ゼノ
玄関のドアの向こう側はもうゼノだった。
ただ—
「ここ、確かにゼノだけど、出た先が屋根の上ってどーなの」
一人ぐちる私。
「ハズレのGATEだったか」
「…いや、そうでもないっぽい」
雪月が屋根の上から周りをキョロキョロと見回して言った。
「ほら。」
雪月が指差した方を見てみると、そこには母さんが発掘作業をしていた。
あー、母さんの作業場か。
母さんは考古学者だからなーまぁつまりは、遺跡の屋根の上。
さてー、どうやって母さんとコンタクト取ろうかな…
それと、どうやってこの遺跡の上から降りようかなぁ…。地面との距離およそ20m。
マンションで言うと六階建てくらい?
しかも、ここ遺跡だからさぁ、色々脆いよね?着地した瞬間に足場崩れるってこともありえるよね?
…あぁ、でも遺跡なだけあって魔素が濃いね。
これなら大丈夫そうかな。
魔素を取り込んでから風が自分に纏うイメージをして…
「よっと」
軽い掛け声と共に私は上から飛び降りた。
うん、久しぶりだけどいけるね。
トンッと地面に着地した。
魔素が濃かったお陰で魔力もそんなに使ってないし、体質のおかげで更に強力になったし。良かった良かった。
ふと、上を見上げると、兄達が慌てた様子で私を見下ろしていた。
「……?」
私は訳が分からず首を傾げた後、兄達を向かってヒラヒラと手を振った。
美月は頭を抱え、雪月は額に手を当てていた。
…え、なに。
なんか、やらかした?