180話 収穫・収獲・収獲!(中)
なんとか!!ぎりぎり!!!いっしゅうかんんん!!!!
……ちぇっくは、、、あの、後でします……(こそこそ
上から見る景色と水中から見る景色は、まるで違う事を全身で思い知った。
ゆらゆらと揺れる光のカーテン。
下を見ると水中なのに草原が広がっているようにも見えて、思わず目と口がパカッと開く。
地上での草は水中に生える水草で所々に岩が転がり、野生動物やモンスターの代わりに美しい鱗とヒレを持つ大小さまざまな魚が優雅に泳いでいるのだ。
これはすごい。
「まさか水の中で収穫する日がくるなんて……流石に火の中で収穫とかない、よね」
多分死んじゃう、と本当になったら困ることを考えながらプカプカと水面付近から見下ろす。
地上から見た白は、土にあたる池底と水蜜桃の樹だった。
透明な半球の中で忙しなく視線と両手両足を動かし、水を搔く。
体に水の抵抗を感じただけ、グンッと水底に近づいて水蜜桃の樹がはっきり見えてきた。
(葉の色は白みの強い青緑でその間には赤色の実……ピーチェに似てるけど色はコッチの方が濃いし一回り大きい)
近づくにつれて赤だと思っていた実は濃いピンク色だと分かった。
ただ茎付近は淡い黄色で、木の幹はつるりとした質感で樹皮はなさそう。
「長果枝には2~3個、中果枝に1個、短果枝三本で1個ってとこか。大きな枝に最大で五個なら水の中でちゃんと動ければそんなに時間かからないかなぁ。あー、でも枝が密集している所は気をつけなきゃいけないし、水中での動きに早く慣れなきゃ」
果物を育てる上で一番大事なのは摘果だ。
摘果っていうのは、美味しく育つように『いらない』実をとって栄養が十分行き渡るよう調整する作業なんだけど、これがすっごく難しくて面倒だったりする。
いっぱい収獲できればいいってものじゃないのは経験済み。
丁度いい量に調整しないと美味しい果物に成長しないんだよね。
(最初は数を確保したかったから、味が薄かったり酸っぱかったり、渋くなったりしたなぁ。処理の手間がかかるから却って大変なんだよね)
家にあった果物の樹に関するメモを見つけてからは毎年一定量の美味しい果物が採れるようになったけど、最初は本当に失敗ばかりで餓死を覚悟したっけ。
飢えに耐え兼ねて温泉が湧いている所まで鍋とわずかな保存食を持って移動したことを思い出して、苦笑した。
(温泉がある場所は土も温かいから、冬は飢えない様にゴロ芋を植えてたな)
懐かしさを感じつつ、潜っていくと少しずつ体に負荷がかかってくる。
ぎゅっと体を押さえつけられるような感覚は久々だ。
カルンさんからは、試しに『水蜜桃』を収穫して欲しいと言われている。
収獲した作物を入れるのは葡萄とは違ってザルではない。
柔らかい紐で編まれた編みカゴ(といっても網型の袋ってかんじ)とハサミだ。
それらを手に一本の樹へ近づく。
『水蜜桃』は今、収穫真っ盛り。
他の果物や野菜も収穫が忙しいので、実は未熟果を含めすべて回収するそうだ。
(熟してるかどうか見なくていいのは助かる。水の中で見極めるのって簡単なようで難しいんだよね)
パチンッと茎の辺りにハサミを入れた。
遠慮なく目についた実から手あたり次第収獲していく。
完熟したものは切り離すとゆっくり下へ落ちて、未熟なものはぷかっと浮くそうだ。
だからしっかり袋の口は閉めて下さいとのこと。
ピーチェに近いこの果物は傷つきやすいと聞いているので、出来るだけ触らない様に収獲していく。果物って美味しいけど結構手間かかるんだよね。
(完全に水の中だから腰も痛くならないし、ベルたちにはいいかも)
立派な水蜜桃の樹から素早く丁寧に回収して地上へ戻る。
編みカゴは全部で四つ分しか持てないから、一本の樹につき2~3往復。
長時間収穫作業ができないのは体への負荷が大きいからだってわかった。
回収したものは腰に巻いた紐に結ぶんだけど、うっかり脚で蹴らない様に気にしながら浮上する。
(魔道具のお陰で快適に息は出来るし視界も文句なしだけど、流石湧き水。冷たい)
一度目の潜水を終えて水面から顔を出せばカルンさんが少し驚いた顔で私を見ていた。
手に懐中時計を持っているから上がってくるまでの時間を計っていたんだろう。
「収獲してきました。4袋分! そのまま水から出していいんですか?」
「いえ、水からは出さないでください。袋の底には重しがあるので未熟な実が多くても浮かないようになっています。収獲したものは、池中央にある大きな水桶へ入れて下さい。満タンになったら引き寄せて水中で選果します。ああ、一袋はこのまま受け取りますね。初めての収獲なので確認させていただきます」
もっともだと思い熟していそうなものを中心に集めた袋を渡す。
水の中で確認するかと思ったんだけどカルンさんは静かに水から引き上げて、色々な方向から水蜜桃を確認。実際に取り出したのは二つだけだったけれど、満足そうに頷いた。
「完璧でした。水蜜桃は外皮がとても薄くちょっとしたことで剥けてしまったり、変色するので……気をつけて上がってきてくださったんですね。この調子で収穫してください。時間が来たら知らせます。ああ、収穫は可能な限りで大丈夫ですよ」
はい、と頷いてまずは中央付近まで泳ぎ潜る。
巨大桶は上下ひっくり返された状態だった。
丸く影になっている部分は陽が射しこまず、温度がより低く感じてそっと袋を入れたらすぐに下へ向かう。
(これ、時間かけてやってたら体力持たなくなりそう)
桶の周りには沢山袋が括り付けられているので空っぽの袋を持っているんだけど、中身がないと全力で泳げるのが嬉しい。
私が二回目の採取をしているとリアンとベルが二人同時に水面へ。
二人もまだ元気そうだったので安心して収穫を進める。
―――…水蜜桃の採取は、溺れる危険があるから一人では絶対に潜ってはいけないとカルンさんに言われたのを思い出した。
入れ替わりで潜る分には大丈夫らしいけどね。
(さて、気合入れて収穫しますか!)
◆◆◇
この水蜜桃の収獲で大活躍したのは、意外にもリアンだった。
午後には私と同じくらいの速度で収穫してカルンさんだけじゃなく私たちも驚いた。
ベルは体が冷えるのが駄目らしく、ゆっくり目。
無理すると体調を崩すからってことで先に水梅の収獲へ回った。
水梅の収獲は明日の予定だったんだけど、ベルにとってはコッチの方がやりやすかったらしい。
「にしても、意外だったわ」
不服そうな表情を隠しもせずベルが口を開いた。
ずーっとそう言っている理由は簡単で、水の中ではリアンの方がスタミナがもったというのがプライドを刺激しているらしい。
「恐らく僕の魔力が青だからだろう。純粋な体力で比べるのはよしてくれ」
そう言ったっきりリアンはベルの方を見ていない。
訓練は嫌だ、と隣に座っていた私とラクサの耳に聞こえて来たけど無言でスプーンを口の中に入れて言葉ごと飲み込んだ。
今夜は熊シチューとパン、温野菜サラダ、水蜜桃。飲み物は水梅酒か水梅ジュース。
甘さと爽やかでさっぱりした飲み口の水梅を使った飲み物は大好評で、作業を終え夕食を食べに来たラクサは三杯目に差し掛かっている。
ちなみにラクサに指導してくれているケイパーさんは今手が離せないらしく、小鍋とバスケットに用意した。
「いやぁ、これ旨いッスねー! ワインよりこっちの方が好きッス」
「確かに美味いな。水梅酒か……カルンさん、水梅を買い取ることはできますか? 可能なら水梅酒の作り方も教えて頂けると嬉しいのですが」
ベルは、熊シチューと水梅酒を流し込むように食べていた。
私たちが池から引き上げた後も暫く作業していたからお腹が空いているらしい。
「作り方なら明日の作業後に教えましょう。頑張って収獲してくださいね。実は、水梅と水中花の実を収獲する作業はあまり人気がなく……ベルさんは実際に作業をされたので分かると思うのですが、結構な力仕事なので」
「え? 手で拾うんじゃないんですか?」
手で拾うのに力がいるのかと不思議に思ってカルンさんとベルを見るとベルは何でもない事のように一言。
「手で拾うと時間がかかるから、昔の道具を出してもらったの。カルンさんと数人の才能持ちしか使えないらしいんだけど……鉄でできた道具を川に入れて引っ張るだけでいっぺんに梅が回収できるの! 石とかも入っちゃうんだけど、梅より小さいジャリだからこう、水中で揺すれば梅の実だけ残って便利よ」
「……ちなみに、その道具の重さってどのくらいッスか?」
恐る恐ると言った風に聞くラクサに倣って視線をベルとカルンさんに向ける。
才能がないと使えない道具って、と固まっている私たちを余所に二人は顔を見合わせて暢気に首を傾げている。
「ある程度の大きさもあるし百キロ程度じゃないかしら」
「二百キロ未満ではあったと思います。ちなみに、特大ジョレンという名前で、鉄籠に棒をつけたような形です。それで地面の砂利ごと梅を掬って川の洗い場で細かく前後左右に揺り動かし、梅だけを収穫するんです。ベルさんのお陰で収穫が一気に進みました。お二人はどういう風に実るのか確認して頂きたいので案内させてください。品質の見分け方はその場で教えますから、その後は今日と同じ水蜜桃の収獲を手伝って頂けると嬉しいです」
ニコニコとほんのり赤くなった顔で笑うカルンさんは何処からどう見ても力があるようには見えない。
(でも、カルンさんって片手でディル達を投げ飛ばしたんだっけ。うっかり忘れそうになるけど)
ディルは未だ戻らないようだ、とラクサからは聞いていたので一体どこまで飛ばされたんだろうと少し心配になる。戻っては来るだろうけど、ご飯食べてるかな。
「オレっち、基本姿勢は絶対服従って肝に銘じておくッス」
「……だな」
「吹っ飛ばされた時の為に上手く着地する練習した方がいいかな、二階から飛び降りるとかさ」
人間何時どうなるか分からないし、と訓練になりそうな方法を呟いたんだけどラクサとリアンにはすぐに却下された。
受け身っていうのを取れるようになるのが最初だって言われたので、受け身を練習したいと言えば渋られた。なんで。
「ライムに受け身が取れるとは思えない」
「どっちかってーと、捨て身で特攻しそうッスよね。戦えないのに」
「ホントそれよね。教えても良いけど、訓練してる時に怪我したらどうするの? 骨折とかしそうで怖いから私は絶対イヤよ」
「酷くない!? 私だって練習すればできるようになるよっ。そ、そりゃ咄嗟に出来ないかもしれないけど、ぶつかる前提なら覚悟も用意もできるし」
酷いと思いませんか! と、私の仲間を増やすべくカルンさんに視線を向けると困ったように微笑んだ。
「う、うーん……私も戦うのは得意ではないのですが、咄嗟に対応できないなら恐らく『できている』とは言えないと思います。覚えておいて損はないという考え方もありますが、ライムさんの場合『知っている』からと楽観視しそうですし、知らない方がかえって安全かもしれません」
「ぬぐぐぐ」
呻く私にその場にいる全員が諦めろと首を横に振る。
子供っぽいなと思いながら机に頬をつけてプイっと横を見ていると、小さな溜め息の後にリアンが口を開いた。
「ライム。別に君が強くなることに反対している訳ではないんだ。君が自分の身を護れるようになるなら僕らから訓練を申し出ている。ただ、アンデッドと対峙した時に実感したが性格的に君は争いごとに向かない。戦うよりも逃げることで負担を減らすという考え方をして欲しい――…前にも言っていただろう。いざとなれば、けが人を背負って逃げられるようになると」
「い、言ったけど。でも、ちょっとでも時間稼ぎできれば皆も楽じゃない?」
ドラゴンと戦って素材を確保しなくちゃいけない時に少しでも時間が稼げれば回復薬を飲む時間を作れるかもしれない。
盗賊とか悪い人と戦うことになった時に隙を作ることだってできるようになる筈だ。
「それなんスけど、オレっちとしては『逃げ』と『観察』に特化してる人間が一人いた方が全員生き残る確率が高いンで、鍛えるならそっち方面にした方が良いッス」
どういうことだろうとラクサの方を向くとラクサは腕を組んで真剣な顔をしている。
声は普段通りだ。
「まずは体力と腕力をつけて、足腰を強くする。元々、体力はあるンでそれを伸ばせばいいだけッスよ。金もかからないし。で、戦闘中は身を隠すか何かして出来るだけ安全な位置で『周り』を観察し、致命的な攻撃を受けないよう指示を出したり、便利なアイテムを使って補助や逃走する隙を作り出すことも出来るッス」
それなら確かに私でもできそうだと頷いた所でベルが口を開いた。
手には水蜜桃をカットしたもの。
「私としてもドラゴンやなんかと戦う時は周りの状況を見て指示を出してくれる方が助かるわね。戦っているとどうしても目の前の相手に夢中になるのよ……相手が強いと余計にね。危ない時には回復してくれると助かるし、アイテムを使う時もそう。アイテムを使うには攻撃を緩めなくちゃいけないでしょう? なにせ、栓を抜いたり魔力を込めたり、片手で出来ることが多いけれど一瞬でも気を逸らすとやられることもある。だから、相手の意表をつくようなことを請け負ってくれれば助かるのよね―――…それにセンカ様から爆弾のレシピを聞くんでしょう?」
「うー……わか、った。でも、体力をつける他に爆弾を投げる練習はしたいと思ってるんだ。それならいいよね? ねっ?!」
お願い、と両手を合わせるとベル達は顔を見合わせて最終的に頷いてくれた。
ある程度私の戦闘訓練への目標ができた所でハッと思い出す。
「そうだ! 今日はデザートにもう一品あるんだった」
慌てて立ち上がり、外へ向かう。
既に陽が落ちて暗くなった屋外には大きな人工の月が淡く周囲を照らしていて、池の表面にもう一つの大きな月が浮かんでいた。
虫の鳴き声に時々魚が跳ねる音と合わせて夏の夜独特の匂いがする。
「この間まで、春だったのにな」
首都に来てから時間の流れがとても早いことに驚きつつ、短く生えそろった草の上を小走りで進む。
目的の品は穴が無数に空いた桶の中にきちんとあった。
状態を確かめたかったけど、それは後でのお楽しみ。
「上手に出来てますよーに!」
お願いします、と手を合わせてから水浸しの桶にプカリと浮かぶ鍋を取り出す。
次にちょっと大きめの鍋も取り出した。
大きなトレイに二つの鍋を乗せて戻り、真っすぐ台所へ。
手伝おうか、と声がかかったけれど大丈夫だと返事を返して鍋を置いた。
「どれどれ……上手にできてるかなぁっと」
そうっと鍋の蓋を外す。
まん丸のお月さまみたいな黄色いものが出来上がっていた。
もう一つの大きな鍋には小さなカップが並んでいて、いずれも小さなお月さまみたいになっている。
「確認は……スプーンでいっか」
そうっと傷つけないようにスプーンの腹で中央付近を押してみる。
フルンッとした小さな抵抗。
いくつか確認を終えて小さいお月さまが無事に完成している事が分かった。
大きい方は、と同じ要領で確認したけれどバッチリいい具合に火が入っている。
押し付けたスプーンの腹を唇に当てるとひんやりしていてしっかり冷えているのが分かった。
「じゃ、飾りつけしちゃおう」
用意したのは、カルンさんが用意してくれたミルク。
ミルの実と似たような感じなんだけど、味はコッチの方が濃くて甘みが強い。
少しトロミが出るまで煮詰めて、溶かしたバタルを入れたらミルクソースが出来上がった。
もう一つのソースは砂糖と湧き水を加熱して作ったカラメルソース。
ゆるめに作って冷やしたものを別添えにしておく。
「好きなようにかけて貰った方がよさそうだね。好みもあるし。蓋は閉めておこう」
あとはレッドベリーとオオベリーを一つづつ、小さいお月さまにのせて、ちょこんとスーッとするミントの葉を乗せた。
黄色と色味の違う赤が二つ、そして緑の葉っぱは中々に綺麗だ。
「大きい方は………このまま出そうかな。果物も別皿に盛って……っと」
ミカンや水蜜桃、ベリー系だけでなく柑橘類なんかも皿に盛りつけて大きなトレイに。
小さなカップは必要な分をポーチに仕舞ったら後は大きなバスケットに収納しておく。
食卓テーブルへ運んでいると既に食事が終わっていたらしくそれぞれ片づけを始めた所のようだ。
「デザート持って来たよ。食べられる人だけ小皿用意しておいてね」
「わかったわ。テーブルの上の食器は台所へ運んですぐに戻ってくるから待っていて頂戴。洗い物は後でまとめて済ませるから」
「うん。あ、そうだ。ラクサ、このバスケットに入ってるものを帰りに届けてもらっていいかな? 誰に届けるのかは書いてあるんだ。で、こっちのメモはディルとミルルクさんが分かるように家のドアにでも挟んでおいて」
手紙に書くべきだったかなと思いつつ、ちゃんと残すような文章でもないしメモでいいかと思ったんだよね。
内容は『食べ損ねたご飯は保存してあるので、戻ってきたら私のトコロに来てください ライム』という簡単なもの。いつ帰ってくるか分からないんだもん、仕方ない。
凄い勢いで片付いたテーブルにはベルが入れてくれた紅茶と人数分の小皿が並んでいて笑ってしまった。
全員が席に着いた所でテーブル中央に置いた鍋の蓋を持ち上げる。
「……黄色い、何かしらこれ」
「さぁ……?」
ベルとラクサが首を傾げる横でリアンが暫く鍋の中を観察して一言。
「これはカスタードプディングか?」
僕の知っているものとは異なるが、と付け足しつつも自信がありそうだ。
カルンさんは目を輝かせて動かない。
「リアン正解! これ、カスタードプディングだよ。おばーちゃんはプリンって呼んでたけどね。カスタードプディングって貴族は食べないの?」
「あまり、見ないわね。私の家では焼き菓子が多かったの。お茶会もそうよ。毒味の関係もあるから……ああ、でも、タルトの中にプディングが入ったものは食べたことがあるわ。確かプディングタルトって言ったわね」
「何それ美味しそう! 今度作ってみる」
うわ、と話しつつ大きなヘラをカルンさんに渡す。
驚いた顔をしている彼の前にプリンの鍋を移動させた。
「ミルクと砂糖、卵を使って作りました。全部、カルンさんが私たちにって持ってきてくれた素材です。代表して切り分けをお願いしまーす」
「わ、分かりました」
緊張しますね、と生唾を飲んで真剣な顔で分け始めたカルンさんを眺めながらバスケットを少し開けて見せる。
「白いソースと茶色のソースがあるんだけど好みでかけてもらって。白の方は滑らかで深い味わいが出るしミルクっぽさが増すよ。茶色の方はほろ苦さと甘さがくる感じかな。両方合わせても良いけどね」
好きにかけて、と言えばまずはそのまま食べてみるという。
フルーツを乗せるのは各々の皿に乗ってから。
キッチリ神経質すぎるみたいに分けられたプリンは大好評だった。
つるん、ともトロリとも言えない滑らかな舌触りと食後に相応しい後味の良さであっという間に完食。
ラクサには追加のプリンを持たせ、また明日~と送り出した。
すっかり暗くなっているし……何より疲れた。
「今日はもう寝ようか」
「そうね。私も疲れたし、水の中って想像以上に体力使うのよねぇ。明日も作業はあるし、もう休みましょ」
湯浴みは明日、ということにして私たちはそれぞれの部屋へ。
身支度は全部後回しだ。
(にしても、ディルとミルルクさんって本当にどこまで飛んで行ったんだろう? 危ない目に合ってなきゃいいけど)
書きたいものをぶち込みました的な……あ、いつものことかw
ということで、農作業は続きます。
次、はなんとなーく展開を決めているのですがちょっと忙しくなればいいな。ライム達が。
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気付いたらピャッと修正。
今回はガバガバチェック…(震
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