表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アトリ  作者: 忘憶却
記者の覚え書き
4/4

狂人の行方④

毎日毎日戦いに明け暮れて、

よくもそんなに人を殺せるなあ。


あれ、

私もだんだん感覚が麻痺してきたらしい。

元から下らん記事を書いて

銭儲けをしていた身だ。

そんな大した事はないか。

ともかくだ、

あいつは殺すのが好き好きでたまらない。

私も死にそうだな。


さて、今日も記事を書きますか。

戦争の記事はいつも儲かる。

こんな美味しい話はない。

こいつに会ってからは、

戦場のより深いところまで

鮮明に見る事ができる。

良かったよ。

いい記事が書けるし、売れるし。


さて、今日も行きますか。

いや、こいつの情報を切り売りすれば

面白いことが起きそうだ。

相手側に情報提供なんて、

これほど儲かるものはなさそうだ。

いや、金よりも

死際が見たいのかもしれない。

そういう期待をしているのかもしれない。

一体どんな死に方をするのだろうか。

あっという間に消えてしまいそうな。

人生を嘲笑いながら

笑いながら消えるのかな。

まさかの命乞いをするのかな。

それとも。


ああ、見てみたい、

この男が死ぬところを。


今日も戦場に行った。

今日も戦場に行った。

今日も、今日も、今日も。


あれ、

なんでこんなことをしているんだろう。


元々、私ってこんな人間だったっけ。

記事を書く目的も忘れて

こんな風に毎日戦場に通うなんて。


あれ、

こんな人間だっけ、私って。


あれ、

こんな。


あっ、何か魔術だか、何だか、

そんなものにかかっているのに気がついた。

気分がいいからどうでもいいや。


また、見たい。

また、見たい。


あっ、私死んだ。


あの狂人は私を嘲笑うかのように見ていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ