晴天の霹靂
いつも通りの至って普通の日常が、いきなり魔法が当たり前の日常になるなんてこのときは思いもしなかった。
まさか自分が、家族が、魔術師や魔法使いと呼ばれる物語に出てくる人間と同類だってこと思いもしなかった。
ーこの時までは。
◇
バンッ
「これ、何、どういう事?」
私は兄達を睨みながら机の上に紙を叩きつけた。
どーもー。皆さん。こんにちは。
しょっぱなからこんな状況ですみませんね。
浅葱 凛月です。
初めまして。
そして、目の前にいるそっくりな双子は私の兄達です。
目の色が萌黄色の方が浅葱 美月
そして天色の方が、浅葱 雪月
なんでこんな状況になっているかと言いますとね。
ざっくばらんに色々省いて説明すると、いきなり転入届を渡され、明日からこっちの学校に通うからよろしく、と言われたわけですよ。
念願の大学に合格したというのに、この仕打ちは何なんでしょうか?ねぇ、まじで。
私の一年返してくれません?クソ兄貴共。
「まぁまぁ、りっちゃん落ち着いて、ね?」
「誰のせいでこんな事になっているんでしょうかね?」
「…オレらのせいデス。」
自覚はあるんだ、自覚は。
「凛月、お前に何も言わないで色々悪かった。俺らの話を聞いてくれないか?」
「なんで?」
「え?」
「だから、なんで?」
「......」
光の速さで切り返す。
当たり前でしょ。ていうか今それ言う?普通受験する前に話すよね?
話される内容知らないけど、学校変えるのって普通受験前に話すよね?
行きたかった大学に行けたはずなのに行けなくしたのはこの二人。
ありえないでしょ。
あーあ、夢のキャンパスライフ、、、
ていうかそもそもどうやって行けなくしたんだ。
一応受験はしたぞ?
現代日本においてそんな事が可能なのか、、、?
「あのな、りっちゃん、俺達はこの世界の人間じゃないんだ。つまり、りっちゃんもこの世界の人間じゃない。」
うんうん悩んでいると、黙っているのを好奇と捉えたのか雪月が声を上げた。
「......は?」
思考が止まる。
いや、何言ってんの。
この世界の人間じゃない?
じゃああれか?並行世界の住人だったとでもいうつもりか?
ていうかそもそもこの世界ってなんだよ。
世界がいくつかあるみたいな感じで話すじゃん。
それこそパラレルワールドよ?
読書家なのは知ってるけど、さすがにSF小説の読みすぎなのでは、、、?