試験だってー
試験日になっちゃったよ。
師匠に教えてもらった魔法以外何もできないよ。
あの3人は大丈夫大丈夫とか言ってたけど。
不安でしかない。
「リツ、おはよう!いよいよ新入生試験だね。」
「おはよ。うん...そうだね。」
楽しそうに言うレリアとその隣で意気消沈の私。
「なんせ、ソウレイの春の名物だもんね!楽しみ〜!」
「あぁ...うん、そうだね。」
本当はそんなんじゃないんです。えぇ。
レリア、君は楽しそうで何よりだよ…。
ガラガラとドアを開ける音がする。
あぁ…終了の金が鳴り響く…
「お前らー。今日は新入生試験だ。今年の試験は、点の取り合いだ。」
先生がそう言った瞬間、クラスから喜びの声が爆発する。
よりにもよって取り合い…
「今からランダムに学園の仮想空間に転送させる。相手の名札を取ったらポイント追加。一部の生徒の名札は金色のマークが付いている。そのマークの名札を取った生徒はポイント5倍だ。さて、質問は?」
単純明快なルールだし、分からないことはない、が、取り合いかぁ…
「いいじゃん!ポイントの取り合い!」
レリアはふんふんて鼻息荒くして…
やる気満々みたいでなによりデス。
「この試験は学校内に中継されてるからな。成績は今後に響くぞ。」
嘘でしょ。この時点でもう今後の成績とか気にしなきゃいけないの!?
さすが、名高いソウレイ。ぶっちゃけなんとかなるでしょって思ってたよ。
ならないね、これは。
不幸中の幸いなのは中継がこの学院内だけだってことか。
「うし、じゃあ転送するぞー。各々頑張れ。じゃ。」
ランドレ先生がそういうと、足元に青色の転送陣が現れた。
徐々に周りの景色が薄くなっていき、瞬きしたらそこは森だった。
…これ、誰かが先に隠れてたり、罠とか仕掛けてたらやばいんじゃ。
追いかけられてるならまだしも、誰もいないし、見晴らしがいいところに出た方がいいな。
迂闊に森の奥に入らないようにしよう。