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第109話 SSRモンスター、ポテト・ミミック!ハザード!政府本営が崩壊?



「なんてことだ!魔水晶が!?」


「動力供給の魔術が破壊されているっ」


「侵入者がいるぞっ!クソッ、フェンリルナイトじゃないだろうなっ」


地下室を慌ただしく駆けまわる兵士たち。



僕はそれを箱の中から様子を窺っていた。


……資材とか入れている木箱があってよかったよ。

しかも、都合よく僕が入れるサイズの空箱までさ。


しっかし……さぁ、まだいるんだね。

早く出て行ってくれないかなぁ……


「何か手がかりが残っていないか」


衛兵さん、まじめすぎ!

いいって、いいって。大丈夫だよ!

ここにはただの「ジャガイモ農家」しかいないんだからさ。


「ん?」


こちらを見る。


「おい、この箱、今、物音しなかったか?」


ギ、ギクウゥゥゥゥゥッ!


「確かに」

「念のため確認するか」


や、ヤバいよ!近づいてきた。


蓋を開けられる。


こうなりゃ自棄だっ!



「うわああああああっ!?」


僕は覗き込んで来た衛兵の頭を掴んで箱に引きずり込む。


いきなり閉所に引き込まれたんだ。

いくら兵士でも咄嗟の対応は難しいだろう。


僕は兵士の口にジャガイモを詰め込んだ。


「な、なんだっ!?」

「どうしたっ!今助けるぞ!」


騒然となる他の衛兵。

引きずり込んだ兵士は箱の外の足をバタつかせて暴れていた。


箱の外に出た足がもがき苦しんで暴れる。


―――――パタ


力尽きて大人しくなった。



……ぺっ!


僕は気絶した兵士の上半身を箱の外に出した。


「……」


箱の外は静寂に包まれた。


「ミミックだ……」


誰かが呟いた。


ジャガイモを口に突っ込まれ、白目を剥いている兵士。


「ポテト・ミミックだっ!」


衛兵たちが絶叫する。


「な、なんでこんなところに難易度Sクラスの魔獣がっ!」


「敵は『魔獣使い(テイマー)』かっ!」


「まずいっ、ランドルフ様に報告だ!」


「くそっ、我々だけで足止めできるか」


……いや、「ポテト・ミミック」って何?

弱そうな名前なのに「Sランク」?

魔獣のヒエラルキーってどうなってるの??


そんなけったいなのいるわけないだろっっ。

SSレアどころじゃないだろ!


とはいえ、好都合。


「ぼええええええええええ」


僕は声を上げる。


「ぽぅて~~とぉぉぉう」


僕の声を聞いて衛兵たちが怖れ慄く。


そして、ここからのっ!


どすこーーーーい。


バキバキバキッ!


四股を踏んで箱の下を踏み抜く。


僕は箱の下から足を出した。


「ああああっ!?『ポテト・ミミック』がぁっ」


衛兵たちの悲鳴。


いやさ、普通のミミックって足ないよね?

傍から見ればさ、「箱」から足生やしてる「変態」だよね。


カサカサカサカサ……


僕はちょっと虫っぽく動いて逃げ出す。

ちゃんと隙間から出口を確認してだ。


「くそっ、逃がすな!」

「本営を守るんだ」


衛兵さんは必死。


「弱点を狙うぞ!」

「焼き芋にしてくれる!」


衛兵さんたちが手をかざす。


火雷弾ファイアーボルト


炎と雷の複合魔術。

その塊が僕へと向かってくる。


炎が吹き荒れ、放電する。


地下室が赤々と照らされた。


「やったか?」


――――――スン


魔術の炎と雷が何事もなかったかのように消えた。


後には焦げ付きすらしない、足の生えた「芋箱」。


「ぼええええええええええええ」

雄たけびをあげる。


「ひいいいいいいいいっ」

衛兵たちは悲鳴を上げた。


「ぽてぇぇぇぇぇとぉぉぉぉぉっ」

僕の声に衛兵たちは逃げ出した。


「『焼き芋にする』って言ってごめんなさぁぁぁぁい」

「魔力無効化なんてバグキャラだろっ!」


喚いている衛兵の間を僕は駆け抜ける。



「あああ、『ポテト・ミミック』がぁぁぁぁ」




外が騒がしい。


私、コレット・オルレアはクレイグさんのお部屋に戻っていた。


「コレット、ごめんなさい。あなたを困らせるつもりはなかったの」


クレイグさん悲しそう。


「いえ、いいんです」


まだ気持ちの整理はついていない。

でも、なんとか、前を向けそう。


ランドルフさんのおかげ。


外からは人の叫び声が聞こえる。


何だろう?


「―――ミミックがっ」


え?ミミック?

ダンジョンにいる、宝箱のモンスター?


「『ポテト・ミミック』がぁっ!」


ん?なんで「ポテト」?


クレイグさんがクスクスと笑い出す。


あの、どういうことでしょうか。


「コレットは罪つくりな女ね」


はい?


「お姫様。騎士様があなたを助けに来たわよ」


え~~と。


「騎士様」ってどなた様でしょうか?




大混乱の「共和政府本営」。


衛兵たちは武装して走り回っている。


「いいかっ、見つけ次第仲間をを呼べ!」

「少人数では対処できないっ!皆で対処するのだ!」


そう口々に叫ぶ。


「相手はマジックキャンセルも持っている魔獣だというぞ」

「食われれば『ポテトの腸詰め』にされるっ、会敵しても戦うな!」


いやぁ、なんだかメチャクチャ大ごとになってるねぇ。


僕は砦の通路で身を潜めている。


広い砦だから、デットスペースって結構あるね。



私はクレイグさんに後押しされて部屋の外に出た。


「さようなら。また会いましょう」って言っていた。


衛兵さんたちが行き交う廊下。


「お嬢ちゃん、危ないから部屋にいるんだ」


照明器具を持ったひとりが声をかけてくる。


「ランクSのモンスターが紛れ込んでいた。今も敷地内をうろついている」


本気で心配している。

この人たち、悪い人たちじゃないのかな。


「奴は捕まえた兵士を喰って『完全形態』に進化しようとしているんだ。現に、最初に兵士を喰って『足』を生やすという進化を遂げた」

え?なに、その捕食者設定。


「君も喰われないように身を隠しなさい」


「あ、はい」

「そこの角を曲がった部屋は空き部屋だ。そこに隠れていなさい。なにかったら声を上げるんだよ」


「ありがとうございます」


私はお礼を言って衛兵さんの言った部屋へと向かう。

混乱に乗じて脱出するにしても、こう人が多くては目についてしまう。


もう少し人が減ってからじゃないと。



私は空き部屋に入る。


もちろん明かりなんてついていない。


照明の動力源が壊されたんだって。


薄暗い部屋。


「おじゃましま~す」


恐る恐る中へと進む。


誰もいない。


私は息を吐いた。


廊下も明かりがついていないから、もう少し人が減ったら紛れて逃げ出そう。


――――ガタッ


物が動く固い音。


え?なに?


ガタガタ――-


なにかいるの?


部屋の奥を見る。


大きな木箱がある。


そしてそれが、すこしずつ、すこしずつこっちに……


って、足が生えてる!?

怖っ!怖いってぇ!


これが「ポテト・ミミック」!?


「こぉれぇぇぇとぉぉぉ」


な、なんか私の名前を呼んでるぅ。

知らない知らないっ、私はモンスターに友達いません。


「ぼくだよぉぉぉぉ」


だから、存じ上げません!なんかの詐欺なのっ!?


「コレットォぉぉぉぉぉ」


ぎゃあああああああああ


私は逃げ出そうとした。

けれど捕まえられる。


そして箱の中に引きずり込まれた。


「コレットっ!無事だったんだねっ」


箱の中でハルの声がする。


目を開けると彼の顔が……


「助けに来たよ」


バッシーーーン


私はハルのほっぺたを思いっきり引っ叩いた。


「えええええ、なんでぇえ」


ハルの情けない声。


暗がりに女の子を引きずり込むなんてっ。

怖かったんだからね。


こわか……た、ん、だから……


「え?あ、泣いているの?なんで、なにっ?僕やらかしたっ??」



ハルが、来てくれた。


書置きしたから、誰も来てくれないって思ってたの。

誰も頼っちゃいけないって思ったの。


でも、ハルが、来てくれた。


誰よりも先に――――――



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