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第117話 コレットの勘違い。煽り倒した上に玉砕!?「救命法」を「愛の誓い」と誤変換する「強キャラ」に敗北。



私はいつまでも帰ってこないハルを探しに行った。


露店はハティさんが店番。


何気にハティさん、馴染んでいる。


そうして、暫く探し回り、路地裏へと入ったところだった。


――――トラブルメーカー。


そういう言葉が私の頭に浮かぶ。


なんで、こんな真昼間から、剣を突きつけられてるの!?


しかも、ハルの前に立つ人……お姉ちゃん?



「小僧、死にたいようだな」


声も似ている。


けれど、「別人」って私の「眼」に映っている。


誰?誰なの?


「それは、あのエルフが勝手に言っているだけだ」


「旦那様を侮辱するな」


なんだか、とんでもなく怒っている。


「旦那様には『私』がいる」


ええっと、「旦那様」ってどなたさま?


剣を手にした女性が私を見る。


「……見世物ではありませんよ。帰りなさい」


冷たい目。


そのアイスブルーの瞳と容姿があの晩のお姉ちゃんに重なった。


「帰りません。ハルを解放してください」


私は言った。


「あなたも……私を『旦那様』から引き離そうとするのですね」


んん?ですから、どなたさまのことを言っているのですか?


まさか、ハルのこと……じゃないよね?


自分のモノにならないなら……命を奪って永遠に他の人には……


って、昼ドラじゃないんだから。


あははははははは。


――――笑っている場合じゃない!



「いくらハルに言い寄っても、本人にその気がないんじゃダメですよ!強引に迫っても相手が引くだけですっ!」


私は彼女にビシッと言ってやった。


「いくらハルがエッチでもっ、胸が大きいだけじゃ釣れません。お姉ちゃんみたいにきれいな髪と目をしていてもっ!です」


相手は驚いている。

フフフッ、今日の私は冴えているみたい。


論破女王、コレット・オルレア爆誕だわ!


「……誰が、こんなジャガイモに言い寄るのですか?」


あれ?違った?


「ずいぶんと特殊な好みですことっ」


その人は笑う。


あったまきた!


「分かってないのはあなたの方ですぅ~、ハルには良いところがいっぱいあるんですぅ~」


私はなんだかムキになっていた。


「ハルは結構モテモテなんですぅ~、クロエさんやリャナンさん!リムやルーダ!男の子のスヴェンにだってぇっ、全方位にモテモテの『エロ男爵イモ』なんですぅ」


遠くでハルが「ちょっとぉぉぉ」って叫んでいるけれど無視した。


「そんなおっぱいに育っていても、男性の良さを見る目は育っていないようですわねぇ」


「おほほほほほ」とわざとらしく笑って見せた。


「わかったら、さっさとお家に帰って『薄い本』でお勉強し直しなさいな」


「ホーッホッホッホ」と声高に笑ってあげる。



「あなた、バカですか?」


ガーーン、言われてしまった。


「さっきから言っていますが、誰がこのジャガイモなんぞに言い寄るのですか」


その人は肩を震わせている。


「私の『旦那様』は未来永劫、『ハティ』だけです!前々前世から来世までも追いかけ続け、添い遂げるのみっ」


うわぁ、ガチ勢だ。


でも、勝機は見えた!


「ふ……」


私は不敵に笑う。

この技を使えば勝てる。


だって、あの「ティアさま」ですら撃沈したのだから。


「なんです?」

この女性も例にもれず警戒を示した。


「今、『ハティお兄ちゃん』のことを『旦那様』って言ったよね?」


私の言葉に、この女性はたじろいだ。


「は、ハティ……『お兄ちゃん』ですって?」


「そうよ。ハティ・アガートラーム・マクスウェルは私の『お兄ちゃん』」


「な、なななな」


やっぱり。明らかに動揺している。


「いいのかなぁ、『お兄ちゃん』に告げ口しようかなぁ」


「あ、ああああああ」


ふふっ、効いている。効いている。


「どうしようかな~、このまま帰ってくれたら、黙っていようかなぁ」


目の前の女性ががっくりと肩を落とした。

ちょっとかわいそうだけれど、安全を確保できるまで。


心を鬼にするのよっ、コレット。


……ちょっと楽しいけれど。


「ふ、フフッ。うふふふふふふふふ」


女性は不気味な笑い声を上げた。


あ……目の焦点が合っていない。

口の端からよだれが……お姉ちゃんそっくりの美人さんなのに。


「これは僥倖!まさに天の導きッ!」


なぜか天を仰いだ。


「まさか、未来の『義妹』にめぐり合わせてくれるとはっ」


だ、ダメだぁっこの人!


「い、いいですか?」


なにがですか?


「私がどれだけ『旦那様』を愛しているかを聞かせてあげますからっ、あなたの口で恥ずかしくも狂おしい感じで『告げ口』するのですよっっっ」


こわいこわいこわいこわいぃぃぃ


そして、急に語り出した。


「ああ、あの霧の立ち込める森の中で……私は旦那様に出会った」


帰りたい。

本当にこの人、自分語り始めちゃった。


地面に座り込んでいるハルも身動きが取れずにいる。


「旦那様は私の『ハート』を奪いに来たの」


たぶん、それ、暗殺じゃないの?


「私の『心臓をもらい受ける』ってね」


言いそう。そして確定。それ暗殺です。


「そのあと、荒波にもまれて凍てついた私の『ハート』を再び動かしてくれた」


なんか、「世間の荒波の中で無感動になった私をときめかせてくれた」的に言っているけれど、違うと思うな……


「私が巻き込んで共に滝つぼに落ちたあの時……」


あなた、最悪ですね。


「濁流から引き上げて、意識のない私に……わたくしにぃぃっ!」


急に大声を上げる。


私も、ハルもビクゥッと身を震わせた。


「眠る私に口づけをしたのです。そう、眠り姫を目覚めさせる王子様」


「初めてだったの。私の初めてを捧げた人」


うっとりとして言うけれど、それって「人工呼吸」では?


「私は、王子様の口づけで意識を取り戻しつつあった」


やっぱりね~。


「でも、凍てついた私のハートはまだ鼓動を刻むことはない」


かなりヤバい状況ですよ?


「そこで、あろうことかっ!旦那様は私の胸をっ」


やめてやめて、ちゃんとした「心肺蘇生法」をそんな言い方しないでっ!


「誰にも触れられたことなどなかった……」


「『鉄の女』『鉄血の女傑』などと呼ばれ……誰も近づくことなど無かった」


「そんな私の『鉄壁のバリア』を簡単にぶっ壊した旦那様ぁぁぁぁ」


もういいです、もういいです!

こじらすぎてヤバいことになっていたのわかりましたから。


「も、もう……『初めて』は捧げました。そう、誓いの『ちゅ~』」


「こ、これだけ既成事実があれば、口約束のエルフなぞ、マウントとれる!」


あ~、あ~、あ~


「わかりましたか?わかりましたねっ!」


かなりの圧力。


「ちゃんと、一言一句違えずにお伝えするのですよ!」


「あ……はい」


私の言葉に、彼女は満足したようだ。


「ふふふ、さすがは私の未来の義妹」


いえ、謹んで辞退申し上げます。


「では、今回はお家に帰してあげます」


怖いよ。


「ちゃあんと、お伝えするのですよ」


そう言って、ハルの手元に「団員証」を落して帰っていく。


(見ていますからね)


最後、私の【高貴なる洞察ノーブル・インサイト】に恐ろしいイメージを残して。



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