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異世界でレベルを上げられるようになった俺、現実世界で最強になる  作者: 絢乃


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039 初めての授業

 毎週月曜にしか行われない帝栄の授業。

 又の名を訓練。


 それがどんなものか、学生たちは楽しみにしていた。

 一様に、まだ見ぬ授業に想いを馳せていた。


 しかし、内容が公開されると反応は二分された。

 56人の生徒は歓喜し、ソウマPTの4人は落胆したのだ。


「これって私らがいつもやってることじゃん!」


 マイが言った。

 場所は――上級訓練室。

 授業とは、この場所で活動することだったのだ。


「しかも負荷レベル2よ。私たち、いつも3なのにね」


 レイカも残念そうだ。

 彼女とマイは、キャッチボールをしていた。

 野球用のグローブを着けて、硬球を模した鉄球を投げ合う。


「きっつ……! これが上級訓練室か……!」


「神代たちはどうしてあんなに平然としていられるんだ」


「あいつらは普段、負荷レベル3でやっているらしいぜ」


「レベル2でこれなのにレベル3とかやばすぎるだろ……!」


 他の生徒は、ひぃひぃ言いながら過ごしていた。

 初めてこの場所を利用したときのシオンほどではないが、それでも大量の汗をかいている。


「たしかに拍子抜けしたが、よくよく考えると上級訓練室での活動になることは明らかだったよな」


「この学校で最も効率良く総合力を高められる施設だもんね」


 ソウマとシオンは、訓練室内の弓道場で弓の練習をしていた。

 用いているのは、俗に「ショートボウ」と呼ばれる小型の弓だ。

 扱いやすい反面、射程距離や威力は一般的な和弓に劣っている。


「それにしてもシオン、上達速度が凄まじいな。既に実戦レベルじゃないか?」


「まだまだだよー。実戦だと動き回る必要があるから、こんなに上手くは扱えないよ」


 ショートボウは、シオンが新たな武器に検討しているものだ。

 召喚獣に前衛を任せて、後方から射撃で援護するコンセプトである。

 本人も攻撃に加われる手段としては悪くないアイディアだ。

 ただし、欠点があり、そのことをシオンが口にした。


「弓を使うと召喚獣の能力が大きく下がるから、しばらくの間は杖がメインの武器になると思う」


「そうか。杖は魔法の効果を高めるんだったな」


「だから、弓を使うならよほどの腕前じゃないと厳しいかな。あくまでオプションの一つだよ」


「なるほどな。マイみたいにマジックグローブを使うのはどうなんだ? それなら魔法の威力を高めつつ、弓も扱えると思うけど」


「ソウマくん、それすごくいいと思う! でも、マジックグローブには装備制限があった気がする。覚えていないけど……」


「マイが武器を装備していないところを見ると、たしかに何かしらの制限がありそうだな」


「あとでマイさんに詳しく聞いてみるよ。問題がなければマジックグローブと弓の組み合わせにしてみる!」


 シオンが「ありがとう」と嬉しそうに笑った。


「シオンって、この一週間でずいぶんと明るくなったよな」


「そう?」


「最初はもっとビクビク怯えている感じだったぞ」


「人見知りだから、慣れるまでに時間がかかるの。ソウマくんとはいつも一緒に訓練してきたから、もう緊張していないの」


「なるほどな」


 と言いつつ、ソウマは思った。


(慣れただけじゃなくて、自信がついたというのもありそうだな)


 上級訓練室を使うようになってから、シオンは格段に成長していた。

 マイやレイカに比べて総合力の伸びが良く、一週間で70近く増加していた。


『今から負荷レベルを3に上げる。活動はそのまま続けるように。ただし、一瞬でも立てない状況に陥ったものは、すぐさま訓練室から出ること』


 開始から一時間が経ったところで、訓練室内にミレイの声が響いた。

 彼女は監視室から全員の状態を眺めていた。


『始めるわよ』


 その言葉と同時に、負荷レベルの引き上げが行われた。


「な……なんだ……この負荷……!」


「無理だ……! ぐっ……!」


 早々に数名の生徒が脱落する。

 もちろん、ソウマ、シオン、マイ、レイカの4人は余裕だ。


「やっぱりこのくらいの負荷はほしいよね」


「俺にはレベル2とレベル3の違いがよく分からないけどな」


「あはは、私は結構きつきつだよー」


 ソウマとシオンは変わらず弓の練習を続ける。

 どちらの顔も涼しげだ。


「どうなっているんだよ……あいつら……」


「神代はともかく葉月まで……!」


 レベルが3になってから一時間経つと、再びミレイの声が響いた。


『負荷レベルを4に引き上げるわ。既に苦しいものは訓練室から出るように』


 レベルの引き上げまでに数分の猶予が設けられる。

 その間に、多くの生徒が降参して訓練室を出た。

 残っているのは、ソウマPTの4人と他に数名だけだ。


「ソウマくん、私も念のために出入口付近に移動しておくよ」


「分かった」


 ソウマとシオンは弓道場を出て、テニスコートに向かった。

 ちょうど二人がコートに着いたあたりでレベルが引き上げられる。


「うっ……!」


 シオンの顔が歪んだ。


「大丈夫か?」


「大丈夫……だけど、たぶんこのレベルでリタイアだと思う」


 言葉通り、シオンは10分ほど粘った後に出ていった。

 その頃になると、残っていたのはソウマ、マイ、レイカの3人だけだった。


「早く……出ていったらどうよ……! はぁ……はぁ……! この……変態薙刀女……!」


「あんたこそ……! 出て行きなさいよ……! 私は……ソウちゃんとイチャつくから……! はぁ……はぁ……!」


 マイとレイカは、汗だくになりながら鉄球のキャッチボールを続けていた。


「だいぶ辛そうだな」


 ソウマは二人に近づいた。


「むしろ……なんで平気なのよ……」


「さすが……ソウちゃん……すごい男ね……」


 次の瞬間、マイとレイカは同時に片膝を地面についた。


「もうだめ! 無理!」


「私も……!」


『逢坂、百瀬、訓練室から出るように』


 スピーカーからミレイの言葉が響く。

 二人は指示に従い、汗を垂らしながら出ていった。


「残ったのは神代だけか」


「分かってはいたが、やっぱりアイツは別格だな」


「何レベルまで耐えられるんだ?」


 訓練場の外で、生徒たちがソウマを見守っていた。


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