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第118話 「フッ、残像だ」捉えられぬ魔の手。って……後ろっ後ろっ!



「どうしたんだい?ふたりそろって」


ハティさんが僕たちの顔を見て言った。


今はおじいさんの姿。


話し方とか違和感がない。


僕は無言で近寄り、胸倉を掴んだ。


「あなたって人はぁぁぁ」


「どうしたんだ?」


ハティさんは暢気に尋ねる。


この様子を見て周囲は騒然となった。


「あなたのせいでっ!」


「まあ、待ちなさい」


「なにがっ」


ハティさんが周囲を示す。


みんなが注目していた。


傍から見れば爺さんにからむ若者。


非常にまずい構図。


周りの人が「最低」とか「酷い」とか囁き合っている。


「ね?場所を変えようよ」


僕はしぶしぶ手を離した。




宿屋に戻る。


部屋に着くなり、僕とコレットはハティさんに詰め寄った。


「アンタ、なにしてくれとンじゃっ!」


「え?なに?どういうことっ?」


「女癖悪すぎですっ!なんで『地雷案件』ばっかり持ってくるんですかっ」


コレットも叫ぶ。


「いや、ちょっと落ち着いてっ、わけがわからないよ」


事態を飲み込めていないハティさんは「?」と首を傾げている。


「落ち着けません!」


「訳が分からないのはこ――――――」

言いかけて僕らは固まった。


―――――にょ


謎の効果音と共に、ハティさんの後ろに立っている「エルザ」さん。


「ひぃぃっ!」


コレットが悲鳴を上げた。


「ん?」


ハティさんが後ろを向くが、その時には姿はなかった。


「なにもいないみたいだけれど?」


僕たちの方を向いた。


――――――にょ


「ひいいいいいい」


僕も悲鳴を上げた。


「どうしたのさ」


もう一度ハティさんが振り返る。

エルザさんの姿はない。


「いや、後ろにっ」


「やだなぁ、僕を脅かそうってんだろ?なになに、市場でのはこのためのフリだったの?」


―――――――にょ


またしてもハティさんの背後に現れる「エルザ」さん。


穏やかな微笑み。

でも、目の奥は笑っていない。


そして、無言でコレットに圧をかけている。


「ちゃんとお伝えしなさい」と。


コレットは恐怖でカタカタ震えている。


「どうしたの?」


「そそそそ、そのっ!『エルザ』さんに会ったんです」


思い切って言った瞬間だった。


ハティさんの顔が強張った。


「聞き違いかな?今、『エルザ』って言った?」


僕たちは頷く。


ハティさんがバッと勢いよく後ろを向いた。


――――にょ


エルザさんは姿を消している。


――――バッ


――――にょ


―――――ババババババッ


―――――にょにょにょにょにょにょ!


彼が振り返るたびに背後に現れる。

つまり、ハティさんは対面していないから視認できていない。


なんていうことだ。


あまりにも速くてエルザさんが何人にも見える。


これは「影分身」!?


(フッ、残像です)


エルザさんの不敵な笑み。

いや、カッコよくない。


ゼェゼェゼェ


はぁはぁはぁ


ふたりが荒い息をついている。


片や激しい動きから。


片や興奮から。


あの魔人の「弱点」である背後を常にとっている。


「クッ、やはりエルザだ」


ようやくハティさんも理解したようだ。


「おそらく、彼女は『居る』」


「ハティさん、背後とられてますよ?」


「そうなんだ。彼女はタンクの『かばう』スキルを悪用している」


「は?」


「『かばう』は仲間を文字通り『かばう』ためのスキル。僕のウィークポイント『背中』を『かばう』というロジックを悪用しているんだ」


―――――怖いよ。


「そうして常に『かばう』という名目で背後に立っているんだ」


ぶるりと身を震わすハティさん。


「も、もう……怖くて怖くて」


なんか、かわいそうになってきたなぁ……


――ふぅぅぅ


吐息がかけられる。


「ひぃぃぃぃぃ」


本気で怯えた声。


「善き妻たる『エルザ』はちゃんと三歩下がって『控えて』おりますわ」


囁き声がする。


僕はハティさんの後ろで「ニタァァ」と笑う美女の姿を見た。


心底怯えているハティさんを見て思った。


確かに美女にモテてるけれど、この人の場合「事故物件」ばっかじゃない?


病み全開の魔女っ子エルフとか。


カップリグ厨貴腐人の女騎士とか。


あ~、一応「合法」のリムアンはマトモな部類か……


そんなことを思っていたら、エルザさんが目で合図を送ってくる。


もちろん、コレットにあの話をさせようというのだ。


ジャガイモ仲間の皆さんへ


日曜日の夜、いかがお過ごしでしょうか?

ゆっくりできた日ですか?

それとも何となく忙しい日?


新年度で何かと忙しかったり、周りとリズムが合わずにモヤモヤ溜まったりしていませんか?


何となく「後ろ」を振り返りたくなりますが…


ストレスは「スン」して、また、明日という日の「ヴィクトリー」を目指して一歩踏み出しましょう。


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