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5 (ヒロイン視点)

とりあえず完結させようと思います ε~(;@_@)

 おかしい。おかしい! おかしい!!


 学園の昼休み。

 中庭に置かれたベンチのひとつに座り、仲良く持参したランチボックスを広げる男女をねめつけながらガリガリ爪を噛む。


 そのカップルの片割れ――クラウスは、前世でハマっていたゲームの攻略対象。


 本来なら私の従者になって愛と忠誠を誓うはずの男が、ヒロインである私には見向きもせず、せっせと地味女の世話を焼いている!

 

 どういうこと!?



 ※ ※ ※ ※ ※  



 私が前世の記憶を思い出したのは、この王立学園に入学するひと月前。

 転生ものテンプレの、階段落ち ☞ 三日の昏睡から覚めた時、激しい頭痛とともに膨大な情報が脳内に、なあのパターンだ。


 その記憶の中にあったのが、この世界によく似たゲーム――『ブリューエン・ときめき学園 Ⅱ』の知識。

 

 ヒロインは子爵家の三女――つまり私。

 両親は子連れ同士の再婚で、私は父の連れ子。

 血の繋がらない姉二人と義母は、美しいヒロインをいびりまくるが、ヒロインは王立学園で高貴なイケメンたちと仲良くなり、やがてその中のひとりとゴールイン・ハッピーエンド……というお話。


 でも、いざゲーム(?)がスタートしてみると、現実とストーリーとの齟齬がいくつも見つかった。


 最も大きな違いは、ゲームでは現国王はルーカスなはずなのに、実際はルーカスの父・アルバンだったこと。


 ルーカスは『ときめき学園 Ⅰ』の攻略対象で、ヒロインのリリアと結婚して嫡男ラインハルトをもうける。

 

 しかしルーカス夫妻は、隣国の皇帝在位十周年記念式典に来賓として招かれ、そこでリリアは皇妃を亡くしていた皇帝に見初められてしまい、ふたりは大国の圧力に逆らえず、心ならずも離婚することになる。

(とはいえ、横恋慕してくる皇帝がまた人外級の美形!)


 傷心のルーカスは、愛妻に託された王子を男手ひとつで立派に育て上げ、父王アルバンはしっかり政務をこなしつつ、完璧な育メンぶりを見せる息子を称賛して譲位……だったはずなのに、そのルーカスはすでに他界している。


 聞くところによると、例の在位十周年の式典に行く途中、国境付近でがけ崩れに巻き込まれて死亡したらしい。

 おまけに、その一行に加わっていた側近たち――リリアの逆ハーメンバーもルーカスといっしょに亡くなったとか。


 ちょっと待ったー!


 Ⅱの攻略対象は、ルーカスの息子のラインハルト王子、Ⅱ開始時の近衛騎士団団長嫡男、Ⅰの悪役令嬢義弟・メルレンニヒ侯爵嫡男、大陸一の商会を経営する伯爵家次男、現宰相グリュスヴァイク侯爵嫡男、そして隠しキャラである従者……。


 なのに、宰相以外の親世代が全滅!?


 それにラインハルトはなぜか王孫としての扱いを受けていない!


 いったいどうなっているのよ!?


 しかも、隣国の皇妃になったリリアは、Ⅱ部では次のヒロインのお助けキャラとして、攻略のヒントやイベントアイテムをくれるはずなのに、皇妃どころか目下行方不明。


 そして従者のクラウスは……。

 今の彼は黒髪だが、本当はアルバン王の后・レオノーラさまによく似た銀髪のはず。

 そう、クラウスはルーカスの弟・スヴェン王子の忘れ形見なのだ。


 スヴェン王子は帝国の北隣にある友好国に王配として迎えいれられるが、妻の叔父がクーデターを起こして、殺害されてしまう。

 女王はそのショックで昏睡状態に。

 そのため、叔父は王権の象徴である国璽の所在がわからず、クーデターを起こしたものの姪を殺すに殺せず、女王派の抵抗もあって国内は大混乱。


 クラウスと双子の兄は女王に対する人質として幽閉されるが、後に女王派の手引きにより脱出。

 ふたりは別々に逃走し、クラウスは父の祖国を目ざす。


 しかし、帝国との国境付近で追手に見つかり、戦闘のさなか護衛たちとはぐれてしまう。

 それでもなんとか王都までたどり着いたクラウスは、途中口にしたものに(あた)って衰弱し、ある孤児院の前で行き倒れる。


 そのままその孤児院で保護されたクラウスは、数年後ボランティアにきたヒロインと知り合い、その従者になる――そういうストーリーだったはずなのに、設定通り彼を迎えに行ったら、そんな子供はいないと言われてしまい……。

  

 なのに、なんで宰相家の従者になってるのよ!?


 私のクラウスを返せー! 

 前世の一推しなんだからー!


 しかも、地味女の母親はⅠの悪役令嬢らしい。

 

 あいつはルーカスとリリアの結婚式後、処刑されたんじゃないのー!?


 もう本当にわけがわからない。




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