表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

87/133

第87話 尊い犠牲


戦は嫌い。

皆が傷つく。

私、コレット・オルレアはいつもそう思う。


今回だって少なからず犠牲は出た。

ティアさんやハティさんの活躍で領民のみなさんに死傷者はなかった。

けれど、代わりにガレットさんの部下がボロボロになった。


ハルの作るお芋料理は温かくって、傷ついた人たちを心身ともに癒した。

傷も体力も全回復するから異常なんだけれど、今回はそれに助けられた。


戦は嫌い。

何かが犠牲になる。

そう、ハルはここにはいない。


あれだけみんなの傷を癒す温かい食事をつくってくれた彼が……


……

………まあ、自業自得なのでいいか。


ハルの夜這いによる変質者疑惑。

そのためティアさまの部屋を出禁になっていた。


そして、さらに今、目の前で繰り広げられている修羅場。


「おおおおやめください、エリーゼさまぁ」

ティアさんが片手で釣り上げられ、うめいている。


「あなたはぁ、誰にぃ、許可を得てぇ、『やって』いるんですくゎぁぁん?」

怒り心頭のお姉ちゃん。

背の低いお姉ちゃんが、背の高いティアさんの胸倉を掴んで片手で持ち上げている。


お姉ちゃん、心底怒っている。



お姉ちゃんが敵軍を蹴散らかした直後だった。

ハティさんが重傷だと聞いて、血相を変えて部屋に突入してきた。


――――そして、ベッドの上にいる二人を見てしまった。


「おんどりゃぁぁ!弟になにさらしてくれとんじゃぁ」

飛びかかっていった。


そう、見てしまったの。

ティアさんが意識のないハティさんを膝枕していたのを。



「で、ですから、傷ついたハティに労いを」

「それは私の役割なんですぅ、よしよししていいのはお姉ちゃんだけなんですぅ」

「そんなっ」


そりゃそうだよね。

弟が瀕死の重傷を負ったっていう原因がティアさんの立てた作戦なんだから。


でも、お姉ちゃんはお姉ちゃんだった。

「誰の許可を得て『膝枕』しとるんじゃぁ?おおう!」


ティアさんの胸倉を掴んだと思ったら持ち上げて宙づりにする。

「油断も隙もあったものじゃない!この『寝取り女』!」

「ね、寝取っ!?」

ティアさん絶句。


そりゃそうですよ。絶望的に使い方が違うんですから。


そして意識のないハティさんは勢いで床に転がり落ちている。


お姉ちゃん、あれはいいの?


私の目の前で繰り広げられる「修羅場」。

その終末的に終わっている光景に頭を抱えた。


――――あ


私の眼【高貴なる洞察ノーブルインサイト】にはあるイメージが映し出された。


ふたりにあるのは、あの日の「怖れ」と「後悔」だった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ