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第126話 仕事増やさないでください!管理職エリーゼさんの苦悩。ダンジョン発生は仕事が増えるだけ。



お父様が提案したのは、より鮮烈な印象を人々に与えること。

悪評すら塗り替える偉業をなすことだった。


エリーゼ・カナン・マクスウェルという個人の知恵と勇気を示す。


私が真に優れた人物であり、人を導くに足るのだということ示すこと。


そんなうまい方法があるのかと思う。


私は何をするにも中途半端だ。


日々努力をしていても。


今回のように「悪党ども」をのさばらせてしまっている。

頭のぼせさせてしまったことで「領民」に迷惑をかけてしまった。


そして私はいまだに「あの人」を探すこともできないでいる。


自分のことは後回しだ。


ともかく、魔法のような方法よりも、領内の産業を振興し、より豊かにする方が堅実だ。

そちらの方が皆に喜ばれることだろう。


(教育機関や孤児院、病院なども増やすことを検討しましょう)




ある日、領内でダンジョンが見つかったという報告があった。


管理している鉱山に数か月前から禍々しいまでの魔力だまりができていたという。


異変が収まるまで鉱山への立ち入りは禁じていた。

だが、その変化を調査していた騎士団からダンジョンが現れたという報告だった。


こうしたことはこの大陸では十年周期で起きているので、別段不思議なことではない。

ただ、ダンジョンができるとそれはそれで仕事が増える。


調査団の派遣、近隣の集落の安全確保、国への報告……頭が痛い。


ダンジョンへ挑もうとする冒険者や駐屯する騎士団のために街ができる。


採掘される資源、発見された遺物などによる経済効果はバカにはできない。


けして悪いことばかりではないのだが……


「とりあえず、最初の調査団を選出しないといけませんね」

従者のフリードがそう私に言う。


「う~ん、騎士団を派遣するのと、ギルドから派遣するのとどちらがいいかしら」


私は頭を悩ませる。


共同作戦は厳しい。


即席では連携が難しいからだ。


「正直な話、騎士団を動かすのはちょっと……」


同じく従者のルークが言い淀む。


安全確保のために近隣の集落に派遣しているのだ。


しかも帝国との戦時下にあるのだから、いつ出陣要請が来るかわからない。


フリードとルークは兄弟。

幼い頃から私の従者を務めている。


顔の右側に痣があるけれどイケメンなのが、兄のフリード・バッフェ。


魔術が使えないながらもフィジカルでカバーしているのが、弟のルーク・バッフェ。


とちらも私の自慢の「従者」。


「そうですね。では、冒険者ギルドのマスターを呼びますか」

私は直下の領内にあるギルドマスターを召集することにした。




「あなたがギルドマスターですね」

応接の間で対面した。


はっきり言って目の前の男は胡散臭い。

体つきは悪くない。

荒事に慣れたベテランという風体だ。


「はい。お目にかかるのは初めてでいらっしゃいますね。エリーゼ様」


「ええ、忙しいところご足労いただき、ありがとうございます」


「いえいえ、次期領主となられるエリーゼ様たってのお呼びとあれば、なんの苦でもございません」


五十代とおぼしきこのギルマスは慇懃に答える。


けれど、こんな小娘に呼び出されて内心腹を立てているのだろう。


笑みを浮かべてはいるが目の奥は笑っていない。


「要件は先日発見されたダンジョンのこととお察しいたしますが」

向こうから切り出してきた。

「ええ、そのとおりです」


「ダンジョンのファーストアタックにギルドから冒険者を派遣するということでしょうか」

「そのように考えています。ですが、打診もなしに決めるわけにもいかないので、あなたをお呼びしたのです」

このギルドマスターは少し考える素振りをした。


うん。かなり白々しい演技。



「確かに、新しいダンジョンに最初に踏み入るというのは冒険者にとっては栄誉なことです。ですが」


「なんですか?」

「現在、その未知のダンジョンに派遣できるだけの人員がおりません」


「おや?冒険者が不足しているのですか?」


「いえいえ、滅相もありません。数こそおりますが、危険度をはかりかねますので上級の冒険者でないと難しいのです」


もっともらしいことを言う。


そして、そういうのこそ「人がいない」というのだ。


「現在、私が招集できるAランクパーティーも今は遠方で別なクエストの途中でして」


「その者たちが戻るのはいつ頃ですか」


「なにぶん、クエスト達成の期日が設けられておりませんのでなんとも」


期日が決まっていない仕事があってたまるものですか。


「なるほど、ではギルドからの派遣はできないというのですね」


腹の探り合いや条件の折衝は時間のムダだと私は割り切った。


いちいちこのタヌキと化かし合いをしていても埒が明かない。


他の案件もあるのだ。

何も支部である自身の領内にあるギルドにこだわる必要はない。


「あ、いえ。お待ちを」

「なんですか」


「御家の騎士団はどうされるのですか」


「あなたに教える必要がありますか?」


「差し出がましいことと思いますが、老婆心ながらお伝えしたいと」


「聞くだけ聞きましょう」


「はい。先ほど申しました通り新しいダンジョンに初めて踏み入るというだけで冒険者にとっては名誉なことです。そしてそのダンジョンを踏破したとなれば英雄視されます。たとえ下位の者でもいきなり上位への昇格となる程に」

そうしてこの男は身を乗り出して言った。


「今回は残念なことに私どもから派遣をすることは敵いませんでしたが、武名高きマクスウェル家の騎士団、一兵卒であっても勇士がそろっていると聞きます」


「まわりくどいですね」

「申し訳ございません。せっかくの機会です、ぜひ御家の騎士団でダンジョンアタックをされてはいかがでしょうか」


これが言いたかったのか。


「さらにその武名が広まるとともに、マクスウェル家の、ひいてはエリーゼ様のご高名も民に広まることでしょう」

「そうですか」

私はこの胡散臭い男を見て告げた。


「考えておきましょう。下がっていいですよ」

誰がその手に乗るものですか。


ジャガイモ仲間のみなさんへ


今日も1日お疲れ様でした。


新年度、緊張やら何やらで疲れも溜まってきていませんか?


管理職エリーゼさんみたいに難題山積みで大変かと思います。


今日1日を乗り切ったアナタ自身は間違いなく「勝者」であると思います。


ご自身を労ってください。

そして、明日からもまた一歩踏み出す勇気に「ヴィクトリー」!

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