194話 共同調合は難しい (3)
完成。
日曜更新でした…ちょっと短め。
次は『ウパラエッグ』の調合です!
早朝、私たちは氷石糖の調合を始めることになった。
のは、いいんだけど。
何故か私の両手には中が空洞になった金属製の管とバケツがある。
この管状の金属を持っているのは私だけで、ベルやリアン、ラクサは両手にバケツ。
両手が塞がった状態でセンカさんの後をフラフラと追いかけていた。
私は昨日早めに寝たから眠くないんだけど、三人はとても眠そうだ。
ラクサなんか半分寝ぼけているみたいで、何度か躓いたり木にぶつかりそうになっていた。
人工太陽もまだ昇っていないので周囲は薄暗い。
「皆が眠そうなの、珍しいね。何か夜更かししてたの?」
「……ちょっと寝付けなかっただけよ。魔力を沢山消費したから疲れが出たのかもしれないわ」
ふわぁ、と手で口元を覆いながら欠伸をしたベルに苦笑する。
私たちは夜も明けきらない時間に、センカさんに起こされた。
驚いて起きると「材料を取りに行くよ」と言ったっきり、私たちが寝ている部屋に入って全員を起こし、寝ぼけている私たちを急かしながら家を出た。
向かったのは裏庭から延びた細い道。
そこををくねくね曲がりながら、ひたすら進む。
家を出て十分ほど歩くと同じ木ばかりが整然と並ぶ林に到着した。
「………あれ?」
その木の葉っぱを見て、私は首を傾げた。
見覚えがあるのだ。
足を止めてじっくり落ち葉を手に取る。
少し変わった形の葉は記憶にあるもので間違いなく、改めて綺麗に並んだ木を観察する。
(だから『管』と入れ物か)
感心とちょっとの後悔を覚えながら、呆れた顔でラクサに「とっとと起きんか」と叱りつけていたので、服の袖をそっと引く。
「もしかして……これ、シュガリーウッドですか?」
「ああ、オランジェから聞いたのかい?」
「あ、いえ。森の中で遊んでいる時に表面が傷ついてる木を見つけたんです。野生動物が傷つけたんだと思うんですけど、そこから何かが滴り落ちてて……甘い匂いがしたから、とりあえず舐めたんですけど―――……樹液とは思えない位甘かったんです。他の木の樹液を舐めたこともあるんですけど、大体苦かったり渋かったり、舌が痺れたりするんですよ。で、その見つけた甘い木を忘れないように葉っぱを持って帰って、素材図鑑で調べると似たような葉っぱが描かれていました。木の名前は【シュガリーウッド】ってなっていたから、もしかしてって」
それから毎年同じ時期に樹液を取りに行ったのは言わずもがな。
なんなら一晩中、木の傍に張り付いて瓶にひたすら詰めた記憶もある。
シロップにすると三分の一、固形物の【ウッドシュガー】にすると四分の一になってしまう。
(けど、煮詰めないと甘味は薄いんだよね。甘い水みたいで美味しかったけど)
懐かしいなぁと木々を眺めていると少し後ろで盛大な溜め息が三つ。
「……調べてから口にしてくれ。頼むから」
「いつか絶対に腹壊すっスよ、それ」
「私は驚かない自分に驚いてるわ……慣れって怖いわね」
「だ、だって美味しそうな甘い匂いだったんだもん。その年はベリーとか食べられる果物が少なくて……凄く助かったんだよ。まぁ、煮詰めるとかなり減っちゃうから沢山集めたかったんだけど、木に負担がかかると元も子もないから、かなり気を付けて採取してたんだから」
全く、と腰に手を当てて胸を張ると彼らは目を伏せた。
「知ってるなら話が早い。赤いリボンが結んである木の表面にこの大釘で穴をあけて管を差し込みな。直ぐにいっぱいになるから、全員のバケツがいっぱいになるまで続けるんだ」
言いつけ通り、私たちは赤いリボンが結んであるいくつかの木から一つを選び出した。
割と若い木らしく一回り他の木よりも小さいけど、若い木の方が溜まるのが早いんだよね。
まだ数回しか樹液を採取していないらしく木の表面には塞がった穴が二~三あるだけ。
穴が開いてない部分を選んで新しく穴をあけた。
あけた穴にピッタリはまる管を差し込むと、凄い勢いで樹液があふれ出した。
バケツを入れ替える時は、ポーチから使っていないコルク栓を取り出して管の先をふさいでから交換。センカさんには「慣れてるね。何の指導もいらないとは思わなかったよ」って呟かれたけどね。
それから朝日が昇り始める頃に工房に戻り、早速【氷石糖】の素材を揃えることになった。
サフルはラクサの補助として私たちから離れたテーブルで何やら作業をするとのことだったので、片手で食べられるよう具を挟んだパンと熱いお茶が入ったカップを渡しておく。
私達は一口大に切ったパンにベーコンと水にさらしたマタネギ、マトマの薄切り、リーフスを挟んだものを食べた。
ソースはこってりとしたショウユベースのものを塗ってある。
センカさんが用意してくれたレシピに目を向けながら、一口サンドを頬張り、温かいお茶を飲み下す。ぽっと体が温かくなった。
「これは【氷石糖】のレシピの応用だ。基本的に今広く知られているレシピは、上位の素材に変えることができる。が、強力な素材であればあるほどに調整をしなくてはいけない」
「調整? 私は置き換えだけでどうにかなったのですけど」
「置き換えたものと本来のものの素材が同レベルだったんだろうさ。今回の調合で使う【カンビオの実】は上位素材と呼ばれるものの類いだ。魔力量と希少性、あとはリアン坊なら視えるだろうが『特殊効果』が幾つかついているからね」
センカさん曰く、上位素材の条件は『魔力含有量・希少性・特殊効果』の内二つを満たせば上位素材に分類されるそうだ。
「で、だ。他の素材もカンビオの実に釣り合うよう調整したのがこのレシピさ」
【氷石糖】
砂糖+水+糖花+果物
→ 砂糖(2)+ハチミツ(2)+ウッドシロップ(1)+糖花(5)+カンビオの実
既存の氷石糖よりも魔力回復量・効果は増量。
小指の爪くらいの大きさで上級魔力回復薬と同じ量を回復でき、一時間『詠唱短縮』を付与。沈黙・麻痺の無効化も確認済み。
※事前準備
・カンビオの実は魔力を注いで一晩寝かせる
・ウッドシロップは採取して一時間以内にシロップ加工したものを使用する
・糖花はバラバラでも構わないが、濁りのない透明な最上級のものを使用
・ハチミツは最低でもA品質のものを使用する
・砂糖は不純物のないS品質のものを使用
=手順=
①溶液を作る。ハチミツとウッドシロップを入れて魔力を込めて一分強火で加熱したら弱火(50~55度)にし、砂糖を入れて溶けきるまで一定量の魔力を注ぎながら混ぜる
②砂糖が溶けきったら半分量を保温ボウルに移し、蓋をして残った溶液にカンビオの実をいれる(二つに割る)
③カンビオの実の色が溶液に移るまで煮込む(60度)。この時、魔力は注がず、調合釜も混ぜない
④カンビオの実の皮とヘタが浮かんだら取り除き、糖花を入れて弱火で加熱する
⑤糖花が全て溶けきったら大きく三回混ぜ、そこに保温ボウルに入れておいた溶液を調合釜へ戻す
⑥大きく三回混ぜたら火を消して、即座に魔力を注ぐ
⑦魔力を注ぐことにより結晶化が進む。必要な魔力量を注ぐ時間が短ければ品質が高くなる
また、注ぐ魔力色によって氷石糖の色に変化がある。
うわ、と思わず口から洩れた声はベルやリアンが息を飲むとの同じタイミングだった。
レシピは小さな指示というか決まりごとが多い印象を受けた。
特に温度調節や混ぜる回数なんか、どうやったって自分達では組み立てられないような代物だった。
「……センカさん、これは」
「年寄りの暇つぶしさ。慣れりゃこの程度は組み立てられる。温度についても素材の性質を知っていれば想像がつくからね。何度か調合すりゃ、正解が見えてくるもんさ。幸い、この集落には【氷石糖】の素材がある。備えて置いて困るもんでもないからね」
そう言い切るとパンパンッと手を叩いて私達に向かって作業へ移るようにと指示を出した。
最初の調合は全員で【ウッドシロップ】を作ること。
これ自体は簡単で、バケツ一杯分の樹液を調合釜へ入れ、半分量になったらバケツ半分ずつ追加し煮詰めていく。最終的にバケツ2杯分の樹液で中瓶1つのウッドシロップができるそうだ。
もちろん魔力は注ぐが、大して量は要らないとの事。
「いいかい、簡単な調合は魔力を調合釜の中で操る練習にはもってこいだ。カンビオの実を使った氷石糖を作る際の最大の難点は、魔力の量だから今回はあまり関係がないけどねぇ。上手いこといけば、ぐっと魔力を引き出しやすくなるのはわかっているだろう?」
「もしかして、三人で魔力を注ぐと魔力切れの際の負荷が分散されるのかしら」
「そうさ。魔力も平均化されるから回復薬を飲む余裕も生まれる。コレが上手くできるようになれば長丁場の調合も途中で交代することができるんだよ。まぁ、早々上手くはいかないがねぇ……とりあえず、今後『もっとレベルの高い』調合をしたいなら、調合釜の中で魔力を自在に操れるようにしておくことだ」
ヒヒヒッと引きつったような笑い声を残してセンカさんは台所へ向かった。
どうやらお茶を飲みながらラクサ達の進捗状況を見るつもりらしい。
「まずは【ウッドシロップ】を作ってしまうか。時間が惜しい」
「そうね。同時に作りましょ。魔力量はちょっとって言っていたけど……どのくらいかしら」
「調合し始めたらわかるんじゃないかな。ほら、他の調合も大体このぐらいいるかなーってわかるようになってきてない?」
私の言葉に二人は思い当たるコトがあるみたい。
確かに、と唇を動かしたのはベルだ。
バケツ一杯分の樹液を調合釜に入れ、中火と強火の中間に火を調整しながら会話中だ。
(この後は氷石糖の調合だけど、二人とも緊張してないみたいで良かった)
ホッとしつつ、きちんと各作業台に灰汁とり用のお玉とボウルがあるのを確認。
用意してくれたのはサフルだ。煮詰める系は灰汁がでるから、助かった。
(そういえば、調合釜もいつの間にか増えてたっけ)
道具もどうやら同じように揃えてくれていたらしい。
有難いやら申し訳ないやら複雑な気持ちになりながら調合を開始する。
杖を入れて魔力を注ぐんだけど、感覚で言えば……調和薬の最大調合量分くらいの魔力で大丈夫そうだ。
「想像以上に魔力少なくていいみたいだね」
「本当ね。初級魔力ポーションくらいだとは思わなかったけど」
「? 初級ポーション程度だろう」
「え。調和薬くらいじゃないの?」
雑談の結果、感覚の差の原因は『個人の魔力量』だろうという結論になった。
クツクツと少しずつ温度が上がってくるのを観察しつつ、工房に戻った後の話をしていると、ますます自分たちの工房で調合してるみたいな感覚に。
それは二人も同じみたいで、かなり肩の力が抜けているのが分かった。
ベルなんか完全に普段の口調だしね。
お嬢様口調はだいぶ抜けてきてたけど、完全に素になってるのがおかしくて小さく笑った。
そうこうしている間にあっさり【ウッドシロップ】が完成。
瓶に詰めて、しっかり蓋をしてからボウルなどを片付けた。
「氷石糖の調合は真ん中の調合釜でいいよね?」
「そうね、使い勝手もいいし。ああ、一応私たちの作業台はコッチに設置しておくわ。魔力回復薬を―――……そうね、サフルに封を開けて貰って手渡ししてもらうのが一番ね。集中力を切らしたくないもの」
「頼みがあるんだが、この調合は僕メインで進めさせてほしい」
用意する道具を確認しようか、という話の流れになる前にリアンが口を開いた。
真剣な声色だったので私もベルも顔を見合わせる。
「私は別に構わないけど」
「私も反対はしないけれど、理由があるなら聞かせて頂戴な」
「今後、僕は錬金薬の調合に力を入れたいと思っている。その為には大量の魔力を扱うことは勿論だが細かい手順や注意を要する調合に慣れておきたいんだ。ここには『一流の錬金術師』がいる。少しでも学べることは学びたい」
君たちも同じだとは思うが、とばつが悪そうに言い淀むリアンは、確かにリアンだった。
妙に公平なんだよね。
「リアンが目標達成に必要だって思ったならやるべきだと思うけど」
「ライムと同感ね。いいんじゃないの? 『薬の調合』の為にあれこれ調べ物したり、本を読み漁ってるのは知ってるもの―――……失敗する気なんて、サラサラないんでしょ?」
「当り前だ」
「なら決まりね」
「あ、私たちも気付いたことがあれば伝えるから」
「そうしてくれ。複雑な工程を踏む調合は初めてだからな、経験者がいると心強い」
「………ベル。わたし、リアンに褒められた気がする」
「リアン、貴方もうちょっとがんばりなさいな」
哀れなものを見る様な視線を何故かリアンに向けるベルに首を傾げつつ、私たちはある程度の方針を話し合った。
レシピもしっかり読み込んで、此処で魔力をどう入れるか、とか温度調整は誰がするか、とかそういう話だ。
道具の位置も全員が把握した所で私たちは調合釜に向き直る。
全体の流れとその中で自分がやることが決まっちゃえば、こっちのものだ。
何だかワクワクしてきて口元がニンマリするのが分かる。
「ドキドキするけど、楽しみだねっ! 紫の氷石糖なんて絶対キレイだもん。ハチミツも青っこいのがくれたやつだし、成功以外ありえないって感じ」
「わかってはいたけど、ライムって本当に前向き思考というかなんというか。まぁ、悪くはないけど。ここまで来たらやることをやるだけよね――……ほら、リアン。あんた表情が硬いわよ」
馬鹿ねぇ、と笑うベルの言葉を受けてひょいッとリアンの顔を覗き込めば、少しこわばった表情のリアンと目が合う。
バツが悪そうに眼鏡の位置を直すのを眺めながらウッカリ笑ってしまった。
「ご、ごめん。そんなに緊張しなくたって、カンビオの実もウッドシロップも余分にあるんだし、最初に失敗しておけば次に失敗する確率がかなり減るって事でしょ? いいコトばっかりだよ。勿体ないって気持ちはわかるけど、リアン一人でやるわけじゃなくて私たち全員で調合するんだから、失敗するのが当たり前って考えなきゃ」
共同調合って難しいみたいだし、と腕の辺りを叩けば深いため息を吐かれた。
ベルはお腹を抱えて笑ってる。
嫌そうにベルの名前を呼んで小さく咳払いをしたリアンの表情も雰囲気もいつも通りで、気付かれないようにベルと「やったね」と合図を送り合う。
「―――……『氷石糖』の調合を始めるぞ」
リアンの声に私たちは返事をして、それぞれ決めた役割を果たす為に動き始めた。
時間を計るのはベル、私は火力調整係だ。
作業は順調に進んでいく。
普段から手が空いてる時は、調合中の人がいれば補助に回ったりしてたからね。
カンビオの皮やヘタが浮いて来たころ、そっとそれを取り除いたリアンが準備をするよう声をかける。
私たちはサフルに魔力回復薬の封を開ける準備をしていて欲しいと頼み、私たちも空いている手に瓶を持った。
六工程目で直ぐ魔力を注がなくちゃいけないので火力はサフルに頼んだ。
大きく二回調合釜を混ぜたリアンが二回目の半ばで私たちに声をかける。
きっかり三回、釜の中を混ぜ終わった瞬間に私たちは杖や調合用の棒を入れて魔力を注ぐ。
ぐんぐんと吸われる魔力。
魔力を注いでいる最中に混ぜる必要がないので心置きなく集中できる。
「ライム、イメージは」
「釜全体に魔力が行き渡る感じ」
「―――……こうか。ベルはついてこられそうか」
「っ、ええ……なんとか。こんな感じでいいのよね」
三人で初めてうまく調合出来た時の感覚があって、ほっと息を吐きつつ集中力を保ちながら一本目の回復薬を飲む。
ベルは二本目を空にした所だ。
リアンも少し遅れて二本目に手を付ける。
(調合釜の中はまだ変化ないみたいだけど)
何の変化もないまま、サフルが「五分経過しました」と時刻を告げる声が聞こえた。
その直後のことだ。
じわり、とベルとリアンの調合棒から魔力色が滲んでくる。
リアンは青、ベルは赤だ。
「あ。色が出てきた」
「ライムのは―――……調合釜の底、というか全体がキラキラしてきてるわ」
「ライムの魔力は視えないが、こういう調合でもある程度分かりやすいな」
ふむ、と興味深そうに三人で釜の中を覗き込んで会話を続ける。
調合釜の中は綺麗だった。
ただ、徐々に気温が下がってくる。
一人で調合した時より冷えるスピードは速いけれど、体力が削られる前に魔力を回復できるのでかなりマシだ。
「さ、寒っ。ライム貴女よくこれ、一人で調合出来たわね!?」
「二度とやるもんかって思った」
「同感だが、金にはなるな。困った時の為にいくつか作るのもいい」
「リアンってブレないよね」
「なんとでも」
寒いけれど、気持ちはかなり楽で楽しさすらあった。
同じ経験を全員でしていると思うと、凍り付く様な寒さすら何だか笑えてくる。
雪山じゃないだけマシだと言いながら冬になる前に寒さ対策をしようと全員で心に誓う。
やがて、釜の表面に沢山の美しい宝石たちが浮き上がってきた。
大きなお玉ですくって、慎重に大瓶へ。
完成した『氷石糖』は美しい紫をベースに赤や青が混ざり、キラキラときらめいて見えた。
「すごく、キレイだね……本物の宝石みたい」
「私たちの魔力色が反映されて、ムラがある所さえ美しいわ」
「売る気力が失せる程の輝き、だな」
凍った前髪や睫毛にも構わずに私たちは暫く完成した氷石糖を眺めていた。
達成感も充実感もあったけれど、泣きたくなるくらい胸が熱くなって、誤魔化すように私は笑っていた。
その内、二人もつられたように笑いだして、暫く私たちはキラキラと輝く甘い宝石を眺めていた。
―――……完成した氷石糖は美しい花びらの形で窓から差し込む朝日でキラキラ輝いていた。
ここまで読んで下さって有難うございます!
調合回です。ところ変わっても三人調合釜の前に立つと、ほぼ工房で調合するのと変わらないっていう。
誤字脱字変換ミス、気になった所や「○○(キャラ)がお気に入り!」などありましたら誤字報告や感想などでお気軽に。
評価・ブックは大変ありがたく嬉しいです。アクセスし、読んで下さるだけでも十分嬉しいので、今後ともよろしくお願いします。
=素材=
【シュガリーウッド】
甘い樹液を分泌する特別な木の種類。
樹液は原液だとほのかな甘みがあって飲みやすいが、煮詰めることで保存性が高まる。
シロップ(はちみつのようにトロミのある状態)にするには煮詰める必要があり、煮詰めると独特のコクと香りがある。
若い木の方が樹液の量は取れるが、甘味は古い木の方が強い。
煮詰めたものをウッドシロップという。現代で言うメープルシロップ。
【ウッドシュガー】
ウッドシロップを煮詰めていくと、甘い薄茶色の塊になる。
これをウッドシュガーと言うが、使い方は砂糖と同じ。ウッドシロップと同じ風味で保存性に優れる。一部地域では保存食兼携帯食料としてよく用いられる。削り方によってザクザクとした食感になったり、サクサクした食感にも。
【上級・氷石糖】
砂糖+水+糖花+果物(元のレシピ)
→ 砂糖(2)+ハチミツ(2)+ウッドシロップ(1)+糖花(5)+カンビオの実
既存の氷石糖よりも魔力回復量・効果は増量。
小指の爪くらいの大きさで上級魔力回復薬と同じ量を回復でき、一時間の『詠唱短縮』が可能。沈黙・麻痺の無効化も確認済み。
※事前準備
・カンビオの実は魔力を注いで一晩寝かせる
・ウッドシロップは採取して一時間以内にシロップ加工したものを使用する
・糖花はバラバラでも構わないが、濁りのない透明な最上級のものを使用
・ハチミツは最低でもA品質のものを使用する
・砂糖は不純物のないS品質のものを使用
=手順=
①溶液を作る。ハチミツとウッドシロップを入れて魔力を込めて一分強火で加熱したら弱火(50~55度)にし、砂糖を入れて溶けきるまで一定量の魔力を注ぎながら混ぜる
②砂糖が溶けきったら半分量を保温ボウルに移し、蓋をして残った溶液にカンビオの実をいれる(二つに割る)
③カンビオの実の色が溶液に移るまで煮込む(60度)。この時、魔力は注がず、調合釜も混ぜない
④カンビオの実の皮とヘタが浮かんだら取り除き、糖花を入れて弱火で加熱する
⑤糖花が全て溶けきったら大きく三回混ぜ、そこに保温ボウルに入れて置いた溶液を調合釜へ戻す
⑥大きく三回混ぜたら火を消して、即座に魔力を注ぐ
⑦魔力を注ぐことにより結晶化が進む。必要な魔力量を注ぐ時間が短ければ品質が高くなる
また、注ぐ魔力色によって氷石糖の色に変化がある