敗する確率はどのくらいあるか』だったんだけど、当然の事ながら「調合してみなければ分からない」と言われた。

 私達からしたら錬金術の事なら何でも知ってるように見えるんだけど、センカさんは強くそれを否定して真面目な顔で言い聞かせるように一度だけ釘を刺した。



「センカさんでも『錬金術に完璧も正解も存在しない』って言うんだ……凄い人なのにな」



 言ってることは分かる。

素材の量や組み合わせだけじゃなくて投下するタイミングに魔力操作の精度、温度に切り方、素材の処理……なんて一番簡単な調和薬の調合ですら工夫次第で品質も効果もガラッと変わるから。


 大きめの布袋の中身を確かめて、地下に置いてある計りで重さを計量。

丁度良さそうだったのですべて持っていくことにした。

地下を出るとリアンがギョッとした顔で私を見ている。



「まさか、これから調合するのか? こんな時間だぞ?」


「魔力満タンだし【ふるるの素】だけは作っちゃおうと思って。臭いもあるって言ってたから、夜のうちの方がいいでしょ? 換気しておけば、次の日お店には残ってないだろうし」


「それはそうだが……話し合いや先程の外出で疲労はたまっているだろう。その状態で調合して成功するのか?」


「え。そもそも、疲れてないよ。流石に長時間馬車に乗ってたとかなら疲れるけど」



 何言ってるんだろうと思わず聞き返すと信じられないような生き物を見る目で見られた。

失礼な、と言いつつ作業台へ。


 ルヴとロボスは私が持っているモノに反応してこちらへ向かって来ようとしていたけど、途中で何とか堪えた。



「サフル、コレあげてくれる? 少しだけなら大丈夫だから」



 袋から取り出したのはルヴ達に丁度良さそうな大きさの骨だ。

材料を知っている筈のリアンは少し嫌そうな顔をして袋を見ている。



「……それを全部使うのか?」


「一回の調合じゃ必要量確保できなさそうだし、実験してみたいからね」



 骨は地下へ運ぶ段階でキレイに洗ってあるので下処理に移る。

一回分のグラム数を計って、次に最大調合量も計測しておく。

 他に用意するものは下処理が必要ないから楽だけど、問題は使用量だ。


(最初は知ってるレシピでっていうのが安全だよね。でも、それだと臭いがな)


 どうしたものか、と思いつつ手は持ってきたオリジナルアイテムに伸びた。

様子を窺っていたリアンが私の手にあるものを見て感心したように小さく息を吐くのが聞こえる。



「臭いを消すのには【吸臭炭】はいいかもしれない。悩んでいるのは分量か?」


「うん。とりあえず、油の時と同じ量でやってみるよ。臭いの強さはあまり変わらないし、途中で取り出すから」


「見ていてもいいか?」


「一度目は見てていいけど、成功したら最大調合量で調合してね」


「……わかった。僕も魔力に余裕はあるし協力しよう。ちなみにだが、臭いは問題ないとセンカさんから聞いてるのにどうして臭いを取ろうと思ったんだ?」



 どうして、と言われて思わずリアンへ視線を向ける。

本気でそう思っているのが分かって嫌そうに顔をしかめた。



「だって、臭いの食べるの嫌でしょ」



 想像するだけで嫌だよ、と言えばリアンはそんなものか、と呟く。

多分だけど小さいころに凄まじい味がするっていう栄養剤がぶ飲みしてた所為で感覚がちょっとおかしいんだと思う。

 前に「マズくても薬だと思えば飲み込める」って言ってたし。



「組み合わせで気にならなくなると聞いているし、問題ないと思うが」


「いやいや。組み合わせを考えないで使える方が便利でしょ。ほら、グミっていう固形物にしちゃえば、回復薬とかを固めて、味とか風味とか食べやすいアリル味とかにもできるだろうし、風邪薬とか固められれば子供も飲みやすいでしょ? そうしたら売れるかなぁって。味は変えられなくても、小さく切って飲んじゃえば粉末とか液体より苦さを感じにくいだろうし」



 ただ、液体を固体にすることで効果が表れるのは遅くなる可能性はある。

即効性を求めるなら液体と気体が一番効果が表れやすいって聞くし。

液体も飲むより、共存士ギルドでやった『注射』っていう体に直接入れる方が当然効果が出てくるのは早い。



「グミは一定の温度で溶けちゃうから、持って行く場所には気をつけなきゃいけないし、保存にも気をつけなくちゃだけど、結構便利ではあると思うんだよね」


「溶けるのか……ちなみに何度だ?」


「確か40~50度くらいだったかな。一定量の魔力が加わると60度くらいまでは大丈夫みたいなんだけど、暖かい地方とかだとマズいかも。あと、真夏」


「出来ることは入れ物を工夫することくらいだな。明日、ラクサに聞いてみるか。もし、細工師が細工することで入れ物の確保ができるならいい商品になるだろう。回復薬もいいが売るなら『風邪薬』『腹痛薬』『頭痛薬』あたりがいいだろう。冒険者や騎士以外に一般家庭での需要も見込める。その温度で溶けるなら、普通に液体の回復薬を飲むのとほとんど変わらない上に、胃液で問題なく溶ける筈だ」



 うまく【ふるるの素】が作れたら明日は予備分を作ろうと話し、下準備にかかる。

骨は砕いて入れた方がいいと聞いているので、丈夫な袋に移し替えて金槌で叩いて砕いていく。

粗方砕いたら、そのまま骨を鍋へ。

 このタイミングで【吸臭炭】も投入。



「調合手順は弱火で煮て……トロッとしてきたら、固形物を取り出して、スライムの核を入れた後魔力を注いで粉末にするのか。結構簡単だね。スライムの核を入れたら粉になるまで全力で魔力を注げって言ってたから、リアンも気を付けてね。品質に影響するみたい」



 魔力の消費量がどんどん多くなってるな、というリアンの呟きに苦笑しながら一回分の【吸臭炭】を入れる。

これから煮詰めていくにつれて骨から嫌な臭いが出てくるらしい。

最初なので、グルグル混ぜながら魔力を注ぐタイミングを計る。



「今、魔力は?」


「注いでないよ。匂いが出てきたら少しずつ魔力を注ぐつもり。【吸臭炭】を使うイメージで魔力を注げばちゃんと臭いだけ取ってくれると思うんだよね。元々のレシピだと魔力を注ぐのはあくまでスライムの核を入れる段階だからそれまでは魔力を極力抑える方向でやってみる」


「僕も一回分の調合でやってみるか。こっちは、臭いが出てきたら全体に魔力を注いでみる。これでどちらの品質がいいかわかりやすくなるはずだ。どちらも品質が低ければスライムの核と同時に入れるのを考えた方が良さそうだ。それでもだめなら【吸臭炭】の量が問題ということで量の調整だな」


「あー……ベルもいてくれたらなぁ」



 三人で同じものを調合すると、一気に三パターンの調合方法が試せる。

一つのミスで失敗したり、成功したり、品質の上下が激しい調合では『検証』が一番大事なんだよね。


(昔は『検証』とか難しい事関係なく、どうやったら失敗して、どうやったら成功するのかばっかり考えてたっけ)


 私が特に作り込んだのは、調和薬だ。

失敗しても爆発しにくかったしね。品質の違いはかなりあったけど。

懐かしいな、と思いながら調合釜の中を確かめながら腕を動かす。


 時々火力を確かめながらじっくり釜の温度が上がっているのを肌で感じていると、少しだけ獣の骨を煮込んだ時にする臭いが混じり始めた。

集中してるからこそ分かる程度の臭いで、液体にトロミはまだついていないのでグッと我慢する。


(弱火……じゃなくて中火で一気にやっちゃいたいけど、弱火じゃないと品質が落ちるって言われてるし)


 我慢だな、と思いつつ混ぜる時の抵抗力なんかにも気を付けること数十分。

 調合釜を混ぜている杖の柄が通った後、微かに軌道を残しゆっくりと平らになるのを見て調合釜の底に沈んでいる【吸臭炭】へ魔力を纏わせる。

そこからの変化は凄かった。


 ゆらゆらと立ち上っていた湯気に臭気が混じっていた煙から、面白い位に臭いがなくなっていく。

驚きつつ、魔力を込めたことで少しずつ浮上し、クルクルと調合釜の中を泳ぐ【吸臭炭】へ意識を集中させる。


(やっぱり動いてると魔力を纏わせるの大変だ)


 調合釜の中でゆらゆら動く素材たちは自分の意志でもあるんじゃないかってくらい、想定外の動きをすることが多い。

ムムムっと釜の中を注視しながら前かがみで必死に魔力を操作しつつ、魔力の切り時を見極める。


 やがて、真っ黒だった【吸臭炭】は色をなくし、真っ白になってプカリと浮かび上がった。

他の骨も同じようにプカプカと浮いていたのでそれらを掬い、丁寧に除ける。


(不純物が混じると嫌だし、一度布に開けて絞った方がいいか)


 熱いうちに、と万が一の為に用意しておいた濾し布とボウルを調合釜の近くへ寄せて、分量分をお玉で掬い取る。

そのままボウルに入った分と、布の中の液体を絞れば琥珀色のとろりとした液体が調合釜に広がっている。



「……臭いはないみたい」



 クンッと鼻を近づけて嗅いでみるけど無臭。

取り合えず、仕上げてしまおうとスライムの核を投入して一気に魔力を注いだ。

今度は液体に大量に魔力を流し、そのままスライムの核に流し込むように魔力を動かす。


 グッと唇を噛んで、額に滲む汗を腕で拭いながら必死にかき混ぜる。

【ふるるの素】はトロミのある液体を粉末にするんだけど、これが本当にキツイ。

ぐぎぎぎ、と歯を噛み締めて両手で杖を持って大きく混ぜていく。


 魔力を注ぐと中の液体が弾力を帯びて硬くなっていくのが分かって、何の試練だろうと思いつつ必死に混ぜる。

魔力を注ぐのやめたくなるけど、魔力の放出を止めると失敗するのが分かるから止められないけど。



「ふぐぐぐっ!! リアン――! これッ、大量生産ッ、すっごく、たいっっへん!!!」


「……大変そうなことだけは充分伝わってきた」


「魔力注ぐとめっちゃ、重くて硬くて弾力が凄まじいことになるッ」


「軟膏みたいな感じか」


「それ以上っ!」



 深いため息がリアンのいる方から聞こえてきて笑いそうになったけど、とりあえず魔力を注ぎながら混ぜる作業に意識を戻す。

強引に混ぜていると少しずつ、サラッと崩れるような感覚があった。


(あれ。これって……)


 塩や砂糖が入った入れ物にスプーンを入れて混ぜた時の感覚に似ている。

見た目にはほとんど変わらないけど、魔力によって変化が起きているのは充分分かった。

まだ、かき混ぜる度にもったりとした重さを感じるものの失敗はしなさそうなので安心してグルグル混ぜていく。


 ある程度すると、調合釜の外側からサラサラと粉になっていく。

最後は核の周りにあった液体が完全に粉末になり、最後に水分を吸った手のひらサイズにまで膨らんだスライムの核が粉の上に転がっていた。



「………できた」



 ほっと息を吐いてできた粉を保存瓶に入れる。

一回分で出来た量は、充分試作しても余るほどで心からほっとした。


(完成量が少ないと何回も作らなきゃならないし、そうなると腕が動かなくなりかねないなぁ)


 この調合は朝にはできない、と思いながらグルグル腕や肩を解すように回す。

簡単に片づけをして必要だと分かった濾し布などを改めて用意し直し、手を洗ってからじっと私を待っている二匹と一人の元へ足を向けた。



「サフル、ルヴ達と今日は一緒に寝てくれる? 結構時間かかりそうだし」


「……いえ。お待ちしています。私も彼らもライム様が調合をしているのを見るのは嫌いではないので」



 骨はとうに食べ終えて、ウトウトしながらも私のいる方をじっと見ていたらしい二頭が小さく声をあげて、差し出した掌に頭を一生懸命擦りつけてくるので苦笑する。



「私と一緒に寝る?」



 試しに、と声をかけると二匹は揃って吠えた。

どうやら一緒に寝る気らしい。

そういう事ならちゃっちゃと終わらせなきゃね、と台所へ。


 ポーチから取り出したのは麦。

外の殻を取った状態のものだけど『雨霞の集落』でカルンさんから譲って貰った物だ。

去年の麦だからタダでいいよ、という言葉に甘えたんだよね。



「何を作るんですか?」


「二匹も飲めるお茶、かな。紅茶とかは駄目だしミルクとかミルの果汁はお腹の調子が悪くなることもあるらしいから、今日はコッチ。サフルも飲んでみて。私結構好きなんだ」



 おばーちゃんが生きている時は食べ物に余裕があったから作って飲んでいたっけ。

多めに作って冷やして置けばベルやラクサも飲めるだろうと大きな鍋に作っておくことに。

ま、作り方って言っても麦を炒って、その後煮出すだけなんだけどね。


 私が飲み物を用意し終えて運んでいる所でリアンも調合が終わったらしい。

テーブルの上には瓶が二つ並んでいて、調合釜の方へ視線を向けると簡単な片付けは終わらせたらしく綺麗になっていた。



「お疲れさまー。はい、麦茶」


「むぎちゃ?」



 なんだそれ、というような顔で私からカップを受け取り匂いを確かめているのを横目に小さいカップにいれた麦茶をサフルにも差し出す。



「これ、味見ね。こっちのポットにはミルクティーが入ってるからゆっくり飲んで。で、これは夜食。パウンドケーキね」


「ありがとうございます」



 嬉しそうに頭を下げたサフルに気にしないで、といって二匹の前にもほどほどに冷ました麦茶を置いた。

 訓練と躾を兼ねて『待機』の指示を出してから少し離れて許可をすると二匹は麦茶の臭いを嗅いでからひと舐め。

そこからは気に入ったのか皿に鼻を突っ込む勢いで飲み始めた。



「香ばしい香りがなかなかいいな。紅茶もいいが、寝る前にはこちらの方が良さそうだ―――で、鑑定結果だがライムが作ったものの方は品質Aで僕が作ったのはB+だった。臭いは完全に消えているし、無駄もないようだからライムの調合方法でひとまず良さそうだな。最後の仕上げはどのように魔力を流した?」



 お茶を飲みながらメモを取る為にメモ帳とペンを持っているリアンに苦笑する。

一通りの手順を説明して、魔力操作についてもコツじゃないけど意識したことや注意した方がいいことを伝えると直ぐに二度目の調合に移ることに。


 今度は大量調合だ。

絶対に腕が疲れるな、と言いつつ魔力の残量を聞いてみた。



「僕は……ギリギリ足りないかもしれない。ライムはどうだ」


「私は平気そう。空っぽになるけど体力が減ることはないと思うよ。リアンが歩けなくなったら私が支えるからそのままでやったらどう? 回復薬勿体ないし」


「……まぁ、体力が削られる感覚も少し覚えておいた方がいいだろう。立てなくなることはないと思うが」


「リアン縦に長いから背負っても引きずりそうだし、私の部屋に泊まっていけばいいんじゃない?」


「……は?」


「私の部屋一階だし、ベッドは一個しかないけど詰めれば二人で寝られるよ。モフモフのルヴ達もいるし、蒸し暑いわけでもないから寝られるでしょ」



 枕は一個しかなかったな、と思いつつ最大調合量で作る為、骨の計量に取り掛かる。

私とリアンの分でなくなるので明日、肉屋で骨を買いに行かなきゃならないな、とサフルに頼んで黒板に『肉屋で骨購入』と書いてもらう。


 さっきから静かだな、と思いつつ砕いた骨を渡せばリアンが固まっていた。真顔で。



「え、なに? 怖いんだけど」



 私の声で我に返ったのか眼鏡を直しながら差し出した骨入りの袋を受け取ってフラフラと自分の調合釜へ向かって行った。


(失敗さえしないでくれればいいか。腕が疲れるのそんなに嫌だったのかなぁ)


 体力がついてきたとは言っても疲れる事とか基本的に嫌がるもんな、とベルとの違いに苦笑しつつ自分の分の下処理を済ませ立ち上がる。



「明日は【吸臭炭】も調合出来たら調合しておかなきゃ。頭痛薬とかは常備してないしそれも買いに行かなきゃだね……ニヴェラさんの所にも行きたいな」



 スライムの核も準備したし、と確認を終えて瓶も用意。

先程と同じ工程なので要領は分かっている。

気合を入れて、私は大量の骨を調合釜に投入して杖を握り、グルグルと骨だらけになった調合釜をかき混ぜていく。


 ほぼ同時に私たちは【ふるるの素】を完成させたんだけど、リアンはどうにか瓶の蓋を閉めそこから動けなくなった。

辛そうだし、立てそうにはなかったから私の部屋に運ぼうか? って言ったんだけど絶対に嫌だと言われたので、仕方なくリアンの部屋から毛布なんかを持ってきてソファへ寝かせた。


 サフルに手伝ってもらうことも考えたんだけど、飲み終わった後二匹を連れて庭の様子を見に行ったみたいでいなかったんだよね。



「ホントにここで寝るの?」


「立ち上がれるようになったら部屋に戻る」


「ん。じゃあ、片づけはしておくから休んでね」


「すまないが頼む」



 前に自分もやってもらったから気にしないで、と言えば何とも言えない顔で頷かれた。

片づけを終えて明りを消し、自室に戻る。

ルヴとロボスは私に抱き上げられた時点でほとんど寝ていた。





 翌朝、魔力がすっかり回復した私はルヴとロボスのスリスリ攻撃で目を覚ました。

私が起きると嬉しそうに走り回り、早く、と急かす様にウロウロするので手早く身支度を済ませる。


 ソファにはぐっすりと眠るリアンがいて苦笑した。

部屋に戻る前と同じ姿勢だったので、器用だなと感心しつつ裏庭へ向かおうとすると二階からベルが降りてくる。


 簡単に髪を頭の上でまとめて、装飾のない簡素な服に身を包んでいることに驚いたけど、これから素振りなんかをするからこの恰好だと言われて納得。



「今まで私は殆どこの時間に起きてたけど、ベルとは会わなかったね」


「ああ、ショートカットと運動の為に窓から飛び降りてたから」


「………なんて?」


「だから、窓から降りてたのよ。高い所から飛び降りるのも割と大事なの。いざって時、高さに怯んで一撃喰らうのとか馬鹿らしいじゃない? 今から慣れておけば、着地のコツとかもつかめるし、私の部屋の窓下には何も植わってないから問題ないでしょ」


「よ、よく人に見られなかったね」


「まだ暗いもの。平気よ」


「そ、そっか」



 深く聴いたら駄目な気がして私は笑ってごまかした。

それから二人で話をしながら、一緒に教会まで走ることに。

ルヴとロボスも一緒に行くことになっていたので、助かった。


 ちゃんと玄関から出たんだけど、その時リアンがソファで寝てるのに気づいて不思議そうにしてたので昨日調合した事なんかを話しておく。



「ライム、あんた、それほんっとうにリアンに言ったの?!」


「え。うん。言ったけど? 別に変じゃないよね? ベルが力尽きても私、自分の部屋で一緒に寝るし」



 何かおかしい? と聞けばベルはお腹を抱えて笑い始め、驚いたサフルがスコップを手にこっちに走ってきて、ベルが笑っている理由を説明すると納得したらしい。

 リアン様は私が起こしておきます、と工房の中へ入っていった。



その後、ミントにも会ったんだけどベルとは違ってミントは困った顔でどうしましょう、なんて呟いていたっけ。

シスター・カネットはベルと同じで笑ってたけど。



 ちゅるぎはコーラ味のグミ(硬め)がすき。


【ふるるの素】レシピは次回書こうと思います。

グミやらゼリーやらと一緒に書いた方が良さそうなので(苦笑

 次回は、もうちょっと人が出ます!


 誤字脱字変換ミスなどありましたら誤字報告、気になる点や感想(このキャラもうちょっと出して!)とかありましたら感想か活動報告のコメント、ツイッターでそっと教えてくれればうれしいです。

 評価やブックは当然とても嬉しいですが、アクセスして読んで下さるだけで十分すぎるほどの応援になってます!


ちょっと更新速度が上がってきていい感じ。

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― 新着の感想 ―
このげーむが欲しい・・・ 睡眠時間けずってコントローラー持って気絶したい
[気になる点] 『リアンさんは私が起こしておきます、と工房の中へ入っていった。』 サフルはリアン達のことを様付けで呼んでいたような気がするのですが。いかがでしょう?
[気になる点] 素材の「寮」や [一言] リアン…強く生きて… いつの間にか、いいねボタンなんかできたんですねぇ
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