狂人の行方④
毎日毎日戦いに明け暮れて、
よくもそんなに人を殺せるなあ。
あれ、
私もだんだん感覚が麻痺してきたらしい。
元から下らん記事を書いて
銭儲けをしていた身だ。
そんな大した事はないか。
ともかくだ、
あいつは殺すのが好き好きでたまらない。
私も死にそうだな。
さて、今日も記事を書きますか。
戦争の記事はいつも儲かる。
こんな美味しい話はない。
こいつに会ってからは、
戦場のより深いところまで
鮮明に見る事ができる。
良かったよ。
いい記事が書けるし、売れるし。
さて、今日も行きますか。
いや、こいつの情報を切り売りすれば
面白いことが起きそうだ。
相手側に情報提供なんて、
これほど儲かるものはなさそうだ。
いや、金よりも
死際が見たいのかもしれない。
そういう期待をしているのかもしれない。
一体どんな死に方をするのだろうか。
あっという間に消えてしまいそうな。
人生を嘲笑いながら
笑いながら消えるのかな。
まさかの命乞いをするのかな。
それとも。
ああ、見てみたい、
この男が死ぬところを。
今日も戦場に行った。
今日も戦場に行った。
今日も、今日も、今日も。
あれ、
なんでこんなことをしているんだろう。
元々、私ってこんな人間だったっけ。
記事を書く目的も忘れて
こんな風に毎日戦場に通うなんて。
あれ、
こんな人間だっけ、私って。
あれ、
こんな。
あっ、何か魔術だか、何だか、
そんなものにかかっているのに気がついた。
気分がいいからどうでもいいや。
また、見たい。
また、見たい。
あっ、私死んだ。
あの狂人は私を嘲笑うかのように見ていた。