表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

113/135

エイプリルフール特別編 ぴえん(フェン)リルナイトの逆襲 ~いや、これ「ぱおん」だよ?~

エイプリルフールですね…


みなさんの鬱々とした朝に、ちょっとした「スパイス」を。


あくまで「ネタ」です。

特定の何かを貶めるものではありません。

ええ、リスペクトしてますとも。





「ふ、ふふふふふふ」


薄暗い部屋。

湯気を立て、気泡がふつふつと湧くフラスコを前にする少年がいる。



「くくく、これがあれば……『奴らに復讐』できるっ」


彼の名はオーレ・マクスウェル。


ハティ・アガートラーム・マクスウェルの養子。

孤児院で育った養子組の中で下から2番目である。


グレーの髪、幼く弱々しい見た目。

「その手」の女性には、どストライクな見た目。


しかしながら、このパーティーでは影が薄い。



「オーレ、ついにできたのか」


後ろに控えていた青年が声をかける。


彼の名前はアルセイス・マクスウェル。


オーレと同じくハティの養子である。

孤児院で育った養子組の三男である。


さらりとした絹のような長髪。

涼し気な目元と端正な目鼻立ち。

街を歩けば誰もが二度見するほどの美青年。

「お耽美」なモノが好きな女性であれば、そのまま挿絵にしてもおかしくはないビジュアル。


だが、彼もこのパーティーでは影が薄かった。


「オーレ、効くのか?相手は『マトモな人間』ではないぞ」


「ふふ、アルセイス、大丈夫だよこの『魔法の薬』は強力さ」


「ほほう」


「たぶん、あのリムアンも一度口にしたら『お願い、ちょうだい』って言ってくるレベル」


「なんだとっ!?」


「ルーダですら『お、オレにもくれ……いや、お願いします。ください』って言うだろうね」


「それは素晴らしい!」


「エリーゼさんなんかメロメロだね。にじり寄って『意地悪しないで、お姉ちゃんにも、ちょ・う・だい』とか何とかいうだろうね」


「それはいい!実に、いいっ」


アルセイスが興奮して声を上げる。


「ちょっと、声が大きいよ」


「す、すまない。つい想像してしまった」


「気をつけてよ。他のメンバーに知られたら計画が台無しだから」


「そうだな、これは日頃『影が薄い』僕たちの『逆襲』の物語だからな」


ふたりは固く握手を交わす。


「ふ、ふふふふ……」

「ふふふ、ははははは……」


『アーッ、ハッハッハァーーー!』


『見ていろよ!一軍ども。僕らが女子連中を跪かせる姿を』


早朝のエルフ集落にふたりの笑い声が響く。




「はぁ、はぁ、はぁ」


「う……」


大柄な青年。スヴェンが荒い息をつく。


そのすぐ傍でポチ(ハル)が唾を飲み込む。


ふたりは全身を汗で濡らしている。


身じろぎをすると顎からポタポタと汗がしたたる。


「す、スヴェン……ぼく、もう……」


「どうした?もう根を上げるのか?堪え性がないな」


ふたりは熱い吐息を漏らす。

それからせわしなく体をゆする。


「スヴェンだって」


そう言ってポチ(ハル)が手を伸ばす。


「う、やめろ。こんな時に」


スヴェンが顔を赤くして手から逃れようとする。


「こんなに、熱くなってるじゃないか」


小さい手ながらも、農作業で固くなった皮膚。

スヴェンの熱い胸板に触れる。


「ドキドキしてるね。本当はもう、限界なんでしょ?」


「う、うるせぇ……」


「言っちゃいなよ。『降参だ』って」


「生意気なっ、ことをっ、言うな」


「ふふふ」


ふたりは体が火照るのも構わずに互いを見て微笑む。



「ひょおおおわあわわわわわっ!」


「キタキタキターーー!」


「待ってましたっ!『筋肉ドーベルマン』と『ポチ』の『サウナ回』!」


今日も「貴腐人」たちは平常運行。


「受け攻めの逆転っ!」


「いや、これが良いんだっ。デカい方が『受ける』のが!」


「いやぁん、いやぁんっ、こんなのいけませんっ、『サウナ』でぇ!『熱中症』になっちゃいましゅぅぅ」


コレットも加わって騒いでいる。


「こ、ここっこのあと、『ロウリュウ』くるんだろっ」


ルーダが鼻息荒く言う。


「そうなのそうなの、それで……『先に出ちゃうの?』ってポチがぁぁぁ」


リャナンが声真似をして呟く。


一同が「ひゃああああああ」と奇声を上げる。

床をドンドンと踏み鳴らす。


(うるさいなぁ……)


その狂態を背にして机に向かうコリガン。

今や彼は「絵師」としてこのBL本……もとい、「聖典バイブル」の片棒を担がされていた。


(ハルぅ、スヴェン……ごめんよぉ)


彼はそっと心の中で「友」と「義兄」に謝った。


「絵師さん、絵師さんっ、できればもっと『汗だく』でお願いっ」


まるで牛丼の「つゆだく」を注文するようにリャナンが言う。


「あ、はい……」


「絵師さん、絵師さんっ、リムは『照りマシマシ』で」


リムアンが「背脂マシマシ」みたいに注文してくる。


「はい。かしこまりました」


コリガンは思う。


(絵師じゃなくて、「壊死」するよ……この貴腐人たちのせいで)



な、なにが起きているっ!?


これは、これは……禁断の「アレ」ではないかっ!


僕、ハル・ロッシェは農作業から戻ってきた。

そして、見てはいけないものを見てしまった。


フィンレーとスヴェンが……


そう、ふたりが畳というフローリングの上で折り重なっている。


スヴェンが下。フィンレーが上。


ふたりは抱き合うようにして体を重ね、足を絡ませている。


「はぁはぁはぁ」


「ぜぇぜぇぜぇ」


荒い息をつく二人。


……

………


「うっ!?」


フィンがうめいた。


スヴェンの胸にフィンは頭を押しつけられる。


スヴェンは右足をフィンの左ひざ裏に絡め、左足は彼の右足の付け根にかける。


「おっりゃぁっ!」


くるんと一回転。


上下が入れ替わる。


「くくく、『受け攻め』逆転だな、フィン」


「まだまだ。下だから『受け』とは限らないぜ、スヴェン」


……うん。パンクラチオンか柔術の稽古だね。


グラウンドテクニックって使う機会あるのかな。


見ていたら、ふたりもこちらに気づいたみたい。


「お?お帰り。ハル」


「お帰り。ハルもやるか?教えるぞ」


「あ~、ただいま……あ……」


そして、僕は気づいてしまった。

もう一人の存在に。


「うむ。良いな。寝技の『構図』はこうか」


めっちゃメモを取ってるティアさま。


「ふふふ、創作意欲がマシマシだな」


何か不穏なことを言ってるよ。


「お嬢様。そろそろ」


ジャンヌさんが声をかける。


「ああ、もうそんな時間か」


スッとティアさまが立ち上がる。


「諸君、私はこれで失敬する。実に勉強になった。ありがとう」


ティアさまが素直に礼を言う。


「いやぁ、お役に立てて何よりです」

「そう褒められると照れるな~」


ふたりは照れくさそう。


知らないのか?気づいていないのか?


これが、あの「禁書」のネタとして「変換」されてしまうことに。


「あ~、どうすっかなぁ」


「腹減ったし、なんか食いもの探すか」


いや、僕は言うまい。

世界の「真実」を。

知らないことが「幸せ」ってこともある。


「そ、そうだね。おやつ探そうか」


ふたりに僕は同意する。





おやつの時間。


頃合いと見たアルセイスとオーレが部屋に戻る。

作戦決行の時だ。


「あ、あれ?アルセイス」


「どうした?オーレ?」


オーレの言葉に、アルセイスが訝しむ。


「ないよ」


「え?『ない』?」


「うん。『魔法の薬』が」


その言葉にアルセイスが愕然とした。


そして、その時だった。


「キャ―――――ッ!」


戸外から悲鳴が上がる。




オーレとアルセイスは慌てて外に出る。


目にしたのは女子チームが輪になって嬌声を上げている場面だった。


そして、その中央では……


「どすこーーーい」


「もういっちょぉぉう」


「のこったのこったぁっ!」


相撲のぶつかり稽古をしているフィンとスヴェンとハル。


「暑いなぁっ、体が火照るぜ」


「僕もだよっ!気合が入るねっ!」


「俺も俺もっ!我慢できねぇ」


三人がバッと服を脱いで、上半身裸になる。


「きゃぁぁぁぁぁっ!」


女性陣が黄色い声を上げる。


「スヴェンっ、行くよ」


「おおっし!こいやぁ」


バシーーーン!


「おりゃぁ」


ゴロゴロゴロ……


「次は俺だぜ!」


「受けて立つぜ!フィン」


ぶつかり合う男たち。

それを見て歓声を上げる女性陣。


「そ、そこだぁぁっ、寄り切れ!」


「もももっ、とぉぉぉ『おっつけ』ろぉぉぉ」


「もろ差し、もろ差しぃぃぃ」


その狂態を見てアルセイスとオーレは事態の原因を突き止めようとする。


「あ……」


今朝つくった「魔法の薬」――――



正式には「リキュール・ボンボン」。



その空箱が地面に打ち捨てられていた。



お酒好きのエリーゼをも陥落させるため、エルフの高級酒を砂糖で閉じ込めた逸品。


外側をチョコレートでコーティングしている。


たとえ、子供舌でも抵抗なく食べられる。



彼ら二人が徹夜で丹精込めて作った……


――「魔法の薬」のようなお菓子。



「あ、ああああああ」



アルセイスとオーレが膝をつく。



それを余所に、女性陣は「相撲」に夢中だ。



「ああ……」


ふたりの脳裏には固く誓った思いが浮かぶ。


「オーレ、僕は地味な自分を変えるんだ。『スイーツの魔術師』と呼ばれてちやほやされるんだ」


「分かるよ。アルセイス。僕も便利屋扱いから『味覚の黄金比を生み出す錬金術師』として脚光を浴びたいんだ」


「お、オーレェえええ」

「あるせぃすぅぅぅぅ」


ふたりは涙する。



目の前では「相撲観戦」に夢中の女子連中。


「ぼ、僕たちの『スイーツで屈服』作戦が……」


「ああ……女子たちの舌を制圧して、欲しがりさんにした上で『もっとキャラ立ちさせろ』という要求をのませる作戦がぁぁぁぁ」


ふたりは手を地について慟哭する。



そんな切実な思いを「世界」は見向きもしなかった。



ただ、ただ「暑苦しくヌルヌル」する「男」たちに「熱中症」だった。



どこからともなく声が上がる。



『うっちゃれ!』



そんな声が、エルフの集落にひときわ大きく響き渡る。



このエピソードは、「本編」とは全く関わりがない「エイプリルフール」のためのお話です。


本日はちゃんと12:20と19:20に「本編」を投稿いたします。


次回、「伝説のSSRモンスター」が出現!?

どうなるハル?どうなるコレット?

そして共和政府本営!?


ぜひご覧ください。


今日も1日、頑張りましょうね。


いってらっしゃい!


理不尽なんか「うっちゃれ」!


(夜勤の方は「おやすみなさい」)



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ