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第124話 見た目は子供。中身も子供。そう、彼女こそ「真実を見抜く」王家の末裔!いつも「事実」は「事実」!



警備隊が詰め所になだれ込んでくる。


「動くな!」


中にいる者へ警告をする。


「動けば撃つぞ」


そう言ってクロスボウを向ける。



「……子供?」



荒らされた詰め所の中にはふたりの子供。


1人は男の子。もう少しで青年といってもよさそうである。


もう1人は女の子。小柄で少女とも幼女ともとれる。



「ここで、何をしている?」


「伍長っあれをっ!」


部下が照明器具を壁に向ける。


「な、なんだ。あれは」



半分尻を出した男がうつぶせている。


しかも趣味の悪い「虎柄にモール付き」のパンツ。

チクチクして履き心地悪いだろうに。



「これは、お前たちがやったのか?」


問いにふたりの子供は頷いた。


「お前たちはここで何をしていた」


尋ねると、女の子が怯えたように男の子にしがみついた。



「あ~、えっと、そこの『変なおじさん』に追いかけ回されたんです」


確かに、変なパンツを履いている。



「え?あ……うん。その変なおじさんがパンツ丸出しで追いかけてきて、僕たち門番の人に助けてもらおうと思ったんですけれど、誰もいなくて」


「そりゃそうだ。門を閉めたらあとは我々警備隊が警邏をする」



「そう、そうだね」


少年がなにやらコソコソしている。



「お前、『誰かと話して』いるのか」


伍長の言葉に、少年はビクゥと体を跳ねさせる。



「いえいえ。誰ともお話ししてませんよ。『妹』が怯えていたので安心させていたのです」


「そうか」


警備隊たちはクロスボウを下に向ける。



「しかし、コイツはなんで気絶しているんだ?」


「そのおじさんが、勝手に転んだの」


女の子が言う。



「転んだ?」


「そうなの。私を『ゲヘゲヘ、いい子だから、好き嫌いしないでジャガイモのレモン煮食べようね』追いかけ回してきて」


女の子が口元を押さえている。



「私は、『サツマイモ』だったら食べられるけれど『ジャガイモ』は合わないって……」

涙ぐんで言う。


「そう言ったのに。しつこくてっ!」


涙をこぼす。



「ああ、怖かったんだな。大丈夫だ。おじさんたちは街やみんなを守る人たちだからな」


警備隊の伍長がなだめる。

少女は涙を拭いて言った。



「逃げていたら、勝手につまづいて、壁にダイブしたの」


「そうか。本当に『変なおじさん』だったんだな。自滅するとは」




少年と少女は頷き合う。


「警備隊さん。助けてください」


そう言って近づいていく。




コレット……なに、その演技?


いや、まあいいけれどさ。


「事情をもう少し詳しく聞かせてくれないか」


僕に警備隊員さんが声をかけてくる。


「はい」


どうしよう、あんまり上手く説明できないな。



そう思っていた時だ。


「あれあれ~?このおじさん、何か落しているぅ」


ワザとらしくコレットが言う。



「なんだい?」


若い警備隊員がコレットに近くに行く。



「こ、これは!?」


隊員が声を上げた。


「古い書式の『通行許可証の控え』?しかし、日付が最近のものだ」


「まさか、コイツが『通行許可書発行詐欺』の犯人」


警備隊員たちがディックを取り囲む。


ディックは気絶したまま。


「半ケツ」をこちらに向けたまま。




「……そんです。ワタス(私)が変なおじ……じゃなくて、犯人です」


尻が言った。




警備隊員たちもたじろいだ。


「じ、自供を始めたぞ……」


「やっぱり、変な奴だ」


囁き合う。



「ワタス(私)は、古い書式の『通行許可書』を使って手続き料をだまし取っていたのでス」


コレットが近くにしゃがみ込んで腹話術をしている。


警備隊員たちは気づいていない。



「だが、納められている税金や帳簿に食い違いはなかったぞ」


「それは……ジャガイモ少年」


コレットが僕に振ってくる。



「は~い」


そう言って僕は持っていた「受領書」とその「控え」を渡す。



「ワタス(私)はこうやって、騙した相手に受領書を渡して安心させた後、荷物に『受領の控え』を忍ばせて『はじめからなかったこと』にしていたのでス」


警備隊員たちが「おお~」と感嘆の声を上げた。


いや、感心していないでさ。

大丈夫なのこの人たち?



「でもでも、『受領書』と『控え』の整合性は?」


若い隊員が質問する。

だから、犯人に聞くなよ!



「その用紙についている『染み』を見てくだサイ」


ディックで腹話術をしているコレットが言う。


「え?ヤダっ、ばっちい」

「変な染みじゃないよな……」


隊員たちが難色を示す。

イラッとしたようにコレットが言う。


「いいから、見なさい!」


渋々といった態で隊員が覗き込む。



「ん?」


紙を覗き込んだ隊員が声を上げる。


「あ、ここのインクの色!『ブルーブラック』から『鮮やかなブルー』に変色している。しかも、油っぽいナッツのような土臭い……」


「たぶん、それはジャガイモの匂いだね」

僕が補足する。



「そんです。そして、レモン煮のソースの持つ『酸性』で変色したんでス」


「おお~」



「この街で『ジャガイモのレモン煮』を好んで食べるのはワタス(私)だけでス」


「なるほどなぁ」


……いや、「なるほどな」じゃないよ。

なんで犯人の自供で納得しているの。



「さらに、ワタス(私)が犯人だという証明」


いや、なんで犯人、そこまで自分の犯行と証明したがるのさ!



「先日、そこの子供たちからだまし取った『銀貨』それは、近年出回っていない『エルフ自治区』の銀貨でス」


「なんだとっ!?」



「先ほど、酒場でジュリエッタたんにチップとして1枚あげました。そして、ここの金庫には2枚納めています。残りの2枚はワタスの財布に……お嬢ちゃん」


「は~い」


コレットがディックの懐を探る。



「わぁ、珍しい。なに?このキラキラして綺麗な銀貨。私、見たことなぁい」


……すっげぇ、ワザとらしい。



コレットは警備隊員にディックの財布を渡す。


「確かに。これは『エルフ自治区の銀貨』だな」



「これが出回っていること自体おかしい。そして、それが詰め所の金庫と酒場のジュリエッタたんの手元にあるという事実」


「ジュリエッタたんに聞いてみてくだサイ。誰から貰ったものか、とね。きっとワタス(私)と答えるでしょう」


なんというか……突っ込みどころ多すぎない?



    「そう、『事実』は『事実』!」



なんかどっかで聞いたようなセリフだなぁ。

空港とかもあるらしいじゃない?

怒られないかな?



「犯人はぁ―――『ワタス(私)』だぁっ!」




「おお~」と警備隊の隊員たちが拍手する。



「じゃあ、連行するね」



そう言ってディックを引き起こして手錠をかける。





「ディックさん!」


酒場のジュリエッタちゃんが駆け込んでくる。


「どうして、ここに」


僕たちは驚いた。


「嫌な予感がしたの。だって……」


そう言って「エルフ自治区の銀貨」を出す。


カサカサカサカサ……


なんか、憑いているね。



「変な蔦が出てきて、絡まってきたと思ったら撫でてくるの『執拗に』」


こわいこわいこわい……

絶対アンジェさんの仕業!

フィンも被害に遭ってる!



「ときどき笑うし」



いや、もういいよ。

誰か「浄化」してよ。



「もしかしたら、ディックさんが悪いことをして得たお金じゃないかなって」


うん。そうですよ。


「だったら受け取れない。『黒いお金』は受け取れない」


「汚い金は要らない」的なこと言ってるけどさ。

「黒いお金」どころか「黒い執念」が憑りついていますねソレ。



「このお金は返します」


その方がいいよ。憑りつかれてるから。



そこで、ディックが目を覚ました。


「お、俺は何を……」


周囲を見回す。


「なんで俺は捕まっている?」


「いや、お前が自供したからだろ?」


「『詐欺』で『金をだまし取っていた』って」


隊員たちが引き気味に言う。



「違う、俺はやってない!」


「いや、情緒っ!?」


「さっきまで『自分が犯人』だって熱弁してたのにぃ」


隊員たちが混乱し始める。



「ディックさん…どうして……」


ジュリエッタちゃんが呟く。


そこでディックが叫んだ。


「そうだ!俺はその女のせいで!貢がされたんだっ、そしてやりたくもないのに」


「俺は知らない!何も知らない!あのガキどもが、あの女とグルになって嵌めようと――」


その後は続かなかった。


閃光が弾ける。


すぱーーーーーーん


ディックの顔には「スリッパ」が張りついていた。


そう、コレットが履いていたスリッパを「蹴って」命中させたんだ。


……ちょっと待て。

なんで「スリッパ」という物が存在しているんだ?

オーパーツか?世界観おかしくなってきてるぞ。



   「これにて『判決(半ケツ)』!」



コレットが叫ぶ。

頤をそらせて、首を掻っ切る仕草。



    「お前は、『有罪ギルティ』」



再度気絶させらたディックは、そのまま引きずられて行った。


ジャガイモ仲間の皆さんへ


今日も1日お疲れ様でした。


日々理不尽や悪意と闘う皆さんは最高に「ヴィクトリー」ですよ!


作品が悪者への「ざまぁ」で皆さんに「スッキリ」してもらえているなら幸いです。


ヒドイ人には、心の中でコレットちゃんと一緒に「おまえは有罪(ギルティ)」と呟いて「スン」しちゃいましょう。



以前「120話くらいで第一部終わる」みたいなこと活動報告のせましたけれど、まだまだ続きます。

これからもご愛読いただければ幸いです。


ちなみに、次回はある人の情緒がとんでもないことになります。

超絶怒涛の……


この後はぜひ、次回でお確かめください。



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