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第123話 ワン・ツー・スリー!フォーール! ベビーフェイス・ジャガーノートと残虐悪魔コンピュータ超人・ノーブルインサイト

お昼休みに伝説のプロレスリングコメディをお届けします。


週の真ん中、皆さん午後も「心のマッスル」で「スパーク」して下さったら幸いです





僕たちは、野菜の販売を終えて荷馬車に戻った。


そして、呆気にとられた。


御者台の隅っこに紙が差し込まれている。



見ると、今朝ディックに返した「偽の領収書」と「通行許可証」だ。



コイツは……



怒りとも呆れともつかない感情。


自分のしたことを僕たちに丸投げしている。


それは、証拠隠滅というより、証拠を被害者におしつけて。



「知らない。アイツが勝手にやったことだ」


そういうふうに自身の手元から「なかった」ことにしているんだ。



僕はその紙切れを手にする。


うん。残ってるね、この「染み」。





夜の門番の詰め所。


暗い部屋の中、照明器具の灯りが一点だけを明るく照らす。


その中でうごめく影。


(ない、どこにも……)


影の主は「ディック」だった。


自分が担当して発行した「許可申請」の控え。



いわゆる「裏帳簿」がない。



ディックは騙しやすそうな「カモ」を見つけては古い様式の許可申請書を使って「発行」していた。



もちろん、正式に通るわけもない。


だから、後で騒ぎ立てても「偽造」と相手を黙らせられる。


受領書などは後でこっそり荷物に紛れ込ませればいい。


証拠は自分の手元に残らない。


相手が持っているのだから「勝手に作ったんだろ」と言い張ればいい。



(クソッあのガキども)



酒場で会った「クソガキ」。


今朝、脅してきた「クソガキ」。



支払ったの「エルフ自治区の銀貨」が他で流通していない?


ハッタリだ。


とはいえ、不安要素は除かなければ。



「裏帳簿」だけではしっぽは捕まえられないだう。


なら、せめて「銀貨」だけでも。



帳尻合わせるために2枚だけは戻している。


明日には領主の元に運ばれる。


もし、ガキどもの言うことが本当なら……

役人たちに見つかっていらぬ捜索が始まる。


そこから足がつかないとも限らない。




――――カッ


ライトがあてられる。


眩しさに手で影をつくる。


「これをお探しですか?」


小柄な影が言う。


手にはノートのようなもの。


「私の『お兄ちゃん』が拾ってくれましたよ」


嘘である。

日中、「透波」の忍者ハッティくんに盗み出させたものだ。



「結構たくさんの人からだまし取っているんですね」



コレットが「裏帳簿」を自身の顔の前に掲げる。



「貴様ッ」


「私たちにも押しつけ返したアレですけれど……」


コレットが鼻で笑う。



「『証拠』がない?バカなことを言いますね。『証拠』だらけです。それも、アナタを特定するもの」



その自身に満ちた答えにディックがたじろぐ。



「天網恢恢疎にして漏らさず。あなたのような小悪党でもお天道様は見逃してくれなかったみたいですね」





「このガキャぁぁぁぁ!」


怒り狂ったディックが手を前に突き出す。


「証拠と共に消し炭になれ!」


そう言って炎の魔術を放つ。


「【炎のフレイムアロー】」


十数の炎の塊。



ハルが割り込んでくる。


「っ!」


無言の気合と共にハルが「土寄せ棒」を振るう。



―――――スン



室内を赤々と照らし、襲い掛かる「炎の矢」が音もなく消えた。


「なっ!?」


動揺するディック。




そこへ―――――


「やああああああっ!」


コレットが棚の上から飛びかかる。



ハルに気をとられているうちに移動していた。



けれど、足を滑べらせたために、体に横回転が加わる。


なぜか酒場から持ってきたフォークが握られていた。


錐もみしてながらも一直線にディックへと跳ぶ。



(す、【スクリュー・クロー】!?)



ハルは、コレットの凶器で襲い掛かるという残虐さに驚愕した。




『 庁舎のぉ、暗闇ぃ稲妻走り~

    健気なぁ、戦士を照らすぅぅぅ 』




「邪魔ぁ邪魔ぁ邪魔ぁ、邪魔イモぉぉぉ」


コレットの叫び。




『 ヒロインの座を諦めないでぇ

     駆けだすんだ(駆けだすんだ) 』




「よいしょぉぉぉっ」


コレットは気合と共にフォークの「柄」の方で頭を叩く。


「痛っってぇぇぇ!」

ディックがその残虐ファイトに悲鳴を上げた。


どう考えても「悪役ヒール」の立ち回りはコレットである。



「まだまだぁっ!」


コレットは叫んでディックの背中に着地する。


彼の両腕を掴み、両足を彼の肩甲骨部分にあてる。




『 私は(ドジっ子で) 強い(ハズの)

        これっちょた~~~ん 』




「こぉぉぉ、はぁぁぁぁ」


深く呼吸(息吹)をするコレット。



「ふぅぅぅぅん!」


ディックの背に足を踏ん張り、垂直に体を反らす。

コレットの体は「十字」の形になる。



「あだだだだだ、肩がぁ肩がぁぁっ」


両肩を後ろに捻り上げられ引っ張られたディックが悲鳴を上げる。



(うゎあ、殺人マシーンだ。これ普通の人やったら怪我どころじゃ済まないよ!良い子も悪い子もふざけてやったらダメなヤツじゃない!)




「【コレット・クルセイド・パロディ・スペシャルぅぅ】!!」




オリジナル・フェイバリット・ホールドを決めてコレットは咆哮した。




「無ぅ常ぅパワーーーー!」



気合とともにさらに伸びる。

まるでその腕を引きちぎるかのよう。


あまりの痛みにディックがのたうち回る。




―――そこでアクシデントが発生した。


体重の軽いコレットは足を滑らせる。




 『 踏ん張る(スベる)

         見事に(コケる) 』




「わわわわ」


コレットは慌ててディックの服を掴もうとする。

もちろん自分の落下を阻止するためだ。



 『あ~、心にぃ「憂い」がぁなければぁ~』


  『 スーパー・ヒロインじゃぁ~ 』


    『 無いのさぁぁぁぁぁ 』



ガシィィィィ


コレットは必死にディックの服を掴んだ。


―――――ズルリ


掴んだのはディックの「ベルト」。

勢いで留め金が外れてズボンがずり落ちる。


「……あ」


コレットが呆けた顔をする。


目の前には虎柄に金のモールがついたパンツ。

さらに、半分ずり下がってディックの尻が半分露出する。



ランプの光を受けた「半ケツ」

夜風が冷たく吹き抜ける。


我に返ったコレットが悲鳴を上げる。


「いやああああああああ」


「わわわわわわわわ」


ディックも慌てて隠そうとする。



「コレットになに見せているんだっ!」


ハルが棒を構えて、容赦なく振るう。


将軍クラスの猛者たちと渡り合ったハルはもはや「ただの農家」ではなかった。

振るわれる「棒」が容赦なくディックを捉える。



ガコーーーン!



轟音が響き、ディックの体が吹っ飛ぶ。

そのまま壁に激突して「半ケツ」を向けながら気絶した。



『 これぇっちょた~~~ん。

     GO、FIGHT~~~~! 』



カァァン、カァァン、カーーン! 




ゴング……ではなく、警鐘が鳴らされる。


「侵入者だ!」


「詰め所で誰かが暴れているぞ!」


声と共に複数の足音が近づいてくる。



ジャガイモ仲間の皆さんへ


このエピソードが「笑え」ましたら、よろしければご評価いただけますでしょうか?


リアクションがございますと、作者としても、コレットちゃんみたいに「スベってない」と思えます。


よろしくお願いいたします。


このようなコメディがお好きなお知り合いにも、エナジードリンク代わりにシェアしていただけると幸いです。



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