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第110話 エマジェンシー!110番は警察だニ!暗闇でイチャつくな不審者!通報するぞ。



(……え?ちょっと待って)


狭い箱の中。

必然的に僕とコレットは身を寄せ合う。



隙間から月の光が入ってくる。


そこに映し出されたコレットの顔。


涙で濡れた睫毛。


潤んだ瞳。



―――――きゅっ、と僕の服を握っている。



(顔、なんか……なんかっ、近くない?)


僕の顔をじっと見ている。


ついさっき、ほっぺたを引っ叩かれたばかり。


まだじんじんと痛む。


それなのに、僕は彼女から目を逸らせなかった。


栗色の髪。


朽葉色の瞳。


ちょっと生意気で、口やかましい。


年下の、妹?みたいな……


え?なんだか、顔が近づいて……


目を瞑っている?


――――――――― ガタッ 


蓋が開く音。


「あ、ヤベ」


そして、閉まる音。



……おおお、おい。


無かったことにできるか!



コレットは気づいていない。



カリカリカリ……


蓋が小さい音を上げてずらされる。


「私に気にせず、『ごゆっくり』だニ」


いや、いやいや、ワザとだろっ!?


さすがにこれにはコレットも気づいたみたいだ。



「~~~~~~っ!?」


我に返ったみたい。


ばちこーーーーーん!


僕はほっぺを再度引っ叩かれた。




「てへへへへへ」


箱から出た僕たちはクロエの苦笑いと出会う。


「やってしまっただニ」


舌を出す。

可愛くない。


「そのまま『にゃんにゃん』していても良かっただニよ」


「~~~~~っ!!!!」


コレットが声にならない悲鳴を上げる。


なんだよ、「にゃんにゃん」ってさ。



「ところでさ、なんでクロエがいるの?」


「ご挨拶だニねぇ、エロ男君」


誰が、「エロ」だ。


「私は、ずっとコレットを『見守り』してただニよ?」


はぁ?


「だいたいにして、私がいなかったことに気づいてなかっただニね」


あ、ああっ?

ハティさんの一件直後から、一切クロエの「存在」が、扱われてない!?


まさか、誰も気づいてない?

というか、エルフの集落で扱いが……


「エリーゼ様が放っておくわけないだニ」


心臓が跳ねた。


「あの御方は『自分の整理がつくまで、コレットをお願い』って私に頭を下げただニよ?」


コレットもクロエの言葉に驚いていた。


それから、むにっ、とクロエはコレットのほっぺを引っぱった。



「お前は『愛されている』だニ」



それから手を放す。


「どうして」


コレットの呟きに、クロエはため息をついた。


「理由が必要だニ?」


聞いておいて目を細める。



「理由がないからこそ『愛』だニよ」



その言葉が重かった。

そして、僕は恥ずかしかった。


エリーゼさんも、ハティさんも、整理はつかないままでもコレットを「許して」いたんだ。

それも、理由なく。


「見返りなど不要。ただ、理由なく与える。それを『愛』とオマエたちは言うのではないのか?」


暗闇の中で光る琥珀色の猫目。


ピコピコと耳を動かす。


「ああっ!しまったっ――『だニ』」


声を上げる。

いや、語尾忘れたの誤魔化せてないからね?


「そうそう、名乗りがまだだったニ」


なんだよ、突然。

知っているよ。

自分で良い雰囲気壊すなよ。


「忍んでるようで忍んでない!忍んでないようで忍んでる!」


いや、どっちだよ?


「あなたの傍に潜んでますっ」


それ、犯罪者。


「キャ――ツ……」


待てっ、それ以上はレジェンドに―――――


「クロエ!」


キュピーーーーン☆


人差し指と中指でV字つくって額にに掲げる。


ああ、ああ。もういいっス。


「さて、前座はここまでだニ」


え?どういうこと。


「いちゃラブは、お預けだニよ?」


雲が月を隠す。

異様な静けさ。


外の喧騒が聞こえなくなる。



「奴が……来る」


辺りは暗闇と化した―――――




夜闇の中の静寂。


クロエの瞳が闇に浮かんでいる。


――――――― ニュ


え?なに?なになに?


風が吹いた。


月を隠していた雲が流れる。


カサカサカサ……


何かの這う音。


一体何が?


音のする方、天井を僕は見る。



……うへぇっ!?



天井に黒装束の人が張りついてる!


目が合った。


「っ!?」


シュタッ!


軽やかに宙を舞って着地する。


コレットも唖然として動けないでいる。



「忍者『ハッティくん』ただいま参上!」


名乗る。


いや、「参上」じゃねぇよ。

しかもわざわざ寄せて名前に促音ぶっこむな。


「ニンニン」とか言っている。


「忍者?」


聞きなれない言葉にコレットが首を傾げる。


「そうさ、何じゃ?忍者?どんなもんじゃっってね」

……教育番組かよ。


人差し指と中指を立てた左手を、同じようにした右手で握る。


「ニンニン」


何?そのドヤ顔。

いや、マスクして口元覆っているから目元だけだけどさ。

あと、いいって、そのニンニンって。


「簡単に言うと、東洋の『スパイ』でござるよ。ニンニン」


「はぁ……?」


コレットも混乱しているみたい。


「あの、ハティさん」


僕は声をかける。

あれ?なんで無視?


「あの~、ハティさんですよね?ハティさん?」


再度、声をかけるも無反応。


クロエが僕の袖を引く。


(犬っころはなりきってるニ)


め、めんどくさぁ。


「あ~、ハッティくん?」


「何でござる?」

即座に反応。


殴っていいかな?


「もしかして、迎えに来てくれたの?」


僕が言った時だ。

コレットが僕の上着を掴む。


震えているのが布越しでもわかる。



「もちろんだよ」



ハッティくん……ハティさんは断言した。


それから、僕の上着を離さず、身を固くしているコレットに向き直る。


スッと片膝をついて顔の高さになった。


ハティさんはコレットの目をじっと見る。


「僕は、嘘をついているかい?」


優しい声で問う。


コレットが首を振る。


「僕は、怒っているかい?」


静かな声。


コレットがまたも首を振る。


「僕は君を迎えに来た。一緒に帰ろう、コレット」


コレットの目から涙がこぼれた。


「お、おにっぃちゃ……ん」


声が漏れる。


「ハティお兄ちゃんっ」


コレットがしゃくりあげながら言う。


「ごめんなさい」


その言葉にハティさんが笑顔で頷く。


「うん」


それからゆっくり立ち上がる。


「もう、とっくに『許している』よ。コレット」


ジャガイモ仲間のみなさんへ


エイプリルフールのこの日、いかがお過ごしでしたでしょうか?


嘘みたいなワクワクとかありましたか?

それともいつもの?


新年度も始まる頃です。


新しい生活、ちょっとした変化があると良いですね。


今日のみなさんにヴィクトリー!

明日の一歩に、ヴィクトリー!


さてさて

この度は第110話までお読みいただき、本当にありがとうございます!


エイプリルフール。

朝の特別編から110話のドタバタ劇まで楽しんでいただけていますでしょうか?


「クスッと笑った!」「ポテトミミック、アホすぎ!」という方は、ぜひ画面下にある**【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にして**応援していただけると、作者のモチベーションが限界突破します!


また、**「ブックマーク」**をポチッとしていただけると、これからの連載の大きな励みになります。


読者の皆様のワンタップが、この物語を動かす最大の魔力です。どうぞよろしくお願いいたします!


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