第2話 公爵令息たちへの根回し
当面、こちらの作品は駆け足で行きます(`・ω・´)
長編にはならない予定なので、できるだけ素早くオチつけます。
アルテリオ王国には、御三家とされる三つの公爵家がある。
現王ジョーデルは、そのうちの一つ、クーラント公爵家の出である。
幸か不幸か、火元の公爵家ではない。
もっとも、王である以上、生家ではないからと言って他人事では済まされない。
リヒャルトは、早々にこの二公爵家の令息と会う手はずをつけた。
というよりも、ジョーデルに召集をかけさせた。
即日召集とはいかないため、その間に、兵士など諸々の手配を進めながら――
そして、リヒャルトは二人の令息と王城の応接間で向かい合っていた。
「リヒャルト君、一体どういうことかな?」
黒髪の青年が、抑揚のない声でリヒャルトに尋ねた。
リヒャルトは即答した。
「あなたたちの火消しを僕がすることになったんですよ。リード様?」
「あの件かよ……」
もう一人の金髪の青年がこめかみを押さえた。
リヒャルトは、金髪の青年に目をやって、苦笑交じりに言った。
「あの件ですよ、カイル様?まったく最高の――コホン、最悪な火種を投げ込んでくれましたね。」
リヒャルトの言葉に、黒髪の青年リードと、金髪の青年カイルは頭を下げた。
「「面目ない……」」
「もう把握していますが、挙兵している家もいくつかあります。最悪の場合には、被害が出ます。お二人にはそれを黙認するように働きかけていただきます。」
リヒャルトが淡々と言うと、リードが難色を示した。
「だがしかし……」
「駆け引きできる立場でも、状況でもないことは認識していますよね?」
リヒャルトにきっぱりと言われたリードは、カイルから肩に手を置かれた。
そして、ため息をついた。
「はぁ……仕方ない。私たちも、辞書の再編纂のために国が割れることなど望んでいないし、小競り合いの長期化など以ての外であることはわかっているよ。」
リードが諦めたようにそう言うと、リヒャルトはうなずいた。
「まったくです。――公爵家を筆頭とする二つの派閥が小競り合いを起こし、その争いが深刻化しているとなれば、周囲の国も黙ってはいませんからね。」
「そうだな。――だからといって、オレたちが止めるわけにもいかない。」
カイルが苦笑しながらそう言うと、リヒャルトは肩をすくめた。
「ええ。両公爵家には、派閥に対する影響力を保持してもらわなくては。」
「不本意ながら、"鉄の剣"か"鋼の剣"か、どちらが登録されるかに、派閥の威信がかかってしまったからね……」
リードが肩を落としながらそう言うと、リヒャルトは苦笑した。
「――まあ、僕も不幸な事故だとは思っていますよ。まさか、材料論に基づいて妥当性を議論していたら、それが派閥の意思になるだなんて。」
「想像の斜め上を行ったことは確かだな。――まあ、そればかりともいい切れないけどな。」
カイルが肩をすくめると、リヒャルトはうなずいた。
「ええ。二つの派閥はうまく制御されてきました。――あまりにもうまく。」
「そうだね。派閥の代表である我々の家がうまくやっているからといって、成員が互いにうまくいっているとは限らない。」
リードが何度もうなずいてみせると、リヒャルトは言った。
「ええ、留飲を下げるためにうまく使われましたね。――まあ、おかげで不穏分子をあぶり出せたともいえますが。」
「……派閥の長として弁護しておくよ。彼らも国を想う心はある者たちなんだ。」
リードが苦笑すると、リヒャルトはうなずいた。
「ええ、それでいいと思います。僕は自分の仕事の邪魔をされなければいいので、その範囲で、良き派閥の長でいてくださいね。」
「なかなかいってくれるね……」
リードとカイルは、リヒャルトにジト目を向けた。
公爵令息たちが無能だったらどれだけよかったでしょう……
と、言いたいところですが、特にいいことはありません。
派閥の長が憎まれても、小競り合いが止まるわけではありませんので……
むしろ、長がまともな方が、戦記としては悲劇っぽくなりそうですから(`・ω・´)




