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英雄賛歌 ~前世の力で今世は楽しみます~  作者: 如月
第一章 英雄、転生する
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014 続!対人戦

 土の壁に隠れた魔法使いをどうにする術を俺は持っていない。故に魔法使いは戦場に居ないものとして、前衛を先に片付けることにする。

 とりあえず、倒す順としては槍使いの次に剣と盾使いといったところだろう。ちょくちょく来る土属性魔法による嫌がらせの最中、二人を相手取るのは中々厳しいのは確かだが、こういう手合いにもやりようというのはあるものさ。

 まず、大原則として相手の前衛との距離を詰め続けることだな。これにより相手の土属性魔法による嫌がらせを妨害しようというものだ。仲間を巻き込みかねないのは明確な弱点だからな。


「ふっ……!!」

「っ……。」


 で、俺は剣と盾使いの相手だ。足を止めてじっくりと戦う相手なため、無駄に足を動かす必要がなく、体力消耗を抑えられる。かといって、あまりに温い攻撃をしていて反撃されると困るから、そこはバランスだな。

 ほどほどにいい攻撃をしてやると、盾の扱いに集中してそちらに意識を偏重させることが出来る。これで剣による攻撃を最小限に済ませられるのだから楽なものだ。

 そして、その間に槍使いをどうにか仕留めないといけない。回り込もうと動く槍使いに牽制しながら剣と盾使いに攻撃するのは手間である。その内痺れを切らして甘い攻撃を繰り出してくれるだろうから、それまでは待ちだな。


「“クレイホール”。」

「くっ……らっ!!」

「なっ……くそっ。」


 くそが。やっぱり魔法使いが一番厄介だな。最初から土魔法属性を使えると知っていれば魔法を発動させる前に終わらせていたのに。そうじゃないから、足元に穴が急にできて足を取られる。

 剣と盾使いが上手く合わせたのは流石と言う他ないけど、槍使いとの位置が悪かったな。これで槍使いにも同時に攻撃されていたら相当にきつい展開になっていただろう。

 今回、盾で剣による攻撃を防ぐだけで済んだのはいい。バランスは崩されたものの、相手の追撃を抑制できたし、まぁ結果オーライだ。これで魔法使いの穴も利用出来たらより良いんだがな。

 仕方ないから手札を一枚切るとするか。小細工の類だから一度しか効果はないし。とはいえ、これなら使っても選択を突き付けられるから問題ないと言えばそうだからな。


「フラッシュ。」

「っ……!!」


 目を閉じたな?そう、魔法名を宣言しながら、魔法を発動しない。これがまぁ強い。特に先ほど痛い目を見た魔法なら尚更だろう。

 ぎゅっと身体を固めた剣と盾使いの首筋に剣を添える。これで一人脱落である。本当なら我慢できなくなった槍使いを先に倒そうと思っていたんだけど、これはこれでいいだろう。

 さてはて、槍使い君はここからどう挽回するのだろうかね。今のところいいところなしだよ。


「ちくしょー。」

「お前っ……!!」


 はぁ、マジ?ただ激情に任せて突っ込むだけ?なんだかなぁ、詰まらない結末を迎えさせるなよ。ほら、また盾を構えるだけで……!!


「ふっ……。」

「ちっ……やったな!!」


 くはははは。最高じゃん。俺のやったことをそのままやり返しやがった。激情に任せたと思いきや、酷く冷静な攻撃。危ないな。気づくのが遅れたら有効打を取られていただろうに。

 それに、先ほどより威力はないものの速度はそのままで、手数の多い突きの連撃。盾で防いでいるものの、こちらから反撃が出来ないでいる。

 このまま防御しているだけではジリ貧だろう。魔法使いもこちらのタイミングを見計らっているみたいだし、ここで立ち止まり続けるのは愚の骨頂。でも、無理に押し通そうにも相手の方がリーチが長いしな。


「くくく、楽しくなって来たなぁ。」

「良かったな。このまま倒れてくれると嬉しいんだがな。」


 馬鹿言え、ここからが楽しいところだろうに。俺も防ぎ続けるだけなのはつまらない。ぼちぼちちゃんとした剣術というのも見せてやろうか。

 今までのが下らない小手先の技ばかりだったからな。明確な技量の差というのを見せつけてやるのも一興。ま、今からやるのも小手先の技と言えばそうなんだがな。


「さて、瞬きもせずよ~く見ておけよ。」


 ここからは盾はいらない。槍使いの攻撃を盾も構えずに自然体で受け入れる。胸に向かってくる突き攻撃。その槍が通る導線の先に剣を置く。

 槍の刃と剣の刃が衝突して凄まじい金切り音が鳴り響くのも構わず、身体を半身ずらして前進態勢を取る。すると、槍使いの少年は態勢を崩しながらも槍を自分の手元に収めようとする。

 ここまでは盾によるパリィと同じ状況。ここで相手を倒すことも容易いものだが、それでは面白くない。では、何をするか。ニヤリと笑みを浮かべながら槍使いの方を見ると、なんと情けないことか。もう負けたような表情を浮かべているではないか。


「よっと。」


 そんな気概ではこの技は止められないぞ。態勢を崩し、気持ちでも負けている。そんな少年は一切の抵抗は出来はしまい。

 バランスを崩しているということはつまり、力を適切にかけられないということ。気持ちで負ければ力なんぞ出るわけもない。

 なら、槍の先と棒のつなぎ目に剣を絡ませてやれば、無理に力をかけるまでもなく槍を絡み取ることが出来る。相手の武器を奪い取るこの技。武器使いにとっては涙目ものだな。


「ぁ……。」

「ほら、これで負けだな。」


 さて、ここからは魔法使いとの闘いだ。ということで、こちらも光属性魔法を解禁するとしよう。とはいえ、俺の覚えている光属性魔法は対人戦に有効なものばかりではない。土壁を壊すぐらいにしか使えないだろう。

 唯一、真面に対人戦で使えるのってフラッシュくらいだしな。とはいえ、いくつか新しい魔法も覚えたし、折角だから使っていこう。


「“ライトアロー”、“ライトブロー”、“ライトカッター”。」


 光の矢による攻撃に純粋な光属性攻撃。なんか光っているようにしか見えないけど、確かにダメージを与えている不思議魔法だ。それと光の刃による攻撃。まぁ、これは初級魔法と呼ばれるような魔法たちだな。

 これにさらにライトヒールなる回復魔法とフラッシュ。ライトエンチェントという武器に光属性を付与する魔法。これが俺の使える魔法たちだ。おそらくもうすぐ中級魔法まで使えるようになる気がするけど、まだ使えない。

 で、魔法使いさんはどーこだ。ほら、土の壁が崩れちゃってるよ~。その穴からこんにちはと。


「はぁ、参ったよ。」

「あれ、もう降参するんか。」

「ここから逆転は無理だからな。ちっ、今回は俺たちの負けだ。覚えてろよ。」

「「覚えてろよ~。」」


 あらら、対人戦は俺の勝利で終わったらしい。魔法使いさんあんま戦ってないよな。もっと積極的に妨害されたら鬱陶しかったと思うけど、勝てたからよしだな。

 よし、いい気分のまま帰ろうじゃないか。明日は洞窟の奥深くに向かう予定だからな。いや~いい運動になったぜ。




 と家に帰った後、寝る前に剣のことを調べるのを忘れていることに気が付き、不当な怒りを少年たちに向けたのだった。

 名も知らない少年たちよ。やってくれたなぁ~~~~。

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