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【特別編】 貴腐人に捧ぐ ~銀狼王子に拾われたポチ(僕)は、今日も可愛がられています~

今回は「貴腐人」の皆様に楽しんでいただける?

エピソードを入れてみました。

その属性をお持ちにならない方ももしかしたら「覚醒」するかもしれません。


もちろん、本編とは関わりがないので読み飛ばしていただいても大丈夫な内容となっております。



はぁはぁはぁ……


薄暗い部屋の中、荒い息遣いが聞こえる。


んっ、くぅ……


つばを飲み込む音。


ここはティアが寝泊まりしている部屋。

しかし、部屋の主は今は外出中だ。

では、声の主は誰か。


ごそごそと体を動かす音がする。


「だ、ダメですぅ、こ…こんなことしちゃ」

コレットの声。


「リムっ、もう、我慢できない」

リムアンの切羽詰まった声。


「オレたちが、こんな、こんなことしてるなんて親父が知ったら……」

ルーダが身をよじる。


「うふふふふ、るーちゃん可愛い。恥ずかしがっちゃって」

リャナンの声だ。


「あ、姉貴っ、ダメっ……優しく」

ルーダがリャナンの手を止める。


「そうね、るーちゃんは免疫ないものね」

リャナンが優しく微笑む。


「ハティ、ハティ……リムははしたない子なのっ、欲望に負けて……」

リムアンがハティの名を呼びながら体を震わせる。


「こ、こんなの先生が知ったら、幻滅されちゃう」

コレットも顔を赤くして呟いた。


「え?ちょっ、嫌っ姉貴、何して……」

ルーダの驚いた声。


「ほぉら、開いちゃうよ~」

「ああ……」

リャナンの声とルーダのため息が漏れ出た。


…………

……


「きゃー!」

全員が黄色い歓声を上げる。


「ら、【神速の執筆者ライトニング・ライター】様の新刊!」

「まだ刊行されていない、『生』原稿っ」

「ぬ、盗み読みなんてよくないですっ、先生に叱られます!」

「姉貴っ乱暴にしたら破けちゃうだろっ、優しく優しくっ」

「お、おおおおおこれは、これはまた……」


そう、ここはティアの寝泊まりしている部屋。

そして、執筆活動に勤しむ部屋。


世に禁断の書物「薄い本」を垂れ流し、世界を毒す源である。


「ふわぁぁん!今や女性冒険者の『聖典バイブル』が、その原典がぁ」



―――雪原のなか、よろよろと歩く者がいる。


はぁはぁはぁ……


極寒の中、吐く息は白く、肺まで凍てつかせる。


(も、もう……)


少年は呟くとそのまま倒れる。

体が動かない。

冷たくトゲを刺したかのように傷んだ足にも感覚がない。


(とうさん、かあさん、ごめん。僕は……)


少年は意識を手放した。


――――パチッ、パチッ


火が爆ぜる音で目を覚ます。


(あれ?生きている)


「ようやくお目覚めか」

声をかけられる。


(あ……)


顔を上げると、美しい銀の髪をした青年が覗き込んでいる。

「う……」

琥珀色の瞳に、少年の顔が映っている。

頭が柔らかいものに支えられている。

あたたかい。


それが、その青年の太ももであることに気づくのに時間がかかった。


「あなたは?」

「名など、どうでもよい」


「助けてくださってありがとうございます」

「礼には及ばん」

冷たい表情ではある。

厚い睫毛に縁どられた切れ長の目。


そっと青年が少年の額に触り、前髪を掻き上げる。


「熱はないな」


(きれいな人だなぁ)


少年が思っていると、青年が短く命じる。


「口を開けろ」


(え?)


「どうした?早くしないか」


命じるままに口を開ける。

怖くなって少年は目を閉じた。


口腔に青年の指が滑り込む。

柔らかく優しい手つき。


(あ……)


舌の上には、ほろ苦くも甘いものが載せられていた。


少年は目を開ける。


「なんだ?チョコレートは嫌いか」

そう青年は言って指を「チロッ」と舌先で舐める。


「飢えているくせに、贅沢な奴だな」



「ひぃぃぃやぁぁぁぁぁっ」


女子連中が悲鳴を上げて床をドンドンと踏み鳴らす。


「尊い、尊ぉぉぉい!」

「ハ、ハッハッハッ……」

「ルーダさんっ!過呼吸になってる、誰か袋をぉ」

「やだぁキュンキュンしちゃうぅ~」

「あ、鼻血が……」



「今帰った」


青年が屋敷の扉をくぐる。


「おかえりなさい!義父とう様っ」


金色の髪をした少年が駆け寄ってくる。

パタパタと足音をたて、そのまま胸に飛び込んだ。


「うむ。いい子にしていたか」

そう言うと額に口づけをする。


「あ……はい」

金髪の少年は頬を朱にしてはにかんだ。


「はは、何を照れている」

「だって……義父様が」


青年は彼の顎に手をやり、指先でうつむいた顔を上げさせる。


「フッ、愛い奴」

そう微笑む。


「さあ、遊んでおいで」

スッと体を離す。

金髪の少年は名残惜しそうだった。


「夕餉の後は、一緒に風呂に入ろうか」


「は、はい!約束ですよっ」

金髪の少年……フィンレーは顔をほころばせて駆けていく。


通り過ぎるとき、ハルを一瞥した。


ハルはそのサラサラとした美しい髪に見惚れた。

(いいな、僕の髪はジャガイモみたいに茶色いんだもの)


「何をしている、ポチ(ハル)」


青年が言う。

「そんなところに立っていないで、ついてきなさい」



「あ……なにを……」


青年の指が彼の薄い胸板の上を滑るように移動する。


「フフ、何という顔をしているのだ」


そう言って不意にシャツの中に手を滑り込ませる。


「あっ!?」


「いけない子だな……」


あばら骨の線をやさしく指先で撫でる。


「こんなに痩せて……ろくに食事を摂ることもできなかったのだな」


シャツから手を抜き、体を離す。


「ポチ(ハル)。今日から俺がお前の『飼い主』だ。下働きとしてここで暮らすがいい」


そう告げて微笑む。


「たくさん美味いものを食わせてやる。だから……」


「ちゃんと『ご奉仕』するのだぞ」


そう琥珀色の目元を緩ませて告げる。


こうして、ポチ(ハル)は、銀狼の王子「ハティ」に仕えることになった――――



(な、なななななななな)


僕は血の気が引いていくのが分かった。


(な、なんだっ!なんだこれはぁっ!?)


僕、ハル・ロッシェは芋畑での作業が一区切りついたので屋敷に戻ってきた。

そうしたら、やけに顔を赤くして「ハァハァ」言っている女子チームとすれ違った。


トレーニングでもしてたのかな?

そう思っていた。

やけに汗ばんで足元もおぼつかないみたいだし。


そして、彼女たちは紙を落した。


「あ、何か落した―――――よ!?」


拾い上げて声をかけようとした。


衝撃が僕の体を貫いた。


やけに線の細い、お耽美な青年と二人の少年のイラスト。


(こ、これってハティさんとフィンと……僕っ!?)


震える手で書かれた文章を読む。


(お、おおおっ、おおおおおお)


体が震え出した。

もちろん、「底知れぬ恐怖」からだ。


(奴らっ、こんなふうに僕たちを「脳内変換」していたのかっ?)


ふらふらと廊下の角を曲がっていく後ろ姿を見る。


(あいつらは「貴腐人」だったのか……)


そして、僕はこの「原稿」という名の「呪物」を手に途方に暮れた。


(これ、どうしよう)


あくまでも当エピソードにおける表現は、「ギャグ」です。

登場人物の「腐属性」を演出するためですので、それ以外の目的はございません(笑)


続編ご希望の方は、是非ともご一報、並びにリクエスト願います。


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