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119話 工房見学(前)


 ちょっとごちゃっとしています。

教師が教師っぽくなかったり、ちょっと、辛辣な表現もあったりなかったり。

こういう小さなトラブルって無限にありそう。





 翌日、私たちは普段より少し早く起きた。



 珍しくベルも起きていたので挨拶をしてから、手袋を替えた。

普段の手袋と土いじり用の手袋って違うからね。

 その様子を見ていたベルが酷く不思議そうな顔をしているので裏庭に行くことを話せば、納得してくれたみたい。

いつもこの時間ベルは大抵部屋にいるから、私たちが何をしているのかは知らない筈だ。



「ベル。私たちこれから庭で育ててる薬草とかの手入れに行くんだけど、どうする?」



部屋に居てもいいけど、と言えば間を置かずに「私も行くわ」と返事が返ってきた。

正面玄関とは反対の裏口から出ると、直ぐに裏庭に出ることができる。


 工房の裏側にある畑だけど、結構日が当たる場所が多い。

普通の一軒家より広いからね、この工房。


 裏庭にあまり来ることのないベルは、私がアオ草を育てているのは知っている。

他にも料理に使う香草とかが庭にあるのは知ってるみたいだ。

私たちが何を育てているのか気になるらしい。

 野菜は屋敷でも育てていた筈、と言ってはいたけどあまり詳しくないみたいでこれは何の野菜かしら、と不思議そうに眺めている。


「野菜まで育ててたのね。前にアオ草や香草に水を遣っていたのは知っていたけど、いつの間に植えたの?」


「つい最近だよ、植えたの。ほら、こっちでの冬ってどんな感じなのか分からなかったし、種の方が安いから育ててみようって思ってさ。こっちがキャロ根、あれがマタネギ。こっちにはマメ類とか植わってて、マトマはもうちょっとで色付いてくるんじゃないかな」


「へぇ、こうやって実るのね。薬草なんかは外で見かけるから分かってはいたけど、こういうのはあまり見たことがないのよ……収穫する時は呼んで頂戴。手伝うわ。ライムはいいとして……リアン、貴方は野菜育ててないのね」


「場所の問題もあるが、僕は何かを育てたことがない。野菜は手間もコツもいると聞くし、簡単なモノから育てることにしたんだ。いずれ、希少な薬草を育てられたらとは思うが……片手間にしか育てられないから選別が難しい」


「ベルは何か育ててほしいものとか、あったらいいなーって思う植物、ある? ベルが何か育てたいって言った時に使えるように、あの辺開けてあるんだけど」



 育ててほしいもの、って言ったのは前に『植物を育てるのが苦手』だって聞いたから。

実際どのくらい向いてないのか分からないから、一応使えるように場所は確保してある。


 現在の庭は、野菜を育てている面積が一番大きい。

自分達で育てる方が安くなるのもあるし、ちょっと育てるのに慣れておいた方が都合がいい事もある筈だから。

 それとは別に個人が育てたい物を育てる場所は確保してあるので、ベルにも聞いてみたんだけど返事は想像とは少し違った。



「そうねぇ……私は何か花でも植えようかしら。良さそうなものがないか後で庭師にでも聞いてみるわ」



調合に使えそうなものがいいよね、と話をしながら雑草を抜いて軽く水を撒いた。


 軽作業を終えた所でベルがふと動きを止める。

視線を辿ると、どうやら見ているのは表通りの方らしい。

つられてじーっと見てみるけれど人影は見えないし、と不思議に思っていると視界の端にいたリアンも立ち上がった。


 道具を片付け始めたので何かあったのかと聞く。

応えてくれたのは、ベルだった。

面倒そうに畑作業用の手袋を外しながらウンザリした顔で、玄関の方から聞こえるサフルと複数の声に意識を向けている。



「リアン、条件にはちゃんと『朝九時から』って書いたの? まだ八時にもなってないわよ」



一時間以上も早いじゃないの、と不機嫌そうなベル。


 リアンは庭用の道具を入れたバケツを木箱に仕舞って息を吐いた。

屋根の下になる雨の当たらない場所に木箱を置いて、そこに外で使う道具とか入れてる人が多いんだって。



「きちんと明記はした。この時間に来た理由はこれから聞く」



呆れたように首を振りながら、汚れた手袋を普段の白い手袋へ替えている。

 私はこの後ご飯を作らなきゃいけないから手袋はつけないことにした。



「リアン、とりあえず任せていいかしら」


「構わない。元からそのつもりだ……ああ、予定通り魔力契約は結ぶぞ。それを受け入れられないなら追い返すだけだ」


「魔力契約書って昨日預かったやつでいいんだよね? あとはペンと……インクかな」



工房で見学をさせる前に全員に契約を結んで貰うことで話はしていた。

 その時に条件を予め契約書に書いたんだよね。

ポーチから必要なものを全部取り出してリアンに渡すと、満足そうに頷く。


 到着したら三人でお出迎えをすることで話もついていたから、リアンに続いて私とベルも表へと足を進める。

 裏庭から工房の正面へ出ると、柵をキッチリ閉めた向こう側に学院長や副学長、といった面々がずらり。

想定よりも多い人数にベルと顔を見合わせた。



「リアンの想定していた通りになりましたわね」


「だね。ここまで想定通りだとちょっと怖くなってくるけど……本当に教師がいっぱい。工房生じゃない生徒もいるね」


「見世物じゃないってハッキリ言わないと分からないのかしら。オハナシにもならないわ」



 お嬢様の皮をかぶるのを若干放棄したベルに同意しつつ、しっかりと受け答えをしているサフルに目を向ける。

 黒い痣がなくなって少し肉付きが良くなってきたけど、まだ細いしちょっと小さい。

もう少しご飯の量増やすべきかな、なんて考えているうちに柵の前に着いていた。


 柵の前にいたのは学院長と副学長、そしてワート先生だ。

その後ろには他の工房の生徒が六人。

担当している教員が二人。

 

 私たちが許可したのはこの十一人だけなんだけど、何故かその後ろには見たことのない生徒や教師が数名いて結構な人数になっていた。



(工房は広いけど、流石にこの人数は入らないでしょ。どうして連れて来たんだろう)



首を傾げていると営業用の笑顔を浮かべたリアンは、真っ先に学院長の前に立った。

そして貴族にする最上位の礼をして開口一番



「申し訳ありませんが、今回の見学会は中止にさせて頂きます」



と告げた。



 底の知れない笑みを浮かべたままではあるが、学院長は少しだけ目を瞬かせて直ぐに嬉しそうに笑う。

リアンも笑顔のままなので穏やかには見える。



「ベル」


「何よ」


「リアンさぁ……あれ怒ってるよね」


「怒ってるわね。確実に」


「約束事とか破ったら凄く怒るもんね」


「細かいのよ、いちいち。絶対旦那にはしたくないわね、うるさくてイライラしそう」


「うっかり忘れてることとか、ついでに怒ってくれるから助かる時は助かるよ」


「ライムだけでしょ、それ」



少し離れた所からリアンと学院長たちを眺めつつ会話をする。

私もベルも、あっちには混ざりたくないんだよね。


 事の成り行きを見守ろうと近寄るのをやめて遠巻きに見ていると、リアンがぐるっとこっちを向いてニッコリ笑った。

言葉には出さないけど、私たちもこっちに来いって言ってるんだと思う。


 渋々足を動かし始めた私たちを他所に、学院長の横にいた副学長の声が響いた。



「何を言っているのですか! 貴方達が指定した通りに……」


「指定した日付は確かに守られていますが、それ以外は守られていませんよ。僕たちが提出した条件を守れないならば、見学は受け入れないと書いてある筈です。それらの条件を呑む、という返答は偽りだったと?」



笑顔を崩さずに笑いかけるリアンに副学長は少し歯がゆそうに口ごもる。

黙り込んだ副学長をスルーしてリアンは再び学院長に告げる。



「学院長殿。僕たちが見学会をしてもいいと判断したのは、工房制度を存続させる為に必要だろうと考えたからです。それ以上でもそれ以下でもない。教員の中には『学友の為に提案してきた』と思っている方もいるようですが、違います。僕らの工房での生活や役割分担などを見て自分達との違いを実感し、修正もしくは改善できれば工房制度を存続できる可能性が高くなると判断したからこそです。そうでなければ許可などしませんでした」



真っすぐに学院長の目を見て言い切ったリアンに学院長は顎に手を当てて「ふむ」と何やら考えている。

 それをみたベルも口を開いた。



「工房生六名と、工房監督教員三名、学院長と副学長以外の見学を私は認めていませんわ。オリジナルアイテムだけでなく、販売予定のアイテムや自分たちで集めた素材も置いてある工房の生活スペースに、何の益もなく他者を招き入れると思っているならば私たちを馬鹿にされていると判断しますけれど……構わないかしら?」



ふふ、と貴族のお嬢様らしい笑みと態度でリアンの横にベルが立つと教師数名が狼狽える。

恐らく軽い気持ちで見学に来ていたと思われる生徒も、顔を見合わせて何かひそひそと囁き合っている。


数分後には、引率してきたらしい教師がワート先生に話しかける。



「あ、あの………店が開いたら各自で勉強を兼ねて店に来ることもできますし、今回は遠慮させていただきます。事前に連絡もせずこうして大人数で押しかけるのも……」



 副学長は何か言いたげな顔をしていたけれど、ワート先生がすかさず頷く。

それを受けて、他の生徒や教師は文句も言わず踵を返した。

遠ざかる複数の背中を見たリアンとベルは少し表情を緩める。


 完全にその姿が見えなくなってから、二人はワート先生にお礼を言った。

お礼を言われた先生はあからさまに引きつった顔で、「条件を呑んだのは事実だ。それに、今回の見学会は工房生だけでなく、我々教員がどのように割り振られた工房と向かい合っているのかも視える筈だ」と返す。

 先生がダラダラ流れる汗をハンカチで拭うのを見ながら、私はそっと息を吐いた。



(流石に事前に此処迄話し合ってるとは思わない、よねぇ。学院長はどうなのか分からないけど)



話し合いに二時間かかったのは、こういうことも想定してどういう風に動くのか話をしていたからだ。


 実は、ワート先生も他の工房を担当していた教員に個人的な鬱憤が溜まっていたらしい。

ワインを飲んでいたこともあってか、普段ため込んでいた不平不満をダラダラ話してたし。

生徒が知っちゃいけないような事は言ってなかったけど、工房生を放置している状況を快く思っていなかったのは確かだ。



「本題に戻りますが、人数面ではこれで漸く条件通りになりました。時間に関してはまだ八時にもなっていませんからね―――……僕たちの昼食が終わってから、調和薬を調合します。これが終わったら見学会は終了ということで。夕食の準備も見て頂こうかと思いましたが、これから朝食をとるのでそれが代わりということで構いませんね?」



ワート先生にではなく、再び学院長へ視線を向けたリアンはじっと返答を待つ。

 彼は満足そうに頷いた。



「かまわないですかな、副学長。本来であれば、各工房の経営や運営が破綻しない様に教員が助言や時に叱責をし、正しい方向へ進む手伝いをするべきだったのだ。この工房はそれが上手くできていただけの事……不足していたのは儂ら教師の力量。この子らに期待をかけるのは分かる。実際想定以上の結果を出して居るからの」


「ならば、学生同士が互いに高め合い助け合うべきです! 何のための学び舎だと……」


「それはあくまで一教員としての意見。それに、今この状態でお互いを高め合うというのは些か困難だと儂は思うが……―――何せ、法に触れた者さえいる。そのような輩を優良な生徒と引き合わせた所で、優秀な者の足を引っ張るだけで何の得にもならんじゃろうて」



 学院長の意見を聞いてリアンが満足げな笑みを浮かべる。

そして、目礼をした後、手に持っていた契約書を渡した。



「ふむ。魔力契約書か。どれ―――……条件も妥当。念のためコレを全員に見せるが構わんかね」


「はい。もちろん。同意できない場合は学院に帰っていただくだけですので」



持ち運びできるタイプのペンでサラサラとサインを済ませた学院長は、隣にいた副学長へ用紙を渡す。


 副学長は不満そうな顔をしてはいたが、サインを終えた。

ワート先生や他の工房生も同じようにサインをしたのを確認してからリアンは浮かべた笑顔をそのままに、注意事項を述べる。



「こちらにも書いてありますが、基本的に自由に工房を見て回ることは禁じます。地下への立ち入り、個人の部屋への立ち入りも禁止です。用事がある場合は『彼』へ伝えて下さい。僕らは基本的に普段通りの生活を送りますので、質問なども受け付けません」



うんうん、と笑顔で頷く学院長としかめっ面の副学長。

 その横で遠くを見ているワート先生は既に疲れているようだった。




「また、食事の提供はしません。各自で用意してください」



この一言に貴族の生徒たちがざわついた。

 学院側に提示した条件に『食事や飲み物は出さない』という条件も書いてあるんだよね。

工房生にも話している筈なんだけど、なんで文句が出てくるのか。



「生徒の食事は工房監督教師が用意することになっているので、大丈夫です」



ですよね、とワート先生が同行している教師二人に確認すると、一人は頷いたが一人は気まずそうな顔をしている。

 呆れたような溜め息と気まずさが漂っていたけれど、そろそろ時間的に朝食を用意したい。



「リアン、そろそろ朝食作りたいんだけど戻って良いかな」


「もうそんな時間か……基本的に質問や要望は担当のワート教授が把握していらっしゃるので、僕らの生活の妨害をしない程度にしてください。提示した条件を一人でも破った場合は、見学会は中止とさせていただきます。それでよろしいでしょうか」


「うむ。無理を言っているのは学院側だからな。君たち、自分達と彼らの生活を見比べて何が足りなかったのか、何がいけなかったのか、そしてこれから何をすべきなのかきちんと考えるように。教員も『担当』の意味をよく考えて、ワート教授を見習う様に―――……ああ、ゴイバ教授はこのまま学院に戻って、マレリアン教授と授業を変わるように。マレリアン教授には、教授と生徒三名分の食事を持たせるよう食堂で手配を忘れない様に頼みますぞ」



慌てた様に返事を返し、若い男性教諭が学園に向かって走っていく。

どうやら教員が入れ替わるようだ。


 学院長はマレリアン教授にも話はしてあるし、魔力契約は結んでもらうと告げてから私を見た。

キラキラ輝く紺色の瞳を見て力が抜ける。



「朝食はシトラール君が作っているのかね? 毎食?」



 チラッとリアンに視線を向けると小さく頷いたので、対応する。

とりあえず、早く食事の支度をしたかったのもあって歩きながらだったが、学院長は楽し気に私の少し後ろをついて来ていた。



「毎食私が作ってます。その代わり、食事を作る以外の家事は全部免除ってことで……ええと、もしかして学院長が一番楽しみにしてました……? 見学会」



ふつうの声のトーンで話しつつ、振り返ると非常に楽しそうに笑っていた。

 後ろから副学長やワート先生、リアンが生徒たちから何か言われて対応しているのが聞こえてくる。

リアンは簡単に役割分担について話をしてから、工房内に連れて行くって言ってたからね。

ふむふむ、と興味深そうに花壇や工房の外観を見ている学院長は、「よく手入れされている」とか「誰が掃除しているのか」といった質問をしてきた。


 外観の掃除はサフルがやってくれている事、花壇や裏庭で育てている植物の世話は各自もしくは協力して行っていることを話せば、そうかそうかと嬉しそうに頷いていた。


 そっと音も気配もなく学院長の後ろで控えるサフルは私に付いて来るようだ。



「とりあえず、いつもみたいに朝ご飯作ってもいいでしょうか?」


「おお。構わんよ。儂のことは気にせずともよい。副学長たちが来たらきちんと条件通りにしておくし、心配はせんでおくれ。にしても、工房の中も掃除が行き届いているし、商品棚も工夫しておるな」



 きょろきょろと工房内に視線を向けては楽しそうに話す学院長は、なんだかお茶目なおじいちゃんという感じがして気が緩む。

当たり障りのない質問を受け、それに返しながら私は台所に立った。


 いつものように地下から運んできた食材でスープやパン、メインになる料理を作ることに。

朝だけど、ベル達が沢山持ち帰ったお肉がある。

今日は色々疲れそうだし、と肉の塊を賽の目に切る。

 三センチ四方の肉に、粉にした香草や塩を揉み込み少し置いておいた。

その横で温野菜を作るべく、一口サイズにカットしたものをサッと茹でて、グリルへ。


 スープのベースになるのは、沢山作っておいたストックから。

骨からうまみが染み出し、野菜の皮や香草と長時間煮たことで澄んだ深みのある味になっているので、適当に野菜を切って煮込めばほぼ完成だ。

味を調整する必要はあるけどね。


 料理をしていると後ろから感心したような声や、興味深そうな視線を感じるので少しやりにくかったけど、まぁ、ベルやリアンも似たようなことしているので慣れて来た。



「流石、と言うかオランジェの孫と言ったところか」


「おばーちゃんのこと、知ってるんですか?」


「うむ。そこそこ話す仲だった。儂が庶民にも錬金術を広める為に錬金学科を立ち上げたいと言った時も、応援して色々と手を尽くしてくれてなぁ……生きているうちに会いに行けばよかったと今でも後悔しているが、孫である君が入学してくれてとても嬉しかった。貴族籍を持っていなかった彼女は苦労していたから、学科を立ち上げる時には身分を気にせず学んで欲しいと思って、『新入生』にはきちんと話しているつもりだったが」



まだまだ、じゃなぁ……と独り言のように呟かれた言葉には疲れが滲んでいる。

手を止めて振り向けば、少し疲れたような笑顔を浮かべて立っていた。


 今のは内緒にしておくれ、と柔らかくお願いをされて頷く。

調理を再開するように言われたので包丁を握り直して、食材を切っていると工房入り口からリアンとベルの声。

たくさんの足音や気配も同時にしたので、私たちの話は静かに終わる。


 リアンとベルが手伝おう、といつものように人数分の食事を運んだり、テーブルを拭いたりする度にざわざわと動揺が広がり、サフルやワート先生に質問が飛ぶ。

なんだかなぁ、と思いながらも私はスープの中にお肉の切れ端たちを入れる。



(考えもしなかったけど、教える立場の人にも色んな事情とか想いがあるんだよね。先生は先生だって一括りに考えてたけど)



生徒と同じように『教える』立場の先生にも生活があるし、理想や夢がある。


 仕事で教師をしているからと言って皆同じように教えられるわけではないし、向き不向きって言うのもあるんだろう。

 だからと言って今回みたいに、工房生のマリーやクローブみたいな目に逢ってもいいって事にはならない。



(人がいっぱい同じ場所に集まって暮らしてると、色々難しいのかな。ゆっくり話し合う時間とかもないだろうし)



私たちももっとワート先生と話した方がいいんだろうか、なんて考えているうちに朝食が出来上がった。


 ベルやリアンに皿に盛った料理を運んで貰って、サフルにも食事を渡す。

サフルも同じテーブルに着いたことで見学をしていた貴族の人達が驚いていたけれど、私たちはコレでいいのだ。



(でも何かするごとにざわざわするの、慣れると少し楽しいかも)



 そんなことを考えつつ私たちは朝食をとった。

食事の最中もいつもの通り色々話しながら食べてたんだけど、何故か見学している生徒や教師が驚いている。

後で聞くと、奴隷のサフルを交えて和やかに食事をするのが凄く不思議に映るらしい。

 その状況を上流貴族であるベルが許し、庶民である私たちが貴族であるベルと対等に話をしていることにも強い違和感を覚えたんだとか。




 ちなみに、朝食のスープとパンは私以外の全員がお代わりした。

これもいつも通り。

 ここまで目を通してくれてありがとうございます!

とりあえず、前後編で分ける予定です。

サクッと終わらせてお店をオープンさせたいなぁ。


 誤字報告、ブックや評価有難うございます!

アクセスして読んで頂けるだけでもとても励みになります。はい。

更新が遅くて申し訳ないのですが、出来るだけ早く更新できるように頑張っていきますのでお付き合いいただけると幸いです。


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― 新着の感想 ―
[一言] どうでも良いことかも知れませんが、 「・・・手袋を履き替え・・・」は「・・・手袋を替え・・・」と前の方の表現と合わせた方がよろしいのかなと 思いました。意図がおありなのでしたらごめんなさい。…
[気になる点] ベルの植物育てる腕について気になっています。 111話、ベルの執事さんから『お嬢様は植物を育てることに関しては『悪い意味で』一級品の腕をお持ちになられております。可能な限り畑の世話か…
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