プロローグ
人々が行き交い、忙しなく変化していくこの世界で、隣に世界があることを
どれほどの人間が知っているのだろうか。
めまぐるしく科学が発達していく世界の隣で魔法が存在していることを
どれほどの人間が知っているのだろうか。
—いや、この世界にいる人間は誰も知りはしないだろう
魔法が存在する世界"ゼノ"
存在しない世界"オスカ"
オスカ、ゼノ、二つの世界を行き来できる"GATE"と呼ばれるもの。
ある場所には一見壁のように見えるものだったり、
また、ある場所には鏡だったり、本だったりと様々な姿形で"GATE"は存在している。
ただし、世界を越える事ができるのはゼノの人間のみ。
魔法が使えないオスカの人間にとってはただの壁だし鏡だ。
あぁ、そうそう。
不思議な色の瞳をした猫をみつけたら、ついて行ってみなさい。
路地を抜けたその先にカフェがあるはずだ。
その店の店主はゼノにいた人間でね、珍しくオスカに移り住んだ人間だ。
オスカのアンティークに囲まれていたいんだと。
全く、オスカの人間にばれたらどうするつもりなんだろうね。
君が魔法に興味があるのならば、彼に話を聞きにいくといい。
美味しい飲み物と一緒にある兄妹の話をしてくれるだろう。
物語にある魔法使いの弟子にはなれないだろうけれど、興味があるのならばその話はきっと、面白いはずだ。
未知のものを想像する喜びを
不可能を可能にする想像を
魔法が使えない君達に一時の夢を
現実のような幻のような
陽炎のようにあやふやな
夢物語を—