第73話 天に通じる
「あはははははは」
丘の上でハティが笑う。
(それでこそ、我が宿敵「ロッシェ」一族)
嬉しそうに笑う。
(奪い、得ることでしか命を繋げない私たちとは違う)
(耕し、育む……)
(それこそが、「天地の仲介者」、「天に通じる者」だよ!)
フッとハティが笑う。
「いけないいけない。『右腕』と『マクスウェル』の声に影響されすぎた」
頭を振る。
(「秩序の悪魔」ではない。ここからは、「僕の物語」だ)
瞳の琥珀色が光を帯びる。
(ハル、僕自身も一緒さ。「天と地と万象」に生かされている……逆らえる者などいないのさ)
◇
「せぇぇぇい!」
僕は棒を振るう。
一撃必殺……なんてカッコいいものじゃない。
――――――スン。
音もなく魔獣が倒れる。
それどころか、拡散した黒い霧から人が出てきた。
あ~、あ~、やっぱりこいつってぇ……
堀のあたりで「キッショ」とか言ってたやつだ。
印象は薄いけれど、そう言ったことで爪痕を残した「モブ」だ。
ということで、仮説は正しかった。
共和政府は「恩寵」とかいう術を使って、人を魔物にしている。
政府に深くかかわる人ほど、この影響は大きく、こんなになっている。
いや、僕は正直、本人の性根だとは思っているけどさ。
じゃあ、周りの群がってる魔獣ってほとんど―――――
「ヒャッハァッ―――――!」
なぜかリムがハイテンション。
「薙ぎ払う!灰燼に消せ!哀れなる魔獣よっ!」
ああ、なんか、既視感がぁ。
リムもティアさんと属性被ってるんだなぁ……
「我が同胞を傷つけた罪!身を持って贖え!」
ちょっと嬉しいけどさ。
「【終焉を告げる雷霆】!」
いや、正直、やってるのいつもと同じ【電光石火】!
無駄に中二病感出さないで!
あの人と競わないで!
とはいえ、僕だって思うところはある。
倒れている解呪された衛兵を哀れとも思わない。
けれどさ――――
「グワァァァァァア!」
咆哮を上げて迫る魔獣。
そうさ、「かかる火の粉は払わなけりゃならない」。
僕は容赦なく連撃を入れる。
「【通天大聖――『連』】!」
いわゆる、「オーバーキル」。
魔獣をボコボコにする。
「スン」って黒い靄は消えるけれど、棒で殴られたダメージは少しは堪えるだろ。
よくも、よくも――――コリガンくんを笑ったな!
彼はこれよりも痛いのを堪え続けたんだぞ!




