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魔法世界の問題児  作者: 蒼
学園編
8/30

魔法研究局


美月の魔法である空間魔法と、雪月の魔法である時間魔法。

この二つは移動魔法がない、というかそもそも魔法としての根底が他の魔法と違う。

でも、二つを合わせた時空魔法なら?


—そう、時間も場所も関係なく行きたい場所に行けることができる。


二人は手を合わせると足元に魔法陣を展開した。

『『時空移動(ディノラス)』』

すると目の前の景色が揺らいで綺麗な光となる。眩しいくらいに光が溢れ、思わず目をつぶる。

光が収まり目を開けると、そこには私達の父が浅葱 誠矢(あさぎ せいや)が目を丸くしてこちらを見ていた。


「よ、父さん久しぶり。」

「おひさー」

「…父さん、割れたよ?なんか」

兄達が挨拶をした瞬間、父さんの手の中にあったガラスが落ちてパリンと音を立てて割れた。

割れて大丈夫なやつか、それ。

しかし、それに気付いていない父。

しばらく私達を穴が開くほど見ていたが、正気に戻ったらしく、


「おぉ、久しぶりだな!美月と雪月は去年から学校にいたからこっちに来ていたのは知っていたが、凛月も来たのか!どうしてゼノに来たんだ?」


「「「……」」」

…思わず兄妹揃ってズッコケそうになったよね。

母さんは秒で気付いて父さんは気付かんのかい。

えーとさ、父さん鑑定眼持ちだよね?


「あー、私魔力戻ったんだ」

「なに!?...あ、本当だ。あいつがかけた封印解けてる。」

「こっちに来たのは学校に入る為」

「正気か!?」

「え、うん」

なんでそんな驚くのさ。

だって、こっちでは規則だよね?

向こうで言う義務教育的な感じで。


「はぁぁぁぁぁ」

途端にクソでかいため息をつく父さん。

その横で首を傾げる私達。


「…母さんには会ったか。」

「うん。そしたら父さんに会いに行けって。」

「…あー、そうか。……あのな、俺は正直学校にお前を入れたくない。いくら規則だと言ってもだ。」

「え、なんで」

魔法使いたいんだけど。

いや、使えるんだけどね?こう、なんていうか合法的に?

と言うか兄ズだけよくてなぜ私はダメなのか


助けを求めるように二人を見ると、

「大丈夫、俺らも去年同じように言われた。な。」

「あぁ、耳にタコができるほどな」


嘘でしょ。ちょっと何があるのよ、その学校に


その兄達の言葉をスルーして父さんが話を続ける


「…お前達は失われた魔法(ロストマジック)を知っているか?」

「ロストマジックっていうと、あれだろ、もうすでにこの世にはない滅びた魔法のことだろ?

去年も俺たちに言ったやつじゃん。」

雪月が答える。

「そうだ。なぜ滅びたか、なぜその魔法は誰も使えないのか。誰も分からない。調べようものなら魔法政府に捕まる。」

「「「はぁ?????」」」

何それ、調べるぐらい別に良くない?

「待て、俺らはそんな話は去年されてないぞ」

「だな、お前らが使っている魔法はロストマジックの可能性があるから入学するのやめてほしいとしか言われてないんだが。」

「まぁ、話してないからな」


さいですか。

だそうですよ、兄ズ


「五大貴族は知ってるな?」

「確か魔法政府を最初につくったとされる古の五つの家門の貴族でしょ?」

確か、そうなはず。

ゼノの常識も今まで封印のせいとはいえ忘れてしまっていたから自信はないけれども。


「そうだ。その貴族の中で伝わっている話があってな。」


_その昔、ゼノにはとある一族がいた。その一族は自由が故に万物に愛されていた。

普通の人には聞こえない声を聴き、会話する。

何にも縛られずに、自分の生きたいように生きていく。そんな一族だった。

だが、その力を恐れたある一族がその一族を滅ぼしてしまった。

その一族の当主は滅びる前に力を九つに分け、一族のなかの特に優秀な九人に渡した。

その力はそれぞれ目だったり頬だったりに紋様として現れた。

力をもらった九人はそれぞれの力を持った一族を作った。また自分達の一族が滅ぼされないように…

その九つの一族は周りの目を欺きながら生きていたが、結局同じように滅ぼされた…


「普通の昔話じゃん。」

「「な。」」

「まぁ、話を聞け。その一族を滅ぼした一族が今の五大貴族の祖先なんだ。五大貴族の子供たちは悪いことをすると、”色に魅入られるぞ”と、言われるらしい。伝え方は色々あるだろうが、この話が今になっても言われているってことはそれだけその一族のことを危険と思っているってことだ。」

…ふーん。

それにしても、色ねぇ…

「で。その九つの力のどれかは分からんが、お前ら受け継いでんだよ。三人とも別々の力を。」


…は?

え、滅んだんじゃないの?

ていうか父さんさっき言ったじゃん。”結局滅ぼされた”って。


「…父さん、さっき滅ぼされた。って言ったよな?」

さすが雪月妹の思考分かってるー。

「言ったな。」

「じゃあ、なんで俺らが受け継いでんの。」

「この昔話では滅びたとされてるが、実際のところ細々と生きてんだよ、その一族の生き残りは。力を受け継いだかどうかは置いといて存在はしてる。名前に色に関する言葉が二つ入ってるから”色の一族(シキのいちぞく)”って言い伝えでは言われている。」


「「「………。」」」

その名前にものすごーく心当たりがあるんですけれども。


「ちなみにお前らの本当の苗字はアサギ・アズールだからな。バレても平気だが、まぁ使いたい方使え。」

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