クリスマスパーティー
25日、約束通り若菜の家に遊びに来た。若菜の家に来るのは2回目。以前は夏休みだった。
「どうぞどうぞー。座って!!」
「うん」
若菜の部屋はピンクと白の女の子らしい可愛い部屋。2階に上がる時にキッチンから持ってきたお菓子とジュースをローテーブルに置いてハート型のクッションに座る。
「外寒かったね。でも雪は降ってなかったからホワイトクリスマスにはならなかったね」
「雪は嫌だよー。寒いもん。ホワイトクリスマスはロマンチックだけどねー」
「そうだねー。ロマンチックなだけじゃ暖まらないしね。暖房がないと」
「あはは!!椿現実的!!」
「え、そんなに笑う?」
ベッドに座った若菜がクマのぬいぐるみを抱えて笑う。そんなに笑わなくても良いのに、と思うけど若菜が楽しそうだから良いか。
しばらくして笑いを収めた若菜。
「じゃあクリスマスパーティー始まり!!」
「うん!!」
「まずはね、乾杯!!」
「乾杯!!」
家に来る前に待ち合わせして2人で買ってきたケーキは後でのお楽しみ。先にポテトチップスとかマシュマロとかチョコレートとかのお菓子を食べる。
そしてプレゼント交換をした。私はピンク色の手袋をプレゼントして若菜からはモノクロのマフラーを貰った。
そろそろケーキの時間かな、と聞こうと若菜を見ると真剣な顔で私を見て少し驚いた。
「若菜?どうしたの?」
「えっと……えっとね。正直に答えてほしいんだけどね」
最近よく見る真剣な表情に思わず姿勢を正す。
「うん」
「椿は隼人のことが好き?」
「え……?」
そんなこと今聞かれると思わなくて答えに詰まってしまう。
「好きじゃないの?」
「えっと……」
好きだけどすでに失恋してるし、浅岡さんたちのように恋バナで楽しく盛り上がるって雰囲気でもない。
なかなか答えない私を見て若菜はどんどん泣きそうに表情になってきた。
「答えてくれないの?」
「え、ううん。そういうんじゃないんだけど」
「じゃあ好きなの?」
「んー……。うん、好きだよ」
とにかく答えないと、と正直に答えた。すると若菜は先ほどのクマのぬいぐるみをもう一度抱えて横に倒れてベッドに寄りかかった。
「わ、若菜!?」
と、思ったら元の体勢に戻って再びテーブルを挟んで向かい合う。
「やっぱりそうだよね」
「え、わかってた?」
「いや、わかりやすすぎだから。もー誰が見ても好きすぎだからね」
さっきまでの緊張感はなんだったのか、いつもの若菜に戻ってる。なんだかついていていけない……。けど、私ってそんなにわかりやすいんだ。好きな人がいる人を好きになっちゃダメだって思ってたのに。
「椿、応援してほしい?」
さっきの真剣な表情とは違うけど何かに耐えるような表情でさらに問いかけられた。
失恋してるし、そもそも好きな人の好きな人に応援してもらうのってどうなんだろう。もし私が先輩の立場だったらって考えると嫌だな。黙って答えられないでいる私に若菜は言う。
「応援……したくないな……」
「え……」
どういうことだろう。若菜も先輩のこと……?
「私が好きなのは昴だよ」
「え!?」
結城くん!?確かに結城くんと若菜は仲良しだけど2人って付き合ってたの!?
でもドキドキしてる感じが若菜から感じないんだけど……。
「椿ってわかりやすい……。どうせ恋愛してるように見えないって言いたいんでしょ」
「え?そ、そんなこと……」
「あのねー、私はずっとずーと前から昴のことが好きなのー。もうそんなに毎日ドキドキしたりしないんだから」
「そういうものなの!?」
私は初めて好きな人ができたからわからないけどそういうものなのかな。
「私はそうなの!!」
「そ、そうなんだ……。そっか、若菜と結城くんは恋人同士だったんだね」
「え?付き合ってないよ?」
「付き合ってないの!?」
「そうだよ」
「でも結城くんも絶対若菜のこと好きだよね?」
「それはねー……って、話が逸れてる!!そんな話は後で良いから!!」
「あ、ご、ごめん……」
「とにかく、私は応援してあげない!!」
急に話が戻ったと思ったら応援しない、と断定的だった。
「う、うん」
「え、応援しないよ?」
「うん、わかったよ?」
応援したくないから応援しない、いつも通りはっきり物事を決める若菜に、わかった、と言ったのに不思議そうな顔をされて私が不思議だ。
「応援してほしくないの?」
「んー……」
それはさっき考えたけど逆の立場になったらやっぱり嫌だし、そもそも失恋してるし……なんて当事者の若菜にこんなこと言えない。
それに嫌なものは嫌。好きなものは好きってはっきりしてるのが若菜らしいし。
「若菜が応援したくないって思ってるならそうしたら良いと思うよ。それが若菜でしょ?」
私は若菜と初めて話した4月のことを思い出す。




