GATE
「お、りっちゃん準備万端って感じじゃん。」
私の魔素に気付いた雪月が頭を撫でた。
「うん、オスカでも魔素はあるんだね。ゼノよりちょっとだけ少ないけど。…あ、ちょっと美月と一緒に行ってくる。」
ちょいちょいと手招きをする美月に向かって行く。
「いってらー」
…が、
ってあれ?
一旦庭に出た美月が戻ってきてるっぽいんだけど…
なんで?
「練習しないの?みつ」
「そういえば、その事なんだけどせつが解除したから、必要がなくなった。」
「あ、もしかしてみつの練習ってGATEを通るやつだった?」
「あぁ。」
あー、そーゆー事。
ゼノとオスカを繋ぐGATEは魔力がないと通れないもんね。封印が解けそう=魔力が戻りそうって事だからGATEの魔素を感じさせようとしてたのか。感じないとGATEも見つけられないしね。
でも、雪月が全部外したから必要なくなったと。
…説明しろよ。
「でー?どーする?とりあえずゼノに戻るか?」
「あぁ、父さん達にも言わないと。」
「封印の事?」
「「そうそう」」
おぉ、さすが双子。返事がハモる率高い。
「あ、じゃあ、せっかくだし私がGATE開けていい?」
鈍ってるからね。
何しろ10年くらい力使ってないから。
「あぁ、頼む」
「あ!りっちゃん!」
雪月がいきなり大声を上げた。
私も美月もびっくりして雪月の方を見る。
「りっちゃん、魔力垂れ流すなよ!本当に!やめてね!」
「あ、はい、うん」
雪月の迫力が半端ない。
「あー。そっか。凛月とか俺らの魔力強すぎて失神するやつ出るからな。」
…そうでした。
似たようなこと散々言われてた気がする。
ま、いいかー
「…善処するよ」
「いや、善処するじゃなくて、隠密並に魔力の気配消して。」
「…はーい。」
そこまでする必要あるか!?とかなんとか思ったが、雪月の顔が怖いので返事をしとく。
さて、と。
GATE探しますか。
GATEは場所によって変わる上に同じ場所にあるとは限らない。だからいちいち探さなくてはいけない。
まぁ、こんなのゼノにいる人間にしてみれば朝飯前だけど。
自分の体内にある魔素を燃料に魔力を周りに薄く薄く広げていく。
「…あった。」
私はそう呟いて、家の玄関のドアの前に立った。
「…近くね?」
「んね。」
「もはや普通の入り口」
上から、美月、雪月、私の順に口々に言う。
ーガチャ
私は玄関のドアを開けて、ゼノの世界へと10年ぶりに足を踏み入れた。