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第4話 腹黒王子(仮)襲来!初めての外交バトルは、笑顔と冷や汗マシマシで!


翌朝。

私の胃は、昨夜からシクシクと抗議活動を続けている。

だって、いきなり「明日、ラスボス来ます」って言われたようなものじゃないのよ!


「アリア様、お顔の色が優れませんわ。せめて、こちらのカモミールティーだけでも……」

セーラが、心配そうに私を覗き込む。

うん、カモミールティーもいいけど、今の私に必要なのは、鋼の心臓と、最強の仮面パワーよ!


「大丈夫よ、セーラ。今日のわたくしは、向かうところ敵なしですわ!」

(……なんて、口が裂けても言えないけど!)


お気に入りの一番高そうなドレス(お母様のお下がりだけど)に身を包み、

そして、我が心の友『領主の仮面』を装着!

よし、これで戦闘準備は万端よ!


アクアティア公国の謁見の間。

上座に座る私の前には、ネプトゥーリア王国からの使節団がずらりと並んでいる。

その中心にいるのは……。


(うわぁ……顔だけは、無駄にキラキラしてるわね……)


噂のネプトゥーリア王国第二王子、テオン殿下。

陽光を反射して輝く金髪に、宝石みたいな碧眼。

絵に描いたような王子様スマイルを浮かべているけれど……。

その瞳の奥は、ぜんっぜん笑ってない!

これ、前世の職場でよく見た、「ニコニコしながら無茶ぶりしてくる上司」の目だわ! 絶対、腹黒いタイプ!


「これはこれは、アリア公女殿下。お噂はかねがね伺っておりました。

 実際にお会いできて、光栄の至りでございます」

テオン王子が、それはもう甘く蕩けるような声で挨拶してくる。


(ひぃぃ、近い近い! そんなキラキラした顔で近づかないでほしいんですけどぉ!)

仮面の下で、私は必死に平常心を装う。


「テオン王子こそ、ようこそアクアティアへ。長旅でお疲れでしょう」

(完璧な淑女スマイル! 今の私、きっと聖母みたいに見えてるはず!)


そこから始まったのは、まさに外交という名の言葉のプロレス!

テオン王子は、にこやかに、しかしねちっこく、

「アクアティアの素晴らしい港の共同管理」だの、

「我が国の進んだ技術による資源開発のご支援」だの、

どう考えても「お前らの国、丸ごといただくぜ!」って言ってるのと同じような要求を、

それはもう、オブラートに何重にも包んで突き付けてくる。


(こ、この腹黒王子め……! 言葉巧みに私を丸め込もうったって、そうはいかないんだからね!)

(だって私には、フィンレイ様が昨夜叩き込んでくれた、「外交問答集・対ネプトゥーリア編」があるんだもの!)


「王子のお申し出、大変光栄に存じますわ。

 ですが、我が国には古より伝わる『重要な盟約』がございまして……。

 また、我が国の海には、まだ公にしていない『特別な恵み』も眠っておりますの」

(どうだ! 昨日の「何か」を、早速チラつかせてやったわよ!)


テオン王子の眉が、ピクリと動いた。

隣に控える、いかにも「切れ者です」って感じの女性補佐官も、鋭い視線を向けてくる。

うっ、怖い……でも、負けない!


「ほう、『盟約』と『特別な恵み』、ですか。それは興味深い。

 よろしければ、もう少し詳しくお聞かせ願えませんか?」

王子の碧眼が、妖しく光る。


(きたきたきたー! ここで詳しく話しちゃったら、相手の思うツボなのよね!)

(ここは、もったいぶって、じらして、相手の想像力を掻き立てるのよ!)


「あら、王子様。それは……まだ『秘密』ですの。

 ふふっ、我が国の『切り札』は、そう簡単にはお見せできませんわ」

(完璧! 今の私、小悪魔的魅力に溢れてなかった!?)


一進一退の攻防が続く。

フィンレイ様が時折、絶妙なタイミングで助け舟を出してくれ、

カイ様が、背後から無言のプレッシャーを王子にかけてくれているおかげで、

なんとか、ギリギリのところで持ちこたえている私。


(もうダメ、胃が痛いし、仮面の中、汗だくだし、早く帰りたい……)


そんな私の心の叫びが通じたのか、

テオン王子は、ふっと笑みを深めると、こう言った。


「いやはや、アリア公女殿下。あなたは実に……興味深いお方だ。

 本日はこの辺にいたしましょう。

 ですが、この話の続きは、ぜひ今宵の晩餐会で、ゆっくりと」


「ば、晩餐会ですって!?」

思わず素っ頓狂な声が出そうになるのを、必死で飲み込む。

うそでしょ、まだ続くの!? この腹黒王子との戦い!

しかも、晩餐会って……私、テーブルマナーとか、絶望的なんですけどぉ!

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