SIDE 暁 将吾
「クソッ」
何なんだ、あいつは。
正直、俺はこの試験を舐めてかかっていた。
ギルドに入っているやつなんて新入生の中にはそうそういないだろう。だからどうせ俺より実力は下だと思っていた。
だから、まさかあんな事になるなんて思いもしなかった。
転送された直後、周りを警戒しつつ探っていると、1人の女子生徒がいた。
どこかに向かおうとしているらしい、が、行かせはしない。
奇襲してサクッとポイント取って一位になってやる。
と、思いながら、
「水創生魔法 ウォーターアロー」
と矢を放ったものの、避けられた。
動揺したのも束の間、そいつはすごいスピードで走り出した。
避けられた事により、絶対にあいつの名札を取ってやる、という執念に変わった。
それがまずかった。
いつのまにか草原に誘い込まれ、やばいと本能的に思ったのか引き返そうとするも、ときすでに遅し。俺が魔法を使う前に回り込まれ、魔法を放たれた。
開始5分だぞ。
舐めてたなんて言い訳にならない。
まさかこんな早く脱落するとはな。
有名だからって思い上がってたツケか。
にしても、あいつの魔法はなんだったんだ…?
能力系か、装具系かも分からなかった。
早過ぎて分からなかったが、当たったときに冷たかったから、氷魔法系なんだろうが、この違和感はなんだ…?
「…!」
確かめるために服をめくったものの、特に気になるものはなかった。が、
「なんだこれ…?」
ガラスのような花弁が服に付いていた。
おそらく、あいつが使った魔法だろう。
氷でできているのか冷たい。
こんな氷の花弁なんてそれこそ俺みたいな創生魔法の使い手じゃないか。
だが、創生魔法使い特有の動きがなかった。
じゃああれは一体…