魔法世界のメイド
魔歴819年、世界は魔法を中心に回っていると言われるぐらいの魔法世界となっていた。魔法が使えない人間は価値がないと言われ、魔法が使えれば十分生きていける。魔法が上手ければ平民でも貴族並みの地位を手に入れることすら可能。そんな世界。
私、ロール・ハーレンはそんな世界でメイドをしている。主人を守るために命をかけている。命令されれば死ぬことも厭わない。それほどの忠誠心がある。そんな私は今日も主人のために働いていた。
私が忠誠を送っている主人、スノー・ハーレン様は世界的に見てもかなりクセのある性格をしている。そのため屋敷に存在する従者も少数精鋭だったりする。そんな中でも私は従者をまとめる立ち位置にいる。実力と忠誠心を認めてもらえた結果でもある。でもそんな私の生活はかなり大変だ。
まず5時に目を覚まします。そこから15分程度で着替えや身なりを整えます。なりたての子なら40分程度はかかるでしょう。次に屋敷の見回りです。少数精鋭とは言えかなりの人数の従者がおり、尚且つかなり広いため見回りは必ず行う必要があります。見回りが終わる頃には6:30を回ります。そこから主人の朝食の用意を行います。料理に関しては私の仕事内容ではないためそうそう行いません。料理担当の従者は料理長の指示に従い6時前から調理を始めます。そして7時…
「ふぅ…」
毎回この時だけは慣れない。だがこの仕事を誰かに任せることはできない。これだけは私の特権…
私ゆっくりと目の前の扉に近づきノックをする。
「ロール・ハーレンです。」
「入っていいぞ」
透き通った声が響く。その声が私に向けられて発せられていると思うだけで忠誠心が溢れ出しそうになる。それを抑えながら中に入る。
「失礼します。まもなく朝食の用意でできるの…で…」
ゆっくりと頭を上げながら話す。頭を上げきり、目の前の光景を見た。ここは天国か!寝起きだからかいつもは綺麗な長い髪もボサボサになり、服もはだけ、肩が露出している。綺麗な目も目を細めて、まだ眠いと訴えている。その全てが…
「グハッ!」
「え!」
その素晴らしさに感激を受けて、鼻から忠誠心が溢れてしまった。
「ちょっと!こんなところで鼻血出さないで!」
焦りながらもスノー様が心配してくれる。急いで私の近くに近づき背中を触ってくる。その行為一つ一つが更に私のたがを外していく。その小さな手が私の背中に…この人は私に襲われたいのだろうか。でもそんなこと許されない。私はなんとか意識を手放さなかった。
「す、すみません…スノー様がとてつもなくえろ…ではなく、とてつもなく忠誠心をそそられるような格好でしたので忠誠心が溢れてしまいました。」
「毎回毎回忠誠心〈鼻血〉を溢れさせるのやめてよね。後片付けはロールが自分でやってるからいいんだけどさ…はぁ…まあいいや。着替えるから出てて」
「え、いえ!私は従者の統括にしてスノー様の護衛ですので、」




