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179話 収穫・収獲・収獲!(前)

 何とか一週間更新です!です!!!はい。

ぎりぎり…orz


そして、全く想定外の……ええ、あれが出てきます。



 午後の収獲は、体の使い方を思い出してきたお陰で作業が捗った。



 お昼に現場で採れたての野菜を使って料理をしたのが一番良かったのかもしれない、と水葡萄をザルに入れながら考える。


 地元ならではの取れたて野菜をふんだんに使った、贅沢な野菜スープにはカレー粉を入れたのが良かったらしい。

初めて食べる味だと興奮した集落の人達に囲まれてあれやこれやと質問された。

 申し訳なさそうにスパイスの配合を聞かれた時はどうしたらいいのか少し困ったけど、広まっても困ることがないので答えた。

お陰で、その場にいた人達からは取れすぎて困っているという食材を貰えることになったし、いい結果になったかな。

 ちなみに、カルンさんはとてもご機嫌で大盛にして三杯ほど飲み干していた。


(けど、希望者は個人用の畑が貰えるって結構凄いよね。土地が無限にある訳じゃないから、一人当たりの広さは分けられてるし、使うためのルールなんかもあるらしいけど)


 美味しいと分かっている野菜は高い。

収穫した瞬間から味が落ちていく野菜も多いから、現地で調達できるのはとても有難い。

どうせ食べるなら美味しい状態で食べたいしね。

私も、貰いっぱなしは嫌だったので二人に許可をもらって持ってきていたトリーシャ液を一回分配った。


 最初は遠慮されたんだけど、代わりに料理やこの辺りで食べられる、利用できる植物・キノコなどについて情報を貰うことで丸く収まった。

私にとっては、店の宣伝もできるし新しい素材の知識も増えたしでいい事しかない。



「よし、っと。やっぱりザルを近づけて極力触れる面積と時間を減らした方が効率も良いし、傷つかないや」



 ザルは、流れてしまわない様に一定間隔で川の横に棒が挿してある。

これには収縮性のある紐が結ばれているんだけど、紐の先には収穫したものを入れるザル。

使う時は紐を伸ばして、一定量の葡萄を載せるだけだ。

葡萄の重みでその場に固定できるからとても便利。

 最初は戸惑ったけど、収穫前にザルを一定間隔で置いて、重石代わりに石を載せておけば流れないし、葡萄も乗せやすい。



「最初は時間かかるけど無駄にはならないし」



ザルを置いて置けば足の踏み場も分かりやすいのでいい事づくしだ。

 川底に生えているコケに一瞬ヒヤッとしたことはあったけど、午後はそういう失敗もなく順調だった。



「温泉とかお風呂に入れたら、次の日はスッキリ目が覚めるのにな」



 農作業って同じ姿勢でいることが多いから体がどうしても痛くなる。

負担が一番かかるのは、腰だ。

膝を曲げて前かがみで収穫するから定期的に体を動かしたり、伸ばしたりしてるんだけど普段あまりとらない体勢だから結構きつい。


(そろそろオヤツだけど、15時のおやつは飲み物だって言ってたしミルク飲めるといいなぁ。あとちょっと分けてもらえたら嬉しいんだけど……ミルクでプリンが作れたはず)


 10時、12時、15時とこまめに休憩があると聞いていたので区切りのいい所で川から上がった。

 本物の太陽ではないといっても人工太陽に照らされて、水が入らない加工が施してある靴や手袋なんかを嵌めているとどうしても汗を掻くし疲れる。

 結構進んだなぁと今まで収獲してきた範囲を眺めつつ、麦わら帽子を外して振り返ってみた。



「………二人とも、大丈夫だといいんだけど」



進んではいるんだけど思っているより進みが遅い。


 ベルもリアンもコケに苦戦しているのと、水の中での作業に手間取っているようだ。

水の中で収獲するのは実を言うと難しい。


 水面が揺れるし水流が多少あるから間違った所を切らない様に気をつけなきゃいけないし、収穫に適したものを見極められるようになるまで時間がかかる。

常に流れ、揺れている水の中のモノの大きさを正確に見極めるのは地上に生っている果物や野菜を収穫するよりずっと難しいんじゃないかと思う。


 視覚に頼り過ぎるとサイズが小さかったり、うっかり手袋を切ることもある。

自分の腕とか体の位置によっては見えにくくなるから太陽の位置にも注意がいるんだよね。


(重さと感覚で何となく判断はつくけど、慣れなきゃ難しいんだよね。あまりべたべた触ると品質が落ちるって言われてるし)



際どいものを私も何個か収獲してしまったので、最初の休憩の時に相談したんだけど分からなかった場合はそのまま置いておいて欲しいと言われた。



「ベル、リアンー! 私、あとちょっとでそっちまで行けるから頑張ってー! 半端に残すの嫌だから、休憩は大丈夫。代わりに、ミルクを融通してもらえないか聞いてみて」



お願いねーと声を張り上げると二人が驚いて声をあげたのが分かった。

早すぎないか、とかなんとか聞こえてきて苦笑する。



「リアンは頭いいし、ベルは強いんだもん。一つや二つくらいできないことがないと私の居場所がなくなっちゃう。良かった、辺鄙な場所で暮らしてきて」



今の所体力はベルと同じくらいあるみたいだ。

 二人に勝てることと言えば採取のスピードと素材の仕分けくらい。

調合技術に関してはほぼ同じ。


(リアンは細かい作業が得意で、ベルは“興味のある”調合だと勘が凄いんだよね。普通のものでも最近はC品質安定して作れるようになってるし)


 麦わら帽子をかぶり、水の中へ。

残りは一キロ程。

一時間もあれば終わるだろう、と気合を入れて意識を切り替える。

手間暇をかけて作られた『食べ物』を雑に扱う事はできないし、したくないから。



 ―――…作業が終わったのは、16時30分を過ぎたころ。


 私たちに割り振られた区間は全て作業が終わったのでカルンさんに確認をして貰ったんだけどとても驚かれた。



「いやぁ、驚きました! 水葡萄の収獲は難しいのです。力加減を間違うと水の中で粒が外れてしまったり、転んで潰してしまったり……半分終わればいいと思っていたのですが」



 すごいです、と手を叩いて川を眺めるカルンさんは私達に頭を下げた。

小さいとはいえ川一本を終わらせるのはなかなか大変なのだと。

 水葡萄は好きなものをザル五つ持って帰っていいですよ、とのこと。

これは作業が早く終わったご褒美なんだって。



「―――…ほぼすべてライムが収穫したようなものです。コケもそうですが、水の中の葡萄を収穫するのがこんなに難しいとは思いませんでした」


「体力には自信がありましたのに、私ですらこのザマですわ。労わるならばライムにしてくださいませ……その、あまり力になれなくて悪い事をしたと思っておりますの。力仕事ならできますから、後片付けなどは任せて下さいまし」


「僕は帳簿つけや収穫量などの記録は得意なので任せて頂けると嬉しいのですが」



腰が痛い、と嘆いていたのが嘘みたいにカルンさんに手伝いを申し出る。

 二人の勢いにカルンさんは目を丸くしていたけれど、嬉しそうに頭を撫でた。

ギョッとするのをどこか楽しそうな顔で眺めながら彼は人差し指を立てる。



「実はですね。先ほどの休憩の時にセンカさんに連絡を入れて皆さんを家に泊めることになりました。皆さんは三人で生活しているようですし、明日の作業場である『水蜜桃』の水林みずばやしで休んで頂いた方がいいと判断して、サフル君に宿泊できるよう掃除と寝具の準備は頼んであります」


 泊まり込みで作業や収穫をすることもあるのだと、カルンさんは微笑む。

この提案に驚いたのは私だけじゃなかったらしい。

リアンもベルも目を見開いていた。



「私たちが勝手に『水蜜桃』を採るとか考えないんですか? 名前からして美味しそうだし、それに」



初めて会った訳じゃないけれど信用してもらえるような会話をした記憶もない。

 危機管理というか大事な食料の心配はしなくてもいいのかと問えばカルンさんはクスリとほほ笑んだ。



「僕たちが丹精込めて育てた大切な水葡萄をこんなに大切に、丁寧に収獲してくれている君たちをどうして疑うようなことができると思うのですか? 疲労だって溜まっていたでしょう。それなのに、皆さんの作業は雑にならなかった。リアン君とベルさんは注意力が散漫になるからと慎重に作業してくださっていましたね」


「それは当然ですわ。私達も自分たちで作った商品を販売していますもの。それらが雑に扱われるのは我慢なりません」


「どれだけ努力しても報われないこともあります。特にこういう自然による力が大きく品質に影響する『農産物』は扱いがことさら難しい。収獲も限られている……そんな中で、戦力には到底数えられないような部外者に大切な商品を託してくださるとは思ってもいませんでした」



だからこそ、与えられた信用に見合うだけの働きをしたいのだとリアンは言い募る。

ベルも力強く頷いていて、私も少し迷って口を開いた。



「食料の備蓄ができないってことは飢えるってことですよね? 果物って口当たりがいいし、食べやすいから子供とか病気になった人とかがきっと、食べると思ったんです。適当にやって大事な樹を傷つけたら嫌だし、来年にもその次にも影響しちゃうから……私達は勝手にウロウロしないようにしますけど、悪い人もいるみたいだし気を付けた方が」


「君たちは『いい子』ですね。だからこそ、ですよ。貴方方が何か問題を起こしたとしてもその時は私の人を見る目が育っていなかっただけの事。大丈夫です、伊達に知識を身につけてはいません……なにより『水蜜桃』の収獲は簡単ですが難しい」



どういうことだ、と顔を見合わせているとカルンさんは楽しそうに背を向けた。

 移動するらしい。

納屋の辺りで借りた長靴や手袋、麦わら帽子を置くと細い道を進んで林の中へ。

林の中には、意外なことに小さな鳥や動物がいるようだった。



「彼らは森の生態系を維持するのに必要不可欠なのです。無駄なものなんて森には何もない。あるとしたら私たちのような生き物が持ち込んだ異物でしょうね」



 穏やかな声に私達は耳を傾ける。

道中でリアンは収穫量などの取りまとめ、帳簿つけや前年度の売り上げのまとめなどを引き受けることが決まった。ベルは明日、沢山重たいものを運んでもらうとのこと。



「―――……君達のような外から来る若い人は希少です。ここで働いている人たちも君たちを気に入ったとのことで、明日の昼食もおやつも間違いなく豪勢になります。この集落で子供は生まれにくいですからね。長命種が多い上に様々な事情を抱えている者もこの集落には多い」



どこか愁いを帯びた声に見えていないと分かっても小さく頷いてしまった。


 おやつを食べている時に少しだけ感じた遠慮がちで何処か観察するような、怯える様な視線と空気。

あれは、最初に出会ったころのサフルから向けられるものと似ていた気がする。



「尊重し思いやり、生きていくのは難しい。人は違うものを排除したがる。だから、私の角を見て『同情』も『憐み』も『嫌悪』も浮かべずに、当たり前のように受け入れてくれた君たちを私は護りたいと思いました。慈しんで、健やかに……願わくば真っすぐ育つように願っています」



サクサク、と短い草を踏む音が人数分。


 遠くの方で小鳥が鳴き、夜に音を奏でる虫が涼やかな音を奏で始めた。

頬を撫でる風は夏の夜の匂いを優しく運んでくる。

優しく寄り添うような空気は人を素直にするのかもしれない。


 チラッとベルやリアンを見たけれど二人の表情はかなり柔らかくて、最近、工房で見るものと大差ないように見える。



「さぁ、着きましたよ。食材は今夜と明日の分を用意してあります。使い切らなくてもいいですし、足りなければ気軽に言って下さいね。私は書類を取ってきます―――……ええと、それでですね。もしよければ私の分の夕食もお願いしても良いでしょうか? 昨日いただいたカレーが美味しすぎて他の料理も是非味わってみたくなりまして」



 照れくさそうにチラチラ私を見るカルンさんに、私たちはほぼ同時に噴出した。

 はい、と笑顔で返事すると飛び跳ねるように来た道を戻っていく。

ちゃっかり「辛いものも甘いものも大好きですよ」と言って行くあたり強かだなと思う。



「入ってみましょうか。ああ、食事の支度は私も手伝うわ。一番疲れてるのはライムだもの」


「僕も書類が届くまで手が空いているから、カルンさんが来るまで使ってくれ」


「わかった。じゃあ、早速何を用意してくれたのか見てみよう。デザートも作りたいな」


「いいわね。水葡萄のタルトだったかしら、あれ、帰ったら作ってくれない? 食べ逃したのがずーっと気になってて」


「レシナのタルトもいいが、水葡萄のタルトも是非味わってみたいな。君が美味いと評価したのだから期待できる」



 私たちは、大きな池の畔に立つ一軒の家へ向かう。

魔石ランプらしい灯りが灯っているので恐らくサフルがいる筈だ。

何だか、工房に戻って来たみたいで力が抜けていく。


 ラクサやディルがどうしているのかは気になるけど、でもやっぱり『仲間』だけの方が肩の力は抜けるんだよね。

それだけ信用も信頼もしてるから、当たり前か。





◆◆◇





 朝、軽めの食事を済ませて私たちは池の前で固まっていた。




 渡されたのは不思議な布。

リアンは下着に似た膝上のパンツのみ。

私とベルも胸当てみたいなのと短いスカートにパンツがついたようなものだけ。



「これは水着という特殊な服です。水の中で着ても重くならず動きを阻害しません」


「着る、んですの? この下着みたいなのを?」


「はい。そうでなければ水蜜桃は収穫できないので」



ココにあるんです、と池を指さしたカルンさんはとても楽しそうだった。


 水の中というのは何となくわかっていたんだけどね……うん。

だって、果物がなっている木がこの辺りには一本もなかったのだ。

歩きながら見たけどどこにもなし。



「水の中で呼吸は……」


「はい。ですからコレを装着していただきます。特殊な硝子で出来ていて壊れません。中には空気を発生させる魔石が埋め込まれており、被っている間は普通に呼吸ができます。水中での採取になりますから体にも負荷がかかるので短くて30分長くても1時間半が限界ですね」



カルンさん曰く、十人のチームに分かれて一時間ずつ潜り収獲をするらしい。

 その際、腰には紐を巻き付けて時間が来たら地上にいる次の人が紐を引いて知らせる。



「この作業にあたる者の多くが水辺で生活していた泳ぎや潜水が得意な種族です。勿論、そうではない方もいますが『才能』を持っていることが殆どです。なので、皆さんにはまず潜って頂いて適性を確かめます―――……泳いだことはありますか?」



眉尻を下げて私たちの様子を窺うカルンさんにベルは胸を張った。



「ありますわ。訓練で。割と優秀な方でしたのよ」



他にも救助訓練もしておりますわ、と自信たっぷりに宣言したのでカルンさんは安心したようだ。収獲って言っても、水に入れなければ何もできないしね。



「不慮の事故や緊急時に泳げなければ困るので僕も泳げます。体力をつけるには丁度良かったので、水中では短剣を主に使っていますし」


「ああ、武器によっては水中では不利になりますからね」


「私も潜水はできます! 網とか木で作った串でお魚捕ってたので」


「なにやってるの、ライム」

「網は分かるが木串で魚を捕るってどういう」


「ええと、全員泳げるようなので説明を続けますね。あ、どうやって魚を捕っていたのか気になるので暇な時にでも見せて頂けると嬉しいです」


「構いませんけど、この中に魚はいますか?」



透明度の高い池を指さす。


 澄んだ水の中は何となく水中の様子が伺い知れた。

水草の緑と白が見える。

白く見える物は一体何だろう、と目を細めていると控えめなカルンさんの笑い声が隣から聞こえてきた。


 視線を向けると私に笑いかけながらカルンさんは膝をついて池を指さす。



「魚はいます。川から引いた水なので。ですが、魔物や人を襲うようなものは入れないようにしてあります。魚も数十種類、場所に応じて育っているので捕っても構いません。勿論、収穫作業中以外になりますが」



それは勿論、と頷いてどんな魚がいるのか楽しみだと答えると彼はニコニコ楽しそうに、そして嬉しそうに告げる。



「ここの魚は自由に捕って構いませんよ。毒を持っている魚はいませんし、池の底には食用貝もいます」


「よし、早速潜りましょう!」



 いざ、と服に手をかけた所でベルに腕を掴まれた。

何するのさ、と顔を向けると笑顔が引きつっていて悲鳴じみた声が漏れる。



「ここで脱ぐな」


「いや、でも別に着替えるくらい良くない? これ着るだけだし」


「野生児にも程があるでしょう?! 全くもうっ! カルンさん、家の中で着替えてきますわ」


「は、はい。リアン君も着替えてきてくださいね。私は既に水着ですから」



腕を引っ張られながら大人しくベルの後をついていく。


 私とベル、リアンとカルンさんしかいないんだから着替え位大丈夫じゃない? ってリアンにも聞いたんだけど真顔で「常識の前に羞恥心を身につけてくれ」って言われた。

いや、恥ずかしいなーって気持ちくらい私もあるんだけど。失礼な。


 私たちは昨日使った部屋でそれぞれ着替えた。着替え終わったら一階に集合って言われたので下で待つ。



(私は装飾品少ないけど、ベルもリアンも結構多いもんね。ここでは減らしてるみたいだけど、二人の服って結構かっちりしてるし)



 そんなことを考えながら水着という下着みたいな服を直す。

三人で暮らすようになってからお肉がついたような気がするんだよね。

山での生活とは違って都会ではお金さえあれば色々な食材が手に入るのが一番の理由だ。


 色々食べてるもんな、と後悔しつつお尻とか胸とかお腹、足をペタペタ触っていると二人分の足音が聞こえてきて、パッと顔をあげる。



「やっときた。早く行こうよ! あの見たことのない魔道具も試したいし、魚も水蜜桃も気になるしっ」


「ライム、もうちょっとなんかないの? こういう服、私は結構恥ずかしいんだけど」


「? 恥ずかしいって何が」


「………もう、いいわ。でも、こうやって見ると本当に、その、育ちすぎじゃない? 貴女。どうやったらそうなるのよ」


「育つ? ああ、美味しいもの結構続いてるから気をつけなきゃ。服が入らなくなったら修繕費かかっちゃうし」



手直し代って結構するでしょ、と言えば形容しがたい笑顔でベルに微笑まれた。

ちょっと怖い。



「カルンさんを待たせるのも申し訳ないから、さっさと行くぞ」



視線が合わないリアンが結構な速度で私の横を通り過ぎたので慌てて後を追う。

ベルもブツブツ言いながらついてきた。


 リアンもベルも、長い髪を短くまとめて縛っているのが気になって見ていたんだけど、リアンを見ていて気づいたことが一つ。



「……リアン、私より腰細くない?」


「は?」


「言われてみると細い、というか薄いわね。腹筋とか筋トレでもさせようかしら。手始めに腹筋割るわよ」


「待て。手始めってなんだ?!」


「ベル、リアンがムキムキになったら気持ち悪いと思う。なんか想像がつかない」


「それもそうね。ひょろっとしてて折れそうな感じなのがリアンよね」


「……君たちはまとめてデリカシーと言うものを学ぶべきだ」



 なにそれ、と首を傾げるとリアンは頭を抱えてブツブツ言い始めたので追い抜いてカルンさんの所へ走る。


 初めてだらけの体験がどうしようもなく楽しみで仕方がない。

潜る前に池の中で採れる食材について聞いてみようと思った。


 その方が効率良いしね。




 ここまで読んで下さって有難うございます。

しゅばばばばっと書いてぽぽぽぽーんっと更新したので誤字脱字に注意です。すいません。

え? はい、いつものことですね。


 アクセスして読んで下さった方、ツイッターから興味を持ってきてくださった方、他にもこの小説を読んで下さった方に感謝です。

ブック・感想・誤字報告喜んで受け付けます。感想に関しては必ず返信しているので疑問点などがあれば遠慮なく聞いてください。「双色の錬金術師」はノリと勢いで成り立っております。



=食材?=

ルレック:乳牛。トライグルの北陸、赤の国で家畜として飼われている。

     子供がいる個体は母乳ミルクを出す。甘くて濃厚。コクがある。

     ミルの実と性質は非常に似ているがこちらの方がまろやか


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