009 防具を発見!
「イリアちゃん、今日も洞窟に行くの?」
「いや、行かない。とりあえず防具を探さないと。」
「うん。それがいいと思うよ。昨日もイリアちゃん村人の服で来たもんね。」
そう、実のところ俺の服は防御力など欠片もない村人の服なのである。英雄だったからと村人の服で魔物と戦うのは我ながら、馬鹿だったと思う。あの時は少しテンションが上がっていたんだ。
それに対してアリスちゃんの装備はというと、まず武器は柏の杖。木製の杖に魔物の魔石が取り付けられている魔法使い用の装備だ。魔力伝導率を良くして、魔法の攻撃力を強化するらしい。
そして、防具は黒のローブを主軸にして、その中に黒のTシャツとミニスカートを着ている。ミニスカートは黒を基調に赤と紫のストライプが入っており、全体的に黒でまとめながら、所々で紫や赤といった色を使っているようだ。
黒いタイツとスカートの間に形成される絶対領域が眩しい。
「アリスちゃんの服いいよね。二日前までは村人の服で仲間だと思っていたんだけど。」
「え?魔物と戦うなら、当然ちゃんとした装備を付けるよ。それに、イリアちゃんも装備持っているよね。」
「あれ?そうだったけ。」
そんなの俺が知るわけないだろ~~~~。ってのもアリスちゃんが知るわけないしな。え~、イリアさんあなた装備持っていたんですか。どこにあるのか知らないんだけど。家の中漁った方がよかったかな?
ま、まぁ、終わったことは仕方ない。とりあえず、防具の問題は済んだということか。でも、折角買い物に出かけるなら、アクセサリーでも見に行くのがいいかな。
「あはは、忘れてたよ。今日はアクセサリーでも見に行く?」
「アクセサリー?この村にアクセサリー屋なんてないよ。街には魔法効果付きのアクセサリーも売っているんだってね。」
「あ、あはは。そうだった。」
俺のバカ。ただ墓穴を掘っただけじゃないか。そうだよな。ただの村にアクセサリー屋なんてあるわけないよな。当たり前だ。
どうしよう。もう今日の予定ないんだけど。このまま洞窟に行っちゃうか?
「もう、しっかりしないと。とりあえず、イリアちゃんの装備を探しに行こ。」
「あ、うん。そうだな。そうするか。」
そう言うことになった。何故か自分の家だけど、アリスちゃんに先導されるようにイリア家に向かうのだった。
家の位置はアリスちゃんに教えてもらったから、ちゃんと案内出来るんだけどな。
「お邪魔します。」
「あら、アリスちゃん。いらっしゃい。」
「ただいま。」
「イリアもおかえり。あんたがアリスちゃんを連れてくるなんて珍しいわね。」
「あ、うん。まぁ。」
出迎えてくれたのは肝っ玉お母さんである。明らかに俺の様子がおかしいのは分かっていると思うけど、大雑把な性格なのか悉くスルーされている。
いや、まぁそちらの方が都合がいいからいいんだけどさ。でも、あまりにもスルーされるから逆に恐ろしいまである。アリスちゃんといい、お母さんといいこれが田舎の村人クオリティーなのか?
「あんたどうしたのよ。アリスちゃんをしっかりもてなしなさいよ。」
「分かってる。部屋こっちだから。」
「うん。流石にイリアちゃんの部屋までは案内出来ないからね。」
そうだよね。ってか、家もちゃんと着けたからね?本当だよ。昨日もちゃんと一人で家に帰ったし。アリスちゃんの中で俺はどんな扱いになっているんだ?
聞きたいような、聞きたくないような。どちらとも言えないが、とりあえず部屋の位置は流石に知らないようだから、ちゃんと誘導しなきゃ。
「わっ、ここがイリアちゃんの部屋なんだね。可愛い部屋だね。」
「う、ん。可愛いよな。」
俺も二日前には驚いたものだ。だって、あまりにも女の子女の子しているというか、可愛らしすぎたんだから。俺には結構きつい部屋だよ。
リボンとかフリルとかがベットやらカーテンにふんだんにあしらわれていて、白、黄色が主だからましだけど、これでピンクがメインだったら気が狂っていたよ。
怖くてタンスの中開けられていないんだよな。おそらく、村人の服が入っているだけだろうけど、どうにも恐ろしくて開けられなかった。
「こういう部屋にも憧れるなぁ。私の部屋はもっと暗いから。」
「え、そっちの方が落ち着いてていいと思うけど。うちの部屋は目がチカチカしてきついというか。」
「イリアちゃんがコーディネイトしたんだよね。」
「あー、まあそうだけど。趣味が変わったんだよ。うん。」
暗いとは言うけど、絶対にアリスちゃんの部屋の方がいいと思うよ。なんなら引っ越したいくらいだから。てか、部屋を模様替えしてくれないかな。
そんな部屋の話をしている場合じゃなかった。イリアの防具は何処にあるのか。普通に考えたらタンスだよなぁ。
「それより、防具だよ。多分ここだよね。」
「そうだね。タンスに入っていると思うよ。」
「じゃあ、開けるよ。」
ゴクリ。恐怖から開けられなかったタンスよ。今から開けます。どうか非情な現実が待っていませんように。いざ、オープン。
お、おぉ。普通。村人の服が掛けられていて、その横に防具らしきものが。今のところ白と青の生地しか見えないから、可愛らしすぎるということは無さそうだけど。
「それだね。」
「ああ、これだ。よしっ。」
その防具を取り出してみると、なんとアリスちゃんとの色違いではないか。こちらは黒の代わりに白を基調とされているようで、ミニスカートは青と黄色のストライプ。
ローブの代わりにケープマントを用いられており、動きやすさに割り振られた装備と言えるだろう。
ミニスカというのがなければ最高なのだが、そこは何とも言い難い。それともう一つ。ガーターベルトなるものが見えており、これを俺が着るのかと思うと今から恐怖で頭がいっぱいになる。
他人の絶対領域を見るのはいいが、自分が形成するとなると……地獄だ。
「んふふ。何度見てもイリアちゃんの装備はカッコ可愛いね。」
「う、ん。そうだね。悪くない装備だとは思うけど、ズボンだったらなぁ。」
「え~、イリアちゃんはミニスカートだよ。肌も綺麗なんだし。」
「は、ははは。でもなぁ。」
「これ、私とのペアルックなんだけどなぁ。そんなに嫌?」
え?それは卑怯じゃない?そんな悲しそうな表情を浮かべられたら、どうしようもないよね。嫌とは言えないじゃん。これ、着るしかなくなるじゃん。ま・じ・か。
赤い瞳をウルウルさせてこっちを見ないでくれ。もう、逃げ場がないではないか。
「うぇ?そんなことないよ。アリスちゃんとお揃いなんて嬉しいなぁ。」
「んふふ。よかった。明日はちゃんと着て来てね。」
「はい……。」
明日が地獄なのが確定しました。なんて恐ろしい子。流石悪魔族。その悪魔的な所業はアリスちゃんが歴とした悪魔族の証明だよ。
はぁ、明日ミニスカのガーターベルトか……。死ねるな。




