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紅の鳳凰  作者: 皆麻 兎
第八章 過去を垣間見る彼らの瞳に映るのは
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第31話 ”生きてほしい”と願う

「はぁぁぁぁっ…!!」

セキは、炎をまとった剣を、木でできた魔物に振り下ろす。

その後、地下空洞全体が紅く燃え広がっていた。無論、私にある漆黒の瞳にその紅は映らない訳だったが――――――――


木の化け物は燃え尽き、現れたマカボルンの欠片も塵となって消えてしまう。

私は、意識はあったものの、魂を奪われる寸前だったため、体が重くその場で横たわっていた。うっすらとした視界のムコウには、既に絶命している少女・ミイルの姿がある。

私はすぐにセキが抱き起してくれたが、彼女の兄・シカリは茫然としたままミイルの前で座り込んでいた。

「ミイル…ごめん…ごめんな…!お前を助けられなくて…!!」

シカリは、大粒の涙を流しながら泣いていた。

私は体こそ動かせられなかったが、意識がはっきりした後に彼の方に視線だけ向ける。

「かつての私だったら…あのまま苗代になっても構わなかった。でも、今は…仲間がいる。彼らのためにも、そう簡単には死んではいけないと思うようになったの。それと…似ているのかも…ね」

「何…?」

弱弱しくはあるが、私の台詞(ことば)に対し、シカリが反応する。

「貴方の妹も…“貴方に生きてほしい”と願ったんじゃないかな…」

「…っ…!!」

その後に紡いだ台詞(ことば)を聞き、シカリは再び茫然としていた。

「…行こう」

そうして立ちあがった私は、セキに背中を支えてもらいながらその場を後にしたのである。

 “今は”まだ死ねない…。でも、来るべき時が来たら、私は…

刀を取り戻して自分の足で歩く一方、私の心中ではいろんな思いが混ざり合っていたのである。


「本当なら、このまま出発!!と言いたい所だけど…」

「認める訳ないだろ、シフト。俺らは兎も角、二人はまだ病み上がりなんだから…」

地上に出た時、最初に話始めたのがシフトだった。

ちょっと悪ふざけっぽい提案も、心配性なセキによって却下されてしまう。

「…ごめんね、セキ。迷惑かけちゃって…」

「大丈夫!気にしなくていいよ…!」

顔をミヤに近づかれたセキは、頬を真っ赤に染めていた。

「ほほぉー…君らもお熱いね~~」

それを、二人の間でニヤニヤしながらシフトが観察していた。

私とランサーは、それを後ろで見守りながら歩いていたのである。

「…ねぇ、ランサー…」

「ん…?」

不意に何か思いついた私は、ランサーに声をかける。

「ミヤやセキは…マカボルンを得たい確実な動機があるから気にならないんだろうけど…。私からすると、こんな思いをしてまであの石から何かを得られるのかな…って、今回の件で考えちゃったな…」

「…賢者の石に関しては、俺も複雑さ。まぁ、それは置いといて…。この先も俺ら5人で旅をしないと、解らない事もある」

私が口にした事に対し、ランサーは彼なりの意見を述べてくれた。

最後の方を聞いた時、私は数回だけ瞬きをしてから再び話し出す。

「そっか…。ランサーは、召喚獣・フェニックスの片割れであるシフトの事を見守らなくてはいけないという使命があるもんね…」

「まぁ、それもあるが…。ミヤちゃんの正体とかも…な」

私はランサーを横で観察していたが、当の本人は少し真剣な表情で前を歩くミヤを見つめていたのである。

「ランサーにソエル!そろそろレンタオからの馬車が到着するみたいだから、行こうぜ!」

会話を聞いていなかったセキが私達にそう告げた事で、この話は終わりを告げる。

そしてすぐに、私とランサーは3人の元へ駆け寄る。

その後、私達はレンタオから来た迎えの馬車に乗り、レンフェン城へと一旦戻るのであった。


いかがでしたか。

今回は短すぎでしたが、次回から新章となります。

通称「ソエル編」☆

次章も色んな展開を見せるので、お楽しみに★


ご意見・ご感想あれば。宜しくお願いいたします


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