第112話 超☆変人(形)合体! ノールブルインサイトアガートラームカイザー! そして放たれる必殺の……
ハルがハティの救援に向かった。
本来ならば囮役を救うというのは本末転倒。
しかし、その行為は窮地に陥ったハティだけではなく、コレットも救う。
そう、意識せずにハティの弱点を敵将に教えてしまった彼女を。
コレットは自責の念で胸がつぶれそうだった。
いくらハルがフォローをしてもだ。
(私は、また……なんていうことを)
そう思っていた矢先だ。
「コレット」
ハティの声がする。
「っ!?」
ハティが目の前にいた。
「あ、私……」
言いかけた時、ハティが膝をつく。
目の高さまで下がり、彼女の目を見詰める。
「僕を――――『助けて』くれ」
真剣な顔で言う。
コレットは口を閉じた。
「君が必要だ。君の助けがいる」
そして、そっと手を差し伸べる。
「僕を助けて。僕の力になってくれないか?」
◇
チャチャチャ~、チャチャチャ~
軽快なBGMが鳴る。
とんでもなく爽やか?なのか?
『僕たちィははん~~』
暑苦しい?のか?わからない歌が聞こえる。
『分かり合えぬぅ~
孤独ぅぅぅのなかでェェ』
「いくゼ!」
「はいっ!」
ハティさんとコレットの声。
『今こそ、家族のキズナが試されるときっ!』
いや、血縁ないでしょ、あなた達。
『ちょ~~~う』
なに?この溜め。
『へんっっじん』
「変人」って言ったぁぁぁあっ!?
自分でェェェェ。
コレットが背筋を伸ばし、両腕を水平に伸ばす。
まるでそれは「十字架」のようだ。
ハティさんが彼女の腰に手を添える。
アイススケーターのように美しい所作。
それから掲げるように彼女の体を持ち上げる。
『【合体!ノーブル・インサイト・アガートラーム・カイザー】ぁぁぁっ!』
ふたりの声。
ギュピイイイイイイイン!
光り輝く。
あ、ああっ、ああああっ!?
なんてっ、なんてことだっ!
「幼女」を「変人」が肩車してるうううぅ!?
やべぇ、なんか、やべぇぇ予感がするよぉぉぉ!
コレットぉ、なんで、なんでずっと手を広げ続けているの?
それじゃあまるで「金色の野で青き衣まとった人」だよっ!
◇
「お兄ちゃんっ!10時の方向より、敵ロックオンを確認」
「了解」
ハティは言うとともに急旋回する。
「やられる前に、やる。【霊槍投擲】!」
右腕が光る。
「発射!」
4本の魔力で編まれた槍が飛ぶ。
(……っ!?)
ランドルフが「隠蔽」スキルを維持したまま跳ぶ。
過たずに元いた場所へと槍が突き立つ。
爆発と粉塵。
大きく逃れなければ、ダメージを受けていただろう。
(なんだ!?俺の位置がわかるのか?)
「8時の方向に回り込んでます!」
「了解っ!」
ハティが右の拳を構える。
「避けられるか?」
にやりと笑う。
「今の僕は『最狂』なんだぜ?」
一歩踏み込む。
「【音響破壊】!」
風魔術の応用。
空気の振動を圧縮し放つ。
建物が崩壊する。
◇
ううわぁ、メチャクチャ。
破壊の権化。
共和政府のみなさん、ほんっとごめんなさい。
あのランドルフですら「重力の矢」封印してまで被害最小限にとどめてるってのに。
こっちはやりたい放題。
どっちが悪者だよ。
というかさ、手を広げて遠くを見ているコレットって大丈夫なの?
メチャクチャ動き回ってるけど、振り落とされてないよね。
『――――説明しよう。』
は?
『ハティはコレットの周囲に「風の精霊」でバリアを張っていたのだ。』
いや、誰よ?
『ハティのバリアが彼女へかかる風圧、衝撃、諸々を緩和して、平地にいるのとかわ――――』
んなご都合主義の無茶苦茶な原理!納得できるかよ。
って、今気づいたわ。
誰かの声に似てると思ったら「クロエ」!
お前かぁっ!
「てへっ、だニ」
くっそぉぉっ!
◇
【アナウンス】
「ここから、読者の皆様はお好きな挿入歌を
脳内で再生してお楽しみください」
一応、ノれるように作者の方で「痛々しい」挿入歌をご用意いたしました。
◇
(※激しい爆音と共にエレキギターの咆哮)
爆炎を切り裂いて現れる「N・I・A カイザー」。
略称「にゃっかいざー(厄介さー)」!
でも、それは、ただ幼女を肩車しただけの変人!
『過去に縛られたぁ僕らを
あの日の影が笑うぅぅぅ』
(私はっ、私は過去の「恨み」を打ち砕くの)
コレットの頬から一筋の涙がこぼれ落ちる。
『凍えたぁ眼差しぃ
明日の地図を塗りつぶすぅぅぅ』
(ニンニン……いつまでこのキャラやろうかな?)
ハティがちょっと集中を欠き始めていた。
『――僕らは本質的にわかりあえない。
孤独を抱えた生き物なのさ』
(なんなんだ、あの合体は?コレットを標的に?いや、いかん)
ランドルフが混乱し始める。
『空を貫けェェ
アガートラーム・カイザーぁぁぁ!』
(ああ、もう僕ほっぽって好き放題やってるよ、あの人たち)
ランドルフの矢を防いで粘っていたハルが呆れる。
『 叫べ!
打ち砕け!
己を縛る鎖をぉぉぉっ 』
(私は変わる!「この新しい家族」と共に)
コレットはきゅっと唇を引き結ぶ。
(今まで私を縛ってきたしがらみを「ぶっ壊して」やるんだからっ!)
◇
「「これで決着!」」
ハティさんとコレットの声。
もう、どうにでもして……
僕は思った。
「「私たちの家族のキズナが、敵を打ち砕く」」
でも、君たち血縁ないからね。
「「ウチはウチ!ヨソはヨソ!」」
ああ、よく聞くやつね。
「「家族の結束が、『よそ様の法則』を打ち砕く」」
いや、ダメだよ。社会性育てないと……
「「さあ、今こそ示す刻!」」
銀の右腕の変人が……
ようやく幼女を降ろした。
え?何?なになに?その構え?
コレットさん?なんで両方のこめかみに指をあてて胸逸らすの?
「「ファイナル――――」」
はぁっ!?
「ハウジング・デモリッションバスタァァァァーーーーー!」
おおおい、「解体工事」じゃねぇかぁぁぁっ!
だめだろぉ、勝手にお家壊しちゃあああ!
しかも、魔人さん!いつもの【神王の光剣】!
ええ!?なんで、コレット目からビーム出してるのっ!?
いまいち統一感がねぇえよぉ!
確執のこってんでろっ!アンタらさぁっ。
「な、なななななんだとぅ!?この力はぁぁぁぁぁ」
あ……ランドルフさん、巻き込まれて吹っ飛んでった。
どおおおおおおおおおおおん!
爆炎が上がり、ふたりはくるりと背を向けた。
「さような、私の黒歴史」
コレットが寂しそうに呟く。
………
……
…
まあ、ねぇ。
辛い境遇の中で耐え続けるよりもさぁ。
苦しみから解放されるためにもね。
新しい環境や関係を構築するのも一つだよね。
古いものを「ぶっ壊す」ってのも選択肢のひとつなのかもな。
それもまた「自己の救済」の形なのかなぁ。
でもさ、コレット。
今のこれこそが「黒歴史」だよ?
ジャガイモ仲間のみなさんへ
今日も1日お疲れ様でした。
新ヒーローの合体変形ロボ(合体変人ボロボロ)
「ノーブルインサイトアガートラームカイザー」
(NIAカイザー)
で、1日のストレスを爆散させてください。
嫌な奴もコレットちゃんの目からビームで薙ぎ払いましょう!
叫べ!
ハウジングデモリッションバスター!




