失われた魔法
「「「は?」」」
兄妹そろってハモる。
「え?じゃあ俺たちの魔法がロストマジックかもしれないって言うのは嘘?」
「いや、あながち嘘でもない」
「ロストマジックの力を持っていることに関しては、だがな。お前らの得意魔法の空間魔法と時間魔法はロストマジックでもなんでもない。少数だが使い手は探せば一人か二人くらいいるだろう。まぁ、お前らには敵わないと思うが。」
「「はぁ?」」
あれまぁ兄ズが頭抱えてる。
いやでも、つまり?私達はその昔話の一族だと?
で、本当の苗字はアサギ・アズールだって?
うん?うん…
はぁぁぁぁ!?
情報量の多さよ。情報という名の海に溺れるわ。
「ていうかさ、なんでその五大貴族に伝わる話を知ってんの?父さん。」
「ん?五大貴族に出入りしてるやつに知り合いいたからちょっと話を聞いた。」
「とか言って持ち前の鑑定眼で見たとかじゃ…(ボソッ)」
父さんは鑑定眼持ちだからその気にさえなれば色々見れちゃうんだよね…色々…そう、色々。
「それもあってなぁ…あまりお前達に目立って欲しくないんだよ、魔法政府とか出てきたら面倒だしさ。」
いや、あの、政府て…
そんなほいほい政府の人間が出てきてたまるか。
そもそも色の名前が二つはないかもだけど、色に関する名前のやつなんてごまんといるぞ。
「話はわかった、けど…私はともかく、」
「…俺達はともかく、」
「「「無理じゃない?」」」
…ん?
「なんで美月がそんな事言うの!?」
ねぇ、ちょっと自分達の顔鏡で見たことあります?!
妹の私が言うのもあれだけど、この双子びっくりする程顔整ってるよ!?
二人を探す時女の子が群がってるところ見れば大体いるよ!?
「そっくりそのままお返しするよー」
「はぁ?!」
「はいはいはい、そこまで。お前達が目立つことはよーく分かった。うん、もう諦めよう。」
「「「はい?」」」
いや、父さん?ちょっと?
「多分色々トラブルに巻き込まれるだろうから。がんばれ。」
丸投げしたよ。このオヤジ。
「…はぁ、分かった。で?基本的にはどう対処すればいいの?」
さすが雪月。適応力半端ない。
「厄介な相手が何人かいるからな。そいつらだけ気をつけてれば平気だろう。」
「何人か?って事は複数人?誰?」
「あー、権力に負けるな、頑張れ」
…………は?
サムズアップしてる場合じゃないよ?
「教えられない程権力がある人って事か?」
飲み込みはえーよ。雪月。
「ま、そうだな。後、知らない方が過剰に反応しないで済むだろ?」
「そうだな。ま、俺達に権力なんてそんなもん通用しないしな。とりあえずムカついたら誰であろうと殴るし。」
……おいこら、そこの不良。
面倒事に巻き込まれるのはごめんだぞ。
「…うん、まぁ、だよね。知ってた。けど!くれぐれも気をつけろよ!」
「りょーかーい」
「努力する」
「…分かった。」
果たして私は兄達を止められるのだろうか…