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第94話 久しぶりのコレットの事件簿3 プリンの甘さは愛の狂気


あ~、みなさんはぁぁ、人から恨みを買った経験はぁ、ありますか~?


「恨み」というものはぁ、怖いものですねぇ。


なにせぇ、加害者本人はぁ、んん…意識しなくてもぉ。

被害者にはぁ~根深く残ってるものですからぁ~


あ~、今回はぁ、そんな話ですぅぅ。


あッ、私はぁ、コレットぉ・オルレアぁですぅぅ……



「本当に、ごめんなさい」


ハティさんが土下座して謝る。


「僕には君だけなんだよぉぉう」


そう言ってすり寄る。


パチンっ!


手を叩く音がする。

アンジェさんがハティさんの手を叩く音だ。


(うっわぁぁ、この茶番、いつまで見せられるんだろう)


私、コレット・オルレアは辟易していた。

申し訳ないけれど、かの「最悪の魔女」ですら、私の『眼』では丸裸。


(も、もう…とっくに許してるけどぉ、これって止め時わかんないぃぃ)


正直、「ケッ」って思う。


(でもでも、ちょっと、っていうか、かな~り、このシュチュいいかも。げへへっ)


ダメだぁ、この人たち。

というか、ハティさん自身もわかってやってる。


(ふぅわぁぁぁん、「ツン」演技のアンジェ最高!次は?次はぁぁぁ!?)


変なご褒美になってる。

ダメだ、これは「変態のやり方」だ。


「はぁい、煮えたわよぉ~」


お姉ちゃんが状況をガン無視して食卓に鍋を置く。


ここは、ハティさんがエルフの集落に建造した家。

いや、細かいことにはあまり突っ込みたくない。


土と木を基調にした、「東洋風」建築様式。


草を編んだフローリングは初めて。

しかも、靴を脱いで上がるなんて。


床に座る(冒険時は別)経験のない私たちのために「掘りこたつ式」。

床が一部低くなっているので足を下ろせる。


部屋の間仕切りですらスライド式のドアを採用。

プライベートってものに配慮していないのかなって思う。


「たくさんつくったから、遠慮しないでね」


お姉ちゃんって、結構、世話焼き。

みんなによそってくれる。


今日のご飯は、お姉ちゃん特製「鳥鍋」。

ハルが持ってきたジャガイモが入っている。

野菜たっぷり、お肉も余すところなく入っている。


「お、鳥モツも入ってるんだぁ」


内臓まで無駄にせず、しかも下処理まで完璧。


……あれ?


手羽元とか手羽先、異常に大きくない?

もしかして……最初のアレ?

いつ回収したの?


「真っ先においしそうなチキンが来てくれてよかったわねぇ」

うん。良くないよ?

そして、逃げた他の巨大生物は本能的に正しかったんだね。



みんな、お腹いっぱい。

幸せな気持ちで、順番にお風呂に入る。


ハティさん、お風呂作ったんだ。

変態さんなのに、無駄にスペック高すぎるね。

蛇口捻るとお湯が出てくるとかさ、どうなってるの?


「これっとちゃぁん、髪乾かしてあげるぅ」


リャナンさんが構ってくれる。

正直、かなりくすぐったい。

嬉しいけれど、ここまでされるってことがないから。

ほんと、構いたがりのお姉ちゃん。


「女子部屋で、寝よう」


そう言ってリムアンさんが手を握ってくる。

私とそう変わらない背丈。

ぶっきらぼうな言い方だけれど、とっても優しいお姉ちゃん。


「先に、布団敷いておくから」

ルーダさんが言う。


……ハルと、とっても仲が良い人。


よく気が付くし、働き者。

今だって、率先して私たちのお布団を用意してくれる。


優しい…お姉ちゃん……



私は、目が覚めた。


「おトイレ……」


布団を抜け出す。

隣ではリャナンさんやリムアンさんが寝息を立てている。


トイレに向かって廊下を歩いていると、お部屋に明かりがついている。


(もう、「お姉ちゃん」ったら……)


きっと、エリーゼお姉ちゃんだ。

いつも私が寝た後、晩酌する。


「お姉ちゃん?」


部屋に入ると、テーブルを前に座っているお姉ちゃん。

(寝ている?)


そう思って、肩に手をかける。


――――――ゴトリ。


お姉ちゃんが力なく倒れる。


……意識がないっ!?


見ると、口の端から「カラメル」と「金色の半固形」をこぼしている。

これじゃあ、窒息してしまう!


私は急いで横向きにして、気道を確保する。


「あ、はははは、あま~~い」


ワケの分からないことを呟いている。

いけない!

これは、事件だ!


助けを求めに、この中で「最強」の人物のもとへと向かう。


―――――手遅れだった。


口から「カラメル」と「金色の半固形」を漏らして白目をむいている。


「くぅッ!」


私はその場を後にした。


ティアさん―――――ダメだった。

ジャンヌさん――――ダメな人だった。

フィンたち―――――全滅だ。

リャナンさんもリムもルーダも……今頃はきっと――――


(どうしたら……)


そう思いつつ、元の部屋に戻ろうとした時だった。


「ひっぃぃぃゃぁぁぁぁ!」


ある人物とぶつかりそうになって悲鳴を上げた。


「ぼ、ぼぼぼくはぁ、な、ななななにもしてないよぉう」


珍妙なくらいにどもった「ハル」。


「た、助けてもらおうとぉ、お、思ったんだけれぇど」


メチャクチャ挙動不審。

ちょっと、イラつく。


―――ぴしゃり。


おでこを叩く。


「な、何するんですかぁ」

何で、敬語?


「落ち着いて。これは、『事件』です!」


「じじじじじ、じけぇんん?け、警察を呼ばなきゃぁぁ」

うん。やっぱり、イラつくね。


「落ち着きなさい、いま……じゃなくて、『ハル』くん」


「え、ええ?」

妙に挙動不審。目を泳がせる。


「外からそう簡単に襲撃できません」

「そうなると、内部の犯行でしょう」


「だ、だだだ誰がぁぁ、そんなことをうぉうぉうぉう」

結構、腹が立つね。この人。


「そんなの――――――」


言いかけた時だ。


ギシ、ギシ、ギシ、ギシ……


板づくりの廊下がきしむ音がする、


「あ……」


私たちふたりは言葉を失った。

廊下の先……角から、ひとりの少女が顔をのぞかせる。


「あれ?こんなところにいたの」


手にはバケツ。

それとスコップ大の……スプーン?


「アナタたちのぶんも、つくったのよ?」


そう言って暗い廊下をゆっくりと歩いてくる。


「ああ、あの人、目が笑ってない!」

ハルに言われるまでもなく、わかってるって!


美しい金髪のツインテール。

そのひと房の先を口に咥えている。


「とぉっても、おいしいと思うんだぁぁぁ」


首を傾げる様は本当なら可愛らしいはず。

なぜか、逆手にスプーンを構えてバケツに突っ込む。


「どぉぞ、召し上がれぇ……腹がはちきれるぐらい……けひひひひ」


ゆっくりと私たちに近づいてくる。

か、体が動かないっ!


魔術!?

それなら、ハルが!


「ま、まま魔術は僕には通じないんですよ」


ドヤ顔で言う。

でも、今「だけ」は、頼りになる。

さすが、「今、イージー(お気楽)」くん!


「あっ!?」


え?何、なにがあった?


「あはは、『棒』部屋に忘れてきちゃっいましたっ」


コイツはぁぁぁぁ。


そうこうしているうちに目の前にるアンジェさん。


「さあ、た~んと、召し上がれぇ」


『いやぁぁぁぁぁ!』



あ~、加害者の諸君んん~


君たちはぁ、たとえ、軽い気持ちであってもぉ~

被害者にはそうではぁ、ありませんん。


何かの拍子に、怒りがまた込み上げる場合がありますぅ。

まさに、「爆弾」か「地雷」ですねぇ~。


たとえ、表面上では許しているようにぃ、見えてもぉぉ。

途端に腸が煮えくり返ってぇぇ、「必殺の機会」をぉ、狙ってくるかもしれませんん。


「触る『アンジェ』に祟りなしぃ」という諺がありますぅ。


まずはぁ、誤解を生むかもしれない行為やぁ、人様を傷つける行いは避けるべきでしょうねぇ~~


んん~、あ~、コレットぉ…オルレアぁ……でしたぁ~


ジャガイモ仲間の皆さんへ


今日という1日を戦い抜いたアナタ。

ヴィクトリー!


このダルい日を堪えられたのは、皆さんは最高の戦士です。


明日も頑張っていきましょう!

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