表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アトリ  作者: 忘憶却
記者の覚え書き
2/4

狂人の行方②

数日かけ、ようやく

あいつの手がかりを見つけた。


猫の獣人なんて珍しいなり

聞き込みすれば、

すぐに見つかると思ってたのに

情報屋にそこそこの金額払った方が

よっぽど早かったのではと思う。


あちこちで紛争が起こってばかりで、

情報は錯綜している。

外れたら仕方ないが、

これ以上正確なものなんて

手に入らなさそうだから、

とりあえず、行ってみようか。


カメラはあるが、銃と思われ、狙われたら

この世の終わりだから、

多分、ほぼ使うことがないな。

最前線に向かっても

できることはないだろうと、

近くの村へ泊まることにした。


「お前か、俺をつけてるのは。」

見たことある顔に、首根っこ掴まれ

雑魚寝の私は引っ張り出された。


壁に押し付けられる。

「俺の跡をつけるということは、

死んでも構わないということだな。」


本気で殺そうとする目だ。

もう、片方の手にはナイフが握られている。

本当に死ぬかもしれないな。

だって、この状況で

獲物を狩るかのような目を向けながら

口元笑ってんだぜ。イカれてるよな。


だんだん、私も笑えてきた。

冷や汗が出るのも、

心臓が速く脈打つのを感じることが、

不安や恐怖から、高揚感に変わってきた。


きっとあの時、

あいつと同じような

顔になっていたのだろう。


つい、素早く二回頷く。

「そうか。」

と言ってナイフが迫る。


すっ、と私の耳元を通り過ぎた。

壁に刺さったナイフは、

根元まで達していた。


「気に入った。ついてこい。」


なんだろう、この胸の高鳴りは

今まで気の狂うような

何かを求めていたような。

それが今にも手に入りそうだと。


あいつが手放したナイフは、

ナイフは鍔から下が地面に落ちていた。


もう、私も普通でないと確信した。

イカれたモノを求めた狂人だ。


ああ、こいつも同類なんだな。

そして、こいつは手に入れている。

それが羨ましくてたまらない。


はやく、はやく、私も手に入れたい。

そのためには死んでも構わないと。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ