177話 拳で語る必要はナシ!
遅くなってスイマセン!一週間に一話アップする予定だったのに……!
くっ!すべては裁縫の知識がない自分の所為!!(←凄い苦手
朝は、生きている限り必ずやってくる。
室内に差し込む日差しで意識が浮上したので、窓を開ける。
雨の匂いが微かに混ざる風に目を細めてみると結界の外は土砂降りの雨。
何処からか鳥の囀りが聞こえてきて、自分が特殊な環境にいることを忘れてしまいそうになる。
「雫時にこの集落に来られて良かったかも。毎日土砂降りだったら困るし」
来年も来られたらいいな、と呟いて着替えを開始。
最後にポーチを下げているベルトに借りた瓶入りケースを下げてみたんだけど、なかなかかっこいい。冒険者みたいで。
欠伸をしながら一階へ降りると項垂れて落ち込んでいるリアンがいた。
その前には腕を組んでかなり怖い顔をしているベル。
「おはよー。二人ともどうしたの? 朝から喧嘩?」
この時間にベルとリアンが一緒にいるのが珍しくて声をかけると二人がパッと振り返った。
ベルは私を見た瞬間に足音荒く近づいてきて、リアンは面白い位過剰に顔を背ける。
「おはよー、じゃないわよ! どうして私を起こさなかったの!」
「え? 気持ちよく寝てるのに起こされるの嫌じゃない? それに、瓶を入れるケースを置くだけだったから起こす必要ないかなって」
ベルが怒るような事何かあったっけ、と考えながら朝飯の支度をするべく台所へ。
時間は朝の五時半だ。
センカさんは六時に起きる予定だから出来立てを食べて貰える。
(昨日、何かあったっけ……?)
ベルが分かりやすく怒ることって滅多にないんだよね。
はて、と首を傾げて考えた所で寝る直前のことを思い出した。
思わずポンッと手を合わせて「本人に直接聞いた方が早いし、間違いない」という結論に。
「私が『おばーちゃんに教えて貰ったから失敗しない』ってベルも思ってる?」
朝の爽やかな空気のお陰で胸が詰まる様な息苦しさは感じない。
案外ケロッとして見えていたらしく、ベルが何度か瞬きをした。
釣り目気味の綺麗な赤い瞳が一気に燃え上がる。
「ッ……そんな訳ないでしょ! アンタが努力して調合出来るようになったのなんか嫌って程分かってるわよ! 何度も失敗したって聞いてるし、レシピを教えて貰ったんだとしても実際に出来るかどうかは本人次第。戦闘と同じで訓練しなきゃ出来ないことくらい考えなくても分かるわ。この眼鏡は何を考えてんだかッ」
いうや否やクルッと踵を返し、颯爽とリアンを引きずってきた。
胸ぐらを掴んでるんだけど確実に首が締まってるようにしか見えない。
「ぐ…ッ! だ、だから悪かったと思って…ッ」
「私に言ってどうするのよ。ライムに謝んなさい」
ほら、と雑に私の足元に投げ出されたリアンは珍しく文句も言わず、その場に座り直す。
私と言えばポーチから朝食に使うジャムを取り出してベルに差し出していた。
「わ、悪かった……その、君の努力を否定したかった訳ではないんだ。ただ、なんというか、君が悪いんじゃなくてだな」
ものすごく歯切れ悪く何か話しているので苦笑する。
あれは自分が勝手に凹んだだけだし、リアンが言っていた言葉も一理あるからね。
「昼の失敗が響いて勝手に凹んで勝手に暴走したんでしょ。アンタも大概余計なことごちゃごちゃ考えるのやめなさいよね。大概マイナス思考なんだから。鬱陶しいったらありゃしないわ!」
(リアンがベルに言葉でボコボコにされてる)
相槌しか打たないリアンをフンッと鼻息荒く一瞥したベルはジャムを持っていない方の腕を掴んで台所へ。
放っておいていいの?と思わず指さすとベルはいいのよと言い切った。
まだ怒っているらしい。
「で、今日のご飯はなに?」
「フワフワのパンケーキに野菜とかを挟もうかなぁって。スープはショートパスタを入れたヤツ。お肉はハンバーグにするつもり。いっぱい作ってパンに挟んで昼に食べられるようにしたくてさ」
「美味しそうじゃない。いいわね」
機嫌よく手伝うわ、と髪を束ね始めたベルはリアンがいる方向を見て舌打ちを一つ。
ボソッと何かを言っていたけど内容までは分からなかった。
「私だって初めの頃は『オランジェ様に教えてもらった』から調合が上手いんだって思っていたわ。手慣れてたし、まさか法律違反を犯してまで調合してるなんて思わないじゃない?」
「う゛ッ! そ、それは、知らなかったし」
マタネギを落としそうになったけれど辛うじて、落とさずに済んだ。
私が動揺してるのが面白かったのかベルは笑って楽しそうな表情に変わる。
マタネギに切り込みを入れて、火が通ると花が咲いたみたいに見えるように切って鍋の底に並べる。このマタネギは夜用のスープの具だ。
「でしょうね。まぁ、リアンも昨日は悪い癖で行き詰まって一人で暴走してたみたいだから許してあげて。ここにいると……随分肩の力が抜けているみたいだし」
「それはわかるかも。胡散臭い笑顔とか浮かべる頻度が圧倒的に少ない」
いつもこんな顔してるのにさ、とリアンっぽい表情をするとベルが噴き出した。
似てなさ過ぎて面白いわ、って言いながら肉の塊をミンチにしてくれるというので大人しく肉の塊と包丁を二本渡す。
迫力が凄い。
「リアンも珍しく素直に認めたわ。ライムに八つ当たりをしたって。私やリアンからすると、ライムの調合技術って凄く羨ましくて特別に見えるの。それも『下積み』があるからだって理解はしてるんだけど、心のどこかで嫉妬してる。ま、私は錬金術にそれほど思い入れがないから、リアンみたいにはならないけど」
「リアンが真剣に錬金術を勉強してるから『ずるい』って思う気持ちも分からなくもないんだ。実際、有名人の孫っていう事実は変わらないし」
調理はそれほど難しくないので話しながらでも可能だ。
話しながらほんの少しだけ胸の辺りが苦しくなったけどね、と苦笑するとピタッと動きを止めたベルが真剣な顔で言い放った。
「ライム、もっと怒ってもいいのよ。今ならぶん殴ってもリアンは抵抗しないから一発いってきたら?」
「知ってたけど割と物騒だよね、ベルは」
どうせなら魔力を込めて引っ叩くなり拳で殴るなりするといいわよ、と綺麗な笑顔で言われて顔が引きつった。
リアンが座り込んでいる辺りから鈍い音と短い息を詰めるような呻き声が聞こえてきたんだけど、訓練後に表情がなくなっているリアンやサフル、ラクサを思い出す。
ベルが怖い、とか逆らっちゃいけないって訓練で染みついたんだろうな。
「確かに言われた時は驚いたよ。でも、首席を取るくらい勉強したリアンがそう思うのも無理はないかなって。私は友達だと思ってた二人に『おばーちゃんの知識でズルして、楽してる』って思われていたのかもしれないって考えたら少し苦しくなったけど」
学院に行くと同じ錬金科らしき人がコソコソ話している言葉が耳に入ってくる。
聞こえない様に小さな声だったり、二人がちょっと離れている時に落とされる言葉や敵意に嫌な気持ちが芽生えることはある。
でも、面白くないって気持ちは分からないでもない。
(有名な祖母がいて、学院からスカウトされて、貴族とお金持ちの友達と一緒にいるんだもんね。嫌味の一つや二つ言われても仕方ないかな)
いちいち説明するのも面倒だし、今後関わらない相手なら時間の無駄だ。
「有名な祖母がいるのも、それが切っ掛けでスカウトされたのも、上流貴族で強いお嬢様とお金持ちで頭のいい友達と一緒にいるのも事実だし」
私が頑張って『何か』を成し遂げない限りはこの評価は覆らないだろうし、私を嫌いだと思っている人は私を評価したりはしないだろう。
マタネギを刻んで、香草も小さく切って、硬いパンをすりおろし、ミンチになったお肉に入れる。他にも卵や塩コショウを入れてミソなんかを入れていく。
時々ベルから「それ入れるの?」みたいな顔で見られるけど、気にしない。
「気にしてない訳じゃないけど私は今の生活が気に入ってるから」
それだけかな、と一呼吸おいて苦笑する。
目の前にはグラッセにする為に切ったキャロ根。
もうちょっといるかも、と多めに切り出して、余った部分は小さく切り、スープの中に入れておく。大体煮込めば美味しくなるんだよね、野菜って。
「リアンの事は怒ってないの? 結構なこと言われてたと思うんだけど」
「八つ当たりってことは余裕がなかったってことでしょ。まぁ、そう思われてても仕方ないって思ってるから今更だし、謝ってくれたってことは多少見直してくれたって事だろうから。別に気にしてないかなー……最初が最初だったしね」
最初、多分一番私に対して良くない感情を持っていたのはリアンだろう。
生活したり、調合するようになってから少しずつ良くなってきたけど、本人が努力していたからこそ『親の七光り』みたいな境遇の私が気に入らなかった筈だ。
(私も『何だこの陰険眼鏡』って思ったし、お互い様なんだけど)
これでこの話は終わり、と言いかけた所で何故かベルがニヤリと笑った。
楽しそうに細められた視線を追って振り返るとリアンがとても居心地悪そうに立っていた。
「うっわ、びっくりした」
音もなく立つのやめてよ! と抗議する前にギュッと両肩を掴まれる。
珍しく手袋してないな、と考えつつ視線を合わせると盛大に、目が泳いでいた。
顔もちょっと赤い。
「……き、君が! その、いつも一生懸命なのは知ってる。知識や助言だけでは調合が上手くならないことも理解していた、つもりだったんだ。でも、昨日はその……」
不自然に言い淀むリアンに眉を顰める。
いつもならキッパリいうのに歯切れが悪すぎじゃない? とそこまで考えて、何かにとり憑かれてるんじゃないかと心配になってきた。
(そうだ。聖水かけたら戻るかな?)
名案だ、とポーチから小分けにしておいた聖水をリアンの顔にエイッとかけてみる。
うわ!? と大きな声をあげて後退ったリアンが一瞬呆然とした後、元々きつめの瞳を細めて私を見下ろした。
「何するんだ、突然!」
「あ。やっぱり戻った。いや、リアンの様子がいつもより変だったから私みたいに何かに憑かれてるのかなーって」
ごめんごめん、と謝ってタオルを渡しておく。
濡れたら拭けばいいし少量だからすぐに乾く筈だ。
「……そんなにおかしかったか、僕は」
「変だったよ。ふつーに。あんまり細かいこと気にしすぎるとハゲちゃうって聞いたことがあるんだけど、リアンは気を付けた方がいいんじゃない? 頭のいい人って髪が薄くなるの早いって誰か言ってたし」
「言っておくが、僕の家系は比較的毛量が多い。頭皮の心配はしなくても結構だ」
「なんだー」
「何だとは何だ?!」
「いや、ちょっと頭がつるつるになったリアンとか面白そうだなーって思っただけだよ。ベル、悪いけど急いでお肉をミンチに……って、なんでそんなに笑ってるの?」
思わず噴き出してヒーヒー言いながら笑い転げるベルにまた驚きつつ、調理を再開した。
笑い過ぎて手が震えているベルに代わって残ったお肉はリアンがミンチにしてくれたんだけど、イライラ解消にはなったらしい。
跡形もなくなった肉塊をみてスッキリした顔をしていたし。
それから、私たちはいつも通りに料理を作り終えたんだけど笑い疲れてぐったりしているベルと安心したような疲れたような何とも言えない顔のリアン、いつも通りの私を見てセンカさんが始終不思議そうにしていたのが妙に面白かった。
朝食を食べたら、ビトニーさんの工房に作業着を受け取りに行かなきゃね。
その後の収穫作業もあるし頑張ろう。
◆◆◇
ビトニーさんの工房は、集落の一番端っこにあった。
白を基調として、大きな窓ガラスが嵌められた壁からは色とりどりの服や布が見える。
外からパッと見るだけでも十分品質がいいのは分かるんだけど、光に反射して独特の光沢ときらめきを放つ布はやっぱり綺麗だ。
「特級布師が作ってるというだけあって、凄まじい品質と効果がついているな。市場に出たら貴族が間違いなく買い漁るぞ」
「この布でドレスを作ったら凄そうね。王族の婚礼衣装も素晴らしいと聞くけれど、そのレベルの布ばかりよ」
服や布のことはさっぱり分からないので適当に頷きながら、これでお守りとか布製品を作ったらどんなものができるんだろうなとちょっと気になった。
端切れを売ってもらえるなら挑戦してみたい。
大人しくベルの後ろを歩いて、扉をくぐればフワリと清涼感のある香り。
サッパリとしてクリアな香りに肩の力が抜けた。
「洋服屋さん、っていうか布製品専門店って感じだね」
店内には無数の服と鞄、靴、マントなど布で作れるものは何でもあった。
一番多いのは布だけが並べられた棚。
色別に、綺麗なグラデーションになって置かれているのが気持ちいい。
キョロキョロと周囲を見回していると、ドタドタという大きな足音が響く。
どうやら店の奥にあるカウンターの方から聞こえてくるようだった。
棚やハンガーにかかった衣装を避けながら進むとぼさぼさの髪に体のあちこちに糸をつけて、シンプルで動きやすいシャツとズボン姿のビトニーさんが現れた。
結構凄い服装だし顔から血の気が引いてるんだけど、目は異様に輝いている。
「丁度良かったわ! 今できたの! コッチに来て!」
カウンターをぴょいっと飛び越えた彼女はベルと私の腕を引っ張って店の奥へ進む。
結構な力に驚いていると、作業場らしき場所へ通される。
そこには、大量の人の形をした置物があった。
「この『首と足のない置物』がずらっとあるの、ちょっと怖いね」
「ああ、これはトルソーっていうのよ。チョットした魔道具なんだけど、魔力で形を細かく調整できるの。こっちはライムちゃん、こっちはベルちゃん。リアン君はコレ。さ、そこの更衣室で着替えてきて頂戴」
そういって指さされたのは、細長い一人用のテントみたいなカーテンを丸めるのに失敗したみたいな、謎の空間。
戸惑う私たちを放って、リアンはため息一つついたかと思うと右端のカーテンの中へ。
どうやら着替える気らしい。
リアンが一人で入ったってことは安全だと判断して真ん中のテントへ。
人一人が両手を広げられるような狭い空間で渡された服に袖を通す。
着るのに戸惑ったけど何とかなって一安心だ。
これでいいだろうか、とカーテンを開けると両手をグネグネ動かすビトニーさんが待ち構えていて後退る。怖い。あと手の動きが割と真剣に気持ち悪い。
「お洒落な普段着がコンセプトだから遠慮なく着倒して頂戴ね! あとは、それぞれ昼・夜の礼服を作っておくわ。時間があったらサフル君のも作らせて頂戴。奴隷という身分でもきちんとしなきゃいけない時はいけないものね!」
ああ、楽しいわぁと目だけが異様に生き生きしているビトニーさんからそっと距離をとる。
本人が楽しそうでいいんだけど、抵抗する気力が一気に吸い取られた。
「って、待って下さい。服の数増えてません?」
「貴女たちは『錬金術師』になるんでしょう? 腕が良ければ公的な場所に出ることもあるの。いつどこで必要になるのか分からないから正装くらい持っておくべきよ。まぁ、貴族のベルちゃんは問題なく用意できると思うけど、貴族籍を持ってない二人は舐められない様にしなくっちゃ」
そういうものなのかな、と戸惑う私を余所に他の二人も着替えを終えて出てきたんだけど、ビトニーさんの目がどんどん危なくなってきた気がした。
二人が出てきた所でキャーと甲高い声を出して私たちの周りをグルグル回り始める。
(あ。これ他人が何を言っても駄目なヤツ)
興奮して危ない所に足を突っ込んでるビトニーさんから視線を外す。
ぼんやりと作業場を眺めている間に、私たちの手には完成しているという作業着や普段着の付属品たちが積み上げられていった。
現実逃避を兼ねて『特級布師』の作業場を観察してみる。
見たことのない道具が沢山あって、どれも扱いが難しそうだ。
糸や布になる途中の製品もあるし鮮やかなおもちゃ箱にいるような気持にもなる。
ハサミだけでも数十種類、編み物用の道具、途中まで書かれた図面、色別に分けられた宝石や見たことのない素材たち。
(調合でも使えそうなのが結構あるなぁ。布製品が作れれば買わなくて済むし、節約になりそう。今度調べてみよう。忘れなければ)
ぼんやりしている間に、左右にベルとリアンが立っていた。
二人とも表情がなくなっている。
何処からか布を取り出しては体に合わせながら鼻歌を歌うビトニーさん。
「うふふふふ。私の最高傑作を着た三人が舞踏会や多くの貴族どもの前で輝く姿が目に浮かぶわ! 庶民と見下していた貴族どもめ、精々指をくわえて阿呆ヅラ晒しなさい! 無駄に金をかけて開催した社交界や舞踏会で王族も持ってないような最上級のオーダーメイド服を身にまとったあなた達を眺めて膝をつくがいい! ライムちゃん、ベルちゃん、リアン君! いいわね、自分の審美眼のなさを悔いながら悔しがる高慢かつ傲慢で下劣な趣味を持った奴らを見返して頂戴! ああ、こんなに楽しい事ってあるのかしらっ。うふふ、ざまぁ見ろってんだわ! 私の見た目だけならともかく精魂込めて作り上げた作品を、愛おしい布達を不気味だ不良品だと馬鹿にして買い叩こうとしたボンクラどもっ」
集落中に響き渡りそうな高笑いをしたかと思えばビトニーさんはぐらりと倒れた。
慌てて三人で支えたんだけど凄く幸せそうな顔で眠っている。
私たちは顔を見合わせて、一番大きなソファに彼女を寝かせ、布団をかけた。
テーブルには三人分の服の料金を払っておく。
リアンが計算したから間違いないだろうし、急いで作ってくれたお礼に簡単に食べられるものも置いておいた。
起こさないように細心の注意を払って私たちはビトニーさんの工房から脱出。
外へ出て、賑やかになってきた通りの建物の影でほぼ同時に大きな息を吐いた。
「……副隊長さんより怖かった」
「あれは……そうね、貴族からの依頼が立て込んで徹夜が続いて間に合いそうにないっていう絶望を感じながら諦め投げ出す事が許されない針子やデザイナーがたまになる現象よ。そういう相手と対峙したらマネキンみたいに何も言わずに従うのが一番いいわ。言葉は聞き流して忘れなさい」
「よし。調合で徹夜するのは極力避けよう。自分がああなっていたと気づいた時に何かを失う気がする」
誰も反論することなく頷いて、センカさんに聞いたカルンさんの農場へ向かうことにした。
幸い、作業服は最後に着せられていたし、靴や鞄の類いも身に着けていたことだけは良かったと思う。
持ってきたのは作業着一式と、普段着として最初に着た服だ。
カルンさんの農場まで少し遠かったんだけど、約束の時間より三十分も早く到着した。
驚いた顔で私を見るカルンさんは、疲れ切った私たちを見て理由を察してくれたらしい。
「と、とりあえず……これでも飲んであの辺りに座りませんか? さ、作業の内容をお話しします」
手渡されたカップには白く冷えた液体。
口の中に広がる甘みとミルの実にも似た味のソレは疲れた心によく沁みた。
ここまで読んで下さって有難うございます。
誤字脱字変換ミスには気を付けている……のですが!たくさん!あるにきまってます!
ええ、自分で変換ミスに全く気付けません!!(今更
もし発見した場合は、そっと誤字報告してくださると嬉しいです。
次回は農作業回。いつか書こうと思っていたのが叶いました。ふはははは
アクセス、評価、ブック、感想などいつもありがとうございます。
稚拙な文章にもかかわらず読んで下さる読者の皆さんには感謝しかありません。
少しでも楽しんで頂けるように今後も頑張ります!