第32話 『召喚獣』と『混ざり物』
私は女性なのでわかりませんが、男性が自分の事を「女顔だ」と言われると、どんな気持ちになるのでしょうかね?
ミヤちゃんやシフトの傷もある程度癒え体力も回復したため、俺たちは首都レンタオを出発した。セツナの計らいで、東の国境まで馬車を出してくれたのである。多分、病み上がりのあの二人を気遣ってくれたのだろう。
…野郎にしては、気が利く奴だ
感謝の念と共に、俺はふとそう考えていた。
「そういえば、1週間近くこのレンフェンにいたけど、いろんな場所を回らないで終わっちゃったね!」
シフトが陽気に話し出す。
「はは…なら、今度機会があったら、俺が観光案内してやるよ!」
「あら、それは名案!レンフェンの料理は美味しいから、美味しいお店とか教えてほしいし♪」
「ソエル…」
ミヤちゃんが少し心配そうな表情をしながら、ソエル姉さんを見上げる。
「やぁねぇ!もう私は大丈夫だから!!」
笑顔で言う姉さんは、そう言いながらミヤちゃんの背中をたたく。
「痛っ…!」
「きゃっ、ごめんなさい!」
「ソエル姐さん!ミヤちゃんはまだ傷が塞がったわけじゃねぇんだから、あまり強くたたくなって!!」
俺が姐さんに、軽く注意した。
そして、俺達5人を乗せた馬車は東の国境まで向かう。そして、レンフェンの東の国境を抜け、再び俺達は無法地帯に降り立った。
「れ…レンフェンの北部ほどではないが、やはり世界地図では結構北の方だから寒いな!」
セキが身体を震わせながら言う。
「な、なんか、ミヤとソエルも薄着なのに、全然寒がっているように見えない…なんで?」
「私はしょっ中この辺りを通過しているから、慣れているの!」
「…ミヤちゃんは…?」
俺が彼女に尋ねた。
「え…?ああ…まぁ、私も何度かここより寒い場所を通った事があるから…」
少したどたどしいかんじで、俺の問に答えた。
いつも冷静な彼女がボンヤリしているとは、珍しい事もあるもんだな…
「でも…もう少しで到着するわ…ほら!」
俺達の視線の先には、いくつかの諸島が見えた。
しかし、浅瀬とはいえ、どの島々も海に囲まれている。ここからあそこまで、どうやって行くのだろうかという疑問が浮かぶ。
「しつこいようかもしれないけど…これから行く行き方は…他言無用だからね!」
「へいへい…」
ソエル姉さんは、俺たち4人に向かって念を押していたが、俺一人に言っているようにも聞こえた。
俺、これでも口は固い方なんだけどな…
信用が足りないのかと思うと、少し残念な気分になっていたのである。
※
僕たちは、秘密の地下道みたいな場所を延々と歩く。長時間歩いて疲れだしたころに、ソエルが住むカルマ族の隠れ里・ヴァラに到着した。地下を歩き続けたから、地下深くに存在する村かと思っていたが…すごい不思議なかんじで、なんとここは巨大な岩山の中だそうだ。
確かに、空を見上げると―――――壷の蓋近くみたいに広くはないが、青空がくっきりと見える。そして、村人たちの家屋は、その山に沿って建てられている。要は、崖に沿って家が建っているようなものだ。
「すごいすごーーーい!!!何だか、ここだけ別世界ってかんじ!」
「あはは、シフトったら…別に大したモノではないわよ!」
苦笑いをしながらソエルが言うのに対し、ミヤやセキも感嘆の意を示していた。
「…でも、何だかすごい神秘的な雰囲気…」
「思いのほか、空気も澄んでいるしな!」
僕を含め、皆が思い思いの感想を述べる。
そういえば、感激していて周りに目がいってなかったけど…よく見たら、村の人達の視線が僕らの方向に向いているような…
僕は歩いているさなか、居心地わるい気がした。
「気にするな、シフト。…おそらく彼らが見ているのは、俺だと思う…」
僕が周囲の視線を気にしているのを悟ったセキが、低い声で呟いていた。
確かにそんなかんじもするが…それでも、僕に対する視線もちらほらある…気のせいかな?
周囲の視線を気にしつつも、僕たちは歩き続ける。
「こんにちはー!!」
ソエルがとある民家の戸をガラリと開ける。
…ノックぐらいしようよ…
心の中でツッコミを入れる僕であった。
「は~い!!…って、もしかしてあんた、ソエルちゃん!?」
中から60歳近いおばさんが出てきて、僕らを出迎えた。
「ソエル、ただいま長期のおつかいから帰りました!…小母さん、グライドの奴いる?」
「あー…ごめんね、ソエルちゃん。あの子、さっき出かけたばっかりなのよー…」
「そうですか…。あいつにお願いしたい事があったんだけどな…。ちなみに、いつ頃帰ってきますか?」
「そうねぇ…遠出じゃないから、今日の夜には帰ってくると思うわ!」
「ありがとうございます!じゃあ、あいつが帰ってきたら私の事を伝えてください!」
そう言って、ソエルはその小母さんと別れた。
「ソエルの幼馴染…グライドって奴が帰ってくるまでは、あのDVD-ROMのパスワード解析が難しいかんじ?」
セキが彼女に訊ねる。
「そうなの、ごめんね…代わりと言っちゃあなんだけど、私のお爺ちゃん…この村の長老に会ってほしいんで、それで時間を潰しましょ♪」
ソエルが苦笑いをしながら提案してきた。
そして僕達は、ソエルの父方の祖父にあたるこの村の長老に会いに行く事にした。
「数ヶ月ぶりって所かな?お爺ちゃん!」
「おお、ソエルか…。長旅、ご苦労じゃったのう…」
“長老“と言われるだけあり、このお爺さんが100歳近くいっていて、且つ年長者の威厳みたいなモノが感じられる。
「皆!この人が私の祖父であり、この村の長老シノン・カーブジケルだよ」
「セキ・ハズミと申します」
「おお、そなたがシガラミ皇帝の倅…。先日届いたルーティーからの文により、話は聞いておる…。ここはそなたの命を狙うような者達はおらんので、ゆるりとされよ…」
「あ…ありがとうございます!」
長老の台詞に対してセキが少し嬉しそうな表情をしながら、頭を下げた。
あれ?という事は…ルーティーさんは僕らに初めて会った時から、セキがレンフェンの皇子だって知っていたって事!?
ミスエファジーナで会っていた時、ルーティーさんはそんな素振り一つとして見せていなかったため、動揺を隠せなかった。
…何というか、僕の周りって優秀な人が多いな…
そんな事を考えていたら、自己紹介が僕の出番となっていた。
「はじめまして!僕はシフト・クレオ・アシュベル。よろしくお願いします!」
僕は元気に自己紹介をした。
すると、シノンさんの表情が険しくなる。
「お主……」
一言呟いたかと思うと、黙り込んでしまう。
「お爺ちゃん…?」
不思議そうな表情で、ソエルがシノンさんの顔を覗き込む。
それを見かねたのか、ミヤが僕の服の裾を掴みながら口を開く。
「シノンさん!私…せっかくこの村に入らせて戴いたので、外の空気を吸いに行ってきます!…シフトも一緒に来ない…?」
「え…あ、うん…!」
そう僕が返事をすると、半ば強制的に外に引っ張り出された。
僕とミヤがいなくなった後―――――――黙り込んでいたシノン長老の口がようやく開いた。
「ちょっとした噂は聞いていたが…本当におったとは…」
「シノン長老。あなたはかなりの知識人かと見受けられますが…あいつの事について、何か知っているような事はありませんか?」
ランサーが真剣な表情をしながら、シノンさんに問う。
「ランサー…じゃったな。…そなた、見たところ魔術師のようじゃが…フェニックスがどのようにして誕生したか知っておるか…?」
「不死鳥の誕生…?」
その場に残っていたセキが、首をかしげながら不思議そうな表情をした。
「はい…。俺は魔法学校で、『死期を悟った竜が天高く聳える塔から身を投げ、その魂が炎に包まれてフェニックスが誕生した』と、学びました」
「…やはり、一般的にはそのように伝わっているのか…」
シノンさんとその横にいたソエルが、一瞬考えこんだ。
「実はのう…その話はミスエファジーナやケステル共和国の民が後に、竜に例えたものであり、本当の誕生秘話はそのような曖昧なモノではない…」
「なっ…!!?」
セキとランサーの表情が一変した。
そして、長老の話は続く。
「セキよ…そなた達の国でフェニックスは『鳳凰』と呼ばれるが…その所以はご存知か…?」
呆気に取られていたセキは、シノンさんの言葉で我に返り、話し出す。
「あ…はい。『鳳凰』は雄と雌…男と女が交わって一つになったモノだと聞いた事があります」
「そう…それなのじゃ…」
「召喚獣の伝説…。魔術師や一般的に知られているモノと、私達カルマ族の間で伝わっているモノだと、若干異なるのは知っていたけど…フェニックスもそうなの…?」
ソエルが真剣な表情で問う。
「我らカルマ族に代々伝えられてきた伝説…。それは、2人の愛し合った男女がビルの上から身を投げ…その2人の魂がフェニックスとなったというモノじゃ…」
「守護聖獣が自身の中にいた…ククルの男女…?」
「そうじゃ」
ランサーとセキ、そしてソエルは言葉を失っていた。
「これ以上は…例えそなた達が孫の友人であろうとも、話すことができん。ただ一つ言える事は…あの少年が、現世に現れたフェニックスの片割れなのは確かだという事だけじゃな…」
※
セキ達がシノン長老の元で話をしていた一方、半分強制だったけど、シフトを外に連れ出した私はこの隠れ里を散歩していた。
「ねぇ…何かさぁ、僕達かなり見られてない…?」
「そうなの??」
例えそうだとしても、周囲の目など、私には全く気になる事はないのが現状だ。
「うーん…まぁ、ずっと歩いてばかりもあれなんで、少し座りましょうか!」
そう私はこの子に言って、木でできたベンチのような場所に座り込んだ。
「この村…空気が澄んでいるし、何より神秘的な雰囲気がする…」
「何かこの場所、『あの世とこの世の境目』ってのが近いせいか、彼らの先祖であるククルの魂が多く漂っているらしいよ!…さっき、村人がコソコソ話していた…」
シフトが口にした台詞の最後の方が、何だか、声が少し小さいようなかんじがした。
この子は…インナショドナル塔での出来事で記憶が半分戻ったと言っていたけど、まだ残りの記憶が戻っていないだろうから、不安な気持ちがいっぱいなんだろうな。でも、無理もないわよね。周囲から『召喚獣』だなんて言われているけど、元は普通の男の子なのだから…
「ねぇ、シフト…。皆には内緒…っていうのを前提に、貴方にだけ話しておきたいことがあるの」
私は、一呼吸おいてから、今の台詞を紡ぐ。
シフトなら…全部は無理だけど、少しなら自分の正体について話していいかもしれない…
内心では、そんな事を考えていた。
「話して…おきたいこと…?」
「…単刀直入に言うわ。私ね、実は…普通の人間じゃないの」
「え…!!?」
シフトの驚いた声が聞こえる。
「具体的に言うと、私は魔族と人間の間に生まれた混血児…俗に言う”混ざりもの”なの…」
いきなりの告白に、シフトはどうやら言葉を失ったようだ。
数秒程、私達の間で沈黙が続く。そして――――――
「ミヤがそんな冗談を言うはずないし…。本当…なんだよね?」
「ええ」
私は低い声で返事をした。
「…いきなりそんな話をされちゃったから…ビックリしたよ…。…でも、どうして僕にだけその事を…?」
シフトはため息交じりの声を出しながら、予想通りの問いを投げかけてくる。
一瞬の間を空けて、私は話し出した。
「シフト…貴方は、『召喚獣』だとか周囲から言われ、見られているわよね。…でも、私も周囲から見れば『異端』な存在だから…。あまり、自分の出生について不安に考えなくても大丈夫って事…わかってほしかったの…」
「“異端”な存在…」
「ええ…。あなた達人間より寿命の長い“混ざりもの”は、今まででいろんな人たちを見てきた…。混ざり物と知られた時は、何度か痛い目に遭わされた事もあったわ」
「そんなひどい目に遭ったのに……人や自分を産んだ両親を恨めしく思った事は、なかったの…?」
シフトの声音は困惑しているようだったが、飾らないはっきりとした言葉で、私に尋ねてきた。
やはり、この子はとても真っ直ぐな心の持ち主なんだなぁ…
そんな彼を見た私の胸中は、そんな想いでいっぱいだった。
「最初は恨んでいた…。なぜか父様とも離れ離れになっちゃったし、この刀がなかったら、生きていくことすらままならなかった…」
そして私は、自分の刀を握り締める。
「でもね…ミスエファジーナでアクト女王が自分の母親だとわかった時…心底嬉しかった。“自分は要らない子供なんかじゃない”って考えが、頭の中をめぐったわ…。そして…今では、両親がくれたこの身体を大事にし、“ミヤ”って名前に恥じない生き方をしよう…!って考えるようになったわ…」
「そう…だったんだ…」
風の吹く音が聴こえる。
少しの間、再び沈黙が続いたが、それはシフトによって破られる。
「…そんな大事な話を、ミヤの口から聞けてよかったよ!…ありがとう」
「私はそんな…。でも、なんだかいつものシフトに戻ったかんじね?」
「うん!!…って、あーーー!!!」
何かを思い出したシフトが突然、その場で叫ぶ。
「ちょっと…!どうしたの!?」
耳なりが起きたままの状態で、私はシフトに訊く。
「僕らより長く生きているって事は…ミヤって実年齢はいくつ…??」
彼は、私の耳元でコソコソと囁いた。
その台詞を聞いた私は、1秒ほど呆気にとられていた。
しかし、すぐにクスッと笑い―――――――
「さぁ…。いくつでしょうね?…ご想像にお任せします!」
そう言いながら立ち上がり、私達は、ソエル達がいる長老の家に戻ることにしたのである。
※
僕はかなり機嫌が良かった。いつもは冷静で、あまり自分の事を話さないミヤが、僕にだけ大事な事を話してくれたのだからだ。
僕だけ…ということは、彼氏であるセキにすら話していないんだろうな…
歩きながら、ふと思った。
確かに、フェニックスとか言われようとも、僕は僕だ。それに、生前は普通の男だったわけだし!…ミヤはあの話を通じて、それを僕に伝えたかったのかな…
今になって僕はそれを実感したのである。
「お散歩から帰りました~♪」
ノックしてから扉を開けると――――――セキ達やシノンさんの他に、見知らぬ男が3人いた。
「お!かわいい娘ちゃんに、女顔少年のお帰りだ!」
一人の男が言う。
その台詞を聞いたとたん、少しばかり苛立ちを覚える。
「え…こいつ、男だったんだ…。僕はてっきり、二人とも女かと思った…」
空耳かもしれないが、頭の中で何かが切れそうな音が響く。
「おー、気が合うじゃねぇか!俺も最初、シフトに出会った時、女みたいって思ったんだ…!」
そして、再度頭の中で何かが切れたような音が響いた。
すると、セキがため息ついてから、口を開く。
「おい、ランサー…それに、あんたらも…。いくら本当の事とはいえ、シフトが怒ってふて腐れちゃったじゃないかよ…」
「セキ…。あんたの台詞も、何気にひどいわよ…」
ソエルの呆れたような声が聞こえた。
※
「悪い悪い!まぁ、変に褒められるよりはいいんじゃね?」
ソエルの幼馴染の一人―――――-クエンが謝った。
「僕だって、好きでこんな顔に生まれたわけじゃないのにぃ~…」
ソエルの幼馴染達とランサーに散々言われたシフトは、部屋の隅っこでいじけてしまったのである。
まぁ、俺もお前と同じいじられキャラだから…ドンマイだ、少年!
そう思いながら、俺は苦笑いを浮かべる。
「ごめんね、シフト!初対面なのにこいつらときたら…ほら!あんた達!!ミヤとシフトにも自己紹介しなさい!!」
そう言いながら、ソエルが3人の頭を思いっきり叩いていた。
「お前も、久しぶりなのに容赦ねぇんだから…まぁ、いいや!じゃあ、俺から自己紹介をするぜ!」
俺とランサーは二人が戻る前に聞いたが、念のためもう一度ちゃんと聴くことにした。
「俺はクエン・ハッシュドリーガ。よろしくな!」
「僕はザフィロム・フィアンスです。よろしく」
「グライド・ススカートランゲだ…」
ソエルの幼馴染である3人組が軽く自己紹介をした。
この一番物静かそうな奴が、グライドっていうパスワード解析ができる男か…。それにしても、このグライドって奴、瞳の色を除けば、俺と瓜二つのような…。世の中には、こんな偶然もあるもんなんだなぁ…
そいつの外見を見ながら、俺はそんな事を考えていた。
「…要はこの口うるさいのがクエンで、ロン毛&メガネ男がザフィロム。…それで、このもの静かな男がグライド…って覚えてくれればいいわ!」
「ミヤです。よろしくお願いします」
「シフト・クレオ・アシュベルです…」
ミヤが自己紹介をし、シフトが少し不機嫌そうな表情で名乗った。
「二人がいない間に、俺達だけでいろいろ話していたんだが…彼が例のパスワード解析の件、引き受けてくれるそうだ!」
俺は、ミヤとシフトが戻るまで話していたことを切り出した。
「…勘違いするなよな…。俺はあくまで、幼馴染であるソエルの頼みだから引き受けるだけであって、あんたみたいなコ族の野郎のためじゃない…!」
「…わかっているよ。それでも…引き受けてくれて、大変感謝している」
グライドが眉間にしわを寄せながら威嚇するのに対し、俺はすぐに返事返しながら、頭を深く下げる。
カルマ族の村に来たのだから、こういった冷たい態度を取られるのはわかっていた。それでも、マカボルンの重要な手がかりになるであろうDVD-ROMのパスワード解析を引き受けてくれたのだから、ありがたい。そのため、冷遇されても不快に思う事はなかった。
「ソエル…。一日くらいあれば解析が完了すると思うから、それまで待っていてくれ」
「ええ、わかったわ!よろしくね、グライド!」
ソエルが笑顔で言うと、グライドはシノン長老の家から外に出て行った。
「さて…この後はどうする…?」
ランサーが話を切り出した。
「あ、そうそう!今夜はあの伝説の歌姫を偲ぶ宴の日…だったな!その場で歌う奴が今日、調子が悪いとか言っていたし…せっかく帰ってきたんだから、お前が歌えば?」
クエンがソエルの方を向きながら、一つの提案をする。
「え…私…!!?ちょっと、クエン…!!!」
ソエルが頬を赤らめながら手を強く振った。
「え!?ソエルって、歌も歌えるの!!?」
「あ…いや…その…。……うん…」
ソエルは完全に意表を突かれたみたいで、完全に固まっていた。
「へぇ~…。人は見かけによらないって言うんだなぁ…」
「あんたに言われたくないわよっ!!」
ソエルが耳まで真っ赤になりながら、ランサーの頭を思いっきりたたいた。
「あれ…?君達、一緒に旅していたのに知らなかったんだ?彼女の歌声、亡くなったお母さん譲りで、すごく上手なのに…」
「そうだったんだ…。それを聞いたら、なおさらソエルの歌を聴いてみたくなったわ…!」
ザフィロムの台詞を聴いたミヤが、楽しそうな表情をしながら言う。
「…じゃあ、大多数で決定だな!」
俺は笑顔でそう言った。
そして今から数時間後、闇の中で静かな宴が幕を開ける―――――――――
いかがでしたか?
コメディーっぽいシーンを書いた経験が少ないので、どんな印象を持たれたかは謎ですが・・・。
次回は、ソエルが仲間達に唄を披露する所から始まります。
しかし、宴の最中に・・・・。
というわけで、ご意見・ご感想をお待ちしてます♪