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ゲーム人生ぷらすリアル人生  作者: 小倉桜
第三章 顧問を捕まえろ!!
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第二十二話

 サユとあかりと勉強をして過ごした日曜日の次の日。


「完全に忘れてたんだけどさ」

「うん」

「でも、テストもあるし?"オルゲ"の序列戦も現在進行形であるし?仕方ないよね?」

「うん」

「ねぇサユ?ちゃんと聞いてるの?」

「聞いてる」

「だから、俺が言いたいのは――」

「わかってる。顧問と二年生の先輩二人をどうするか」

「そう!それを考えよう!」


 そう、すっかり忘れいていたゲーム部のこと。

 廊下を移動中。やっと!今!思い出したのだ!


「なんだ?ゲーム部って顧問いねぇの?」

「そうなんだよ」


 教室に入ると、真っ先に祐樹ゆうきが話しかけてきた。

 聞こえてたのか。


「じゃあ竹石たけいし先生にでも頼んだらどうだ?あの先生どこの顧問もやってないぞ」

「は?」


 祐樹のやつ今なんて言った?


「竹石先生どこの顧問もやってないって言ったのか?」

「ああ、そうだけど……?」

「それ、本当か!?」

「お、おう」


 俺は祐樹に大接近して問い詰める。

 すると、肩をとんとんと叩かれた。


「どうしたの?サユ」

「それ以上はいけない。腐った女たちが喜ぶ」

「?」


 何を言っているんだろう?


「わたしはいやだから。ヒロはわたしのだから」

「それも違うけどなんだろう。サユのものになった方が絶対いいと何かが言っている気がする」

「俺まで巻き込まんでくれや」


 げんなりした表情の祐樹が引き気味にこちらを見てくる。


「ていうか知ってるなら先に言えよ!」

「いや、俺。ゲーム部に顧問がいないこと知らなかったし……」


 それもそうだ。


「それなら、いけるか……?」

「わたしは、そううまくいかないと思うけど」


 サユが言ったことが現実になるのはすぐだった。



※※※



「ごめんね。私外部でやってることがあるから顧問をしてないの」

「そこをなんとか!名前を置くだけでもいいので!」

「そう言われてもねぇ……」


 困った顔をしてしまう竹石先生。

 祐樹の言っていた通り、たしかに竹石先生はどこの顧問でもなかった。

 しかし、それには理由があったみたいだ。


「ゲーム」

「えっ?」

「ゲームで勝負。わたしたちが勝ったら顧問になって」

「桜雪さん?」

「どう?」


 いきなりサユが先生に勝負を申し込んだ!!しかもゲームって!そんなの先生が乗るわけ――


「いいわ」


 乗ったぁぁぁぁぁ!?!?!?


「えっ!?いいんですか先生!?」

「いいわよ。ゲーム内容はこちらが決めるわ」

「わかった」


 なんか俺、置いてかれてるなー。


「そうね……じゃあじゃんけんにしましょう」

「りょーかい」

「じゃあ明日の放課後にまた私のところまで来なさい」

「りょーかい。失礼しました」

「あっちょっとサユ!先生、失礼しました!」


 さっさと職員室を出たサユを急いで追う。


 足は追いついても頭が追いついていない。


「なんでゲームの勝負なんて申し込んだんだよ」

「先生がゲーム好きだから」

「えっ?なんでそんなこと知ってるの?」

「ストラップ」

「え?」

「マニアックなゲームのストラップが鞄についてた」


 そうだったのか……?全然気づかなかった。

 サユの観察力はすごいな。


「だから乗ると思った」

「それでゲームの勝負を?」

「じゃんけんは予想外」

「たしかに」


 じゃんけんは単純なゲームに思えるがこれがまた難しい。


 今回のルールはいまいちわからないが、たぶんだろう。

 つまり、じゃんけんを行う前に「こちらは〇〇を出す」という風にお互い宣言してからじゃんけんを行うというものだ。


「竹石先生はわたしがなんとかするから、ヒロは眞智まち先輩と久美くみ先輩をなんとかして」

「いきなり!?」


 そんなことを話していたら、いつの間にか目の前に部室の扉があった。


「ここに向かってたのか!」

「気づかなかった?」

「それどころじゃなかったので……」

「でももう遅い」


 あっと言う声を出す間もなくサユが扉を開いた。


「やっと来た!遅いよ大翔ひろとくん!桜雪さゆきちゃん!」

「ねぇ月はなんでここにいるの?」

「わたしが先に行ってと」

「ねぇサユまさか……」

「ほら、大翔くん!秘策があるんでしょ?はやくはやくっ」

「おいこらサユ!ってどこ行った……?」

「これ」

「ん?」


『ヒロへ


  せんせいにかつためにひっしょうほうをかんがえてくるよ(。-`ω-)

  またあしたね(*´▽`*)


                            みらいのつまより』


「てぇぇぇぇぇい!!!!」

「えぇ!?」


 俺はサユからの手紙を破って地面に叩きつけた。


「しょうがねぇ!!やってやる!」

「ねぇなんて書いてあったの!?ねぇ大翔くぅん!!」


 そうして今日もまた懲りずに口喧嘩を続けている先輩二人の間に口を挟ませてもらう。


「オレじゃ無理だって言ってんだろ!?そういうのはお前得意だろ!?」

「やから得意やおまへんって言うてるでしょ!?まとめるんはそっちのが得意でしょ!?」

「先輩!!」

「なんだよ!」「なに!?」


 眞智先輩からエセ京都弁が抜け始めてるなぁ……。

 それはともかく。


「ごほん。先輩方これじゃあいつまで経っても埒が明きません。"オルゲ"ルールでゲーム勝負してはいかがでしょうか?」

「なんだと?」

「ゲーム部らしく、お互いゲームで決着をつけましょうよ」

「うちはいいよ」

「オレもだ」


 あれ?案外あっさり決まったな。

 どうなってるんだ?


「えっとじゃあ……明日!明日の放課後対戦ということで。テストは近いけど、部活動申請の締め切りも近いので。先輩方、これで異存はないですか?」

「かまへんよ」

「オレも」

「じゃあ決まり!」


 もっと時間が掛かると思ったらすぐに決まってしまった。

 今日の出来事の半数以上に違和感と疑問が残ったままだけど今日はやることがある。


「じゃあ大翔くんっ。これからみんなでゲームでもする?」

「悪いな月……」

「えっ?」

「俺はサユを倒す」

「えぇ!?ちょ、ちょっと大翔く~ん!」


 どんどんと遠ざかる月の声を背に俺は走って行った。

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